薬王樹の書 (TOKUMA NOVELS Edge 暁と黄昏の狭間 2)
- 徳間書店 (2008年3月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (273ページ)
- / ISBN・EAN: 9784198507794
作品紹介・あらすじ
魔術大国オラの学都へ送られたセフルは、いまだヘン=ジャックの呪いに苦しんでいた。一方ギルダン・レイは、オラの皇子アシュラーフ・サンダーキニと幼いドムオイ王女の婚約を押し進めるカザン大使と対立し、国を追われる。生命魔術の神・薬王樹を祀るサンダーキニ家の謎を、二人は解くことができるのか。雪と氷の国オラでの決死行が始まる。
感想・レビュー・書評
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ドムオイとオラ二大大国の領土の奪い合いが主となっている物語。今回はオラで魔術を学んでいる日常から始まる。
年頃の女の子らしい生活ができているかと問われたら微妙だが、今までに比べたらずっと平和な雰囲気……がいつまでも続く訳もなく。
策謀によりドムオイを追われたギルダン・レイは、策謀の呪術を解くためオラへ向かい、謎の男ケリード=ゼメスタンと共に皇爵サンダーキニ一族の秘密を探る。
一方セフルは自分を陥れたヘンジャックを逃走させた罪人とされてしまい、同じく罪を疑われたサンダーキニ皇爵と共にヘンジャックを隠しているのではないかと疑われた白い森へと向かう。
セフルを保護する魔術師サイヤーレは、サンダーを見つけたサンダーキニ皇爵の能力を欲していた。すべてはサイヤーレの目論見とおりに進んでしまう。サンダーキニ家の者しか入ることができないその森にたどり着くため、サイヤーレはありとあらゆる手を使い、人を操り殺し、目的を達すべく走り回る。サイヤーレの執念が恐ろしいまでに物語を支配している。
そして謎の男ケリードのためならなんでもするという者たちに助けられ先に進めるギルダン・レイだが、逆にその信頼はいったい何所から湧き上がるものなのか、ケリードの底が見えない雰囲気がとても恐ろしい。
今回も全体的に恐怖や不安、疑問が染み渡るストーリーなのだが、サンダーキニ皇爵の存在が非常に神々しく美しい魅力に溢れている。サンダーキニの使命の重さは、サイヤーレに継げるものではないと深く思う。
ようやく落ち着いたと思った、と安心を簡単にくれないのがこの物語、ということをすっかり忘れている。次が気になってしまうのもまた、魅力の一つである。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
だんだんと壮大なドラマが動き出しています。ちょっと違うけれど「ミストボーン」の世界観を思い出させます。さあ、セフルとギルダン・レイの運命やいかに!?サンダーキニ皇爵、好みだったのに…!