- Amazon.co.jp ・本 (111ページ)
- / ISBN・EAN: 9784198601706
感想・レビュー・書評
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猫の恩返しに続くジブリの本。まず1人で読み、その後親が読む。長かったのに一気に読み終えるが、感想は「これは難しいかな」とのこと。
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最初に見たころは百鬼夜行とか、化けるのが面白かったけれど、最後には狸は負けてしまうというのが分かってなかったけれど、何年も経ってから見ると、最近は悲しみの方が多い。
死出の旅とかも最初は意味分からなかったもんなぁ。 -
構成・文/小宮山みのり
カバーデザイン/川島健三(水野プロ) -
狸が戦争をしているところが面白かった
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昭和40年代、多摩ニュータウンの建設地。<br>
平和に山に暮らしていた狸たちだが、突然、宅地開発のために住処の山が切り崩された。<br>
山を守るべく奮闘する狸たち、その結果はどうなるか。<br>
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高校生くらいのときに初めて見たときは、それほど面白いとは思わなかった。確かに宮崎駿作品のファンタジーとは違って地味な作品ですが、考えさせられるという点ではこういう作品のほうが良い。<br>
宅地開発をする人間vs山に住む狸。<br>
狸の視点で描かれているせいで人間が悪者になっているけれど、だからといって「人間が悪い!」と狸に簡単に感情移入できる訳でもない。人間としてはただ単にニュータウン開発をしているだけで、自分が現在、実際にニュータウンに住んでいるせいかもしれないが、それが一方的に悪いとは思えない。だって実際、都会に順応してしまった人間にとって、開発された場所のほうが住みやすいし。<br>
それに狸だって、工事を邪魔するために事故を起して人間を殺している。そして、「尊い犠牲を払ってしまった」と口では言っているが、黙祷している最中に堪え切れなくなって笑い出し、『人間を追い払った!』と飲めや歌えの大騒ぎ。人間の自分としてみれば、「人が死んだのに!」と思ってしまう。<br>
段々と狸と人間の争いは激化していくのだが、その争いを、人間は『争いだ』と見なすほど脅威に感じていないところがまた悲しい。<br>
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切ないといえば切ない、悲しいといえば悲しい。<br>
映画そのものがそんなテーマであるのに、それを重苦しく感じさせない狸たちのキャラクターが、また良い。<br>
人間たちを憎みながらも、憎みきれない狸。怒ることよりも笑うことが好きな狸。人間たちよりも頭が悪い、と言ってしまえばそれまでだが、踊って歌って楽しそうな姿は、こちらまで楽しくなる。