小室直樹の中国原論

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  • Amazon.co.jp ・本 (363ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198604561

感想・レビュー・書評

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  • 内容はベトナムにも通じるものであった。
    中華圏の発想、特に「契約を守らない」、しかし、仲良くなると急に過ごしやすくなる、ということの理由が自分なりに整理できた。


    (メモ)

    ・中国社会の経緯は縦の共同体たる「宗族」と横の共同体たる「幇」である

    ・知り合い→関係→情宜(チンイー)→幇(ホウ)

    ・情宜(チンイー)と幇(ホウ)の違いは利害の有無。
    人間関係には手間も時間もかかるが、大切なのは「礼」を尽くすかどうか。礼とは相手の立場に立って考え行動すること。

    ・「礼」は相手の立場を考えて、ある時は致し方のない約束破りを許すことも含まれる。

    ・「宗族」は血縁共同体。欧米は宗教共同体。日本はかつて村落共同体。戦後に崩壊し今は会社共同体。

    ・中国の同族会社には入婿、婿養子がトップになることはない。日本は「家」が続けば良いが中国は「血」が繋がらないと意味がない。

    ・漢も途中で法家主義に変更。代々、「オモテの儒教、ウラの法教」

    ・中国の「法」は「支配者が民衆をコントロールするための道具」。欧米の「法」は「権力者の権力を制限し、民衆が自分達を守る武器」。全く概念が違う。

    中国は「法と術」を使って民衆をコントロール。

    ・官は与えられた役割でお金を自ら稼ぐのが当たり前。賄賂や汚職とは思わない。

    ・中国の契約は「これから仲良くしましょう」というだけ。事情変更は当たり前。結んだことに意味がある。

    ・結局、「情宜(チンイー)→幇(ホウ)」がないと中国では良いビジネスはできない。

    (参考)
    同様の趣旨(人間関係の重要性)が橘令氏によって言及されています。

    https://www.dailyshincho.jp/article/2018/04060731/?all=1

  • 幇こそが中国における人間関係の理解の全て。

  • 賄賂はお金を渡すのではない、ものを送ってまであなたと親交を結びたいという志が大切。
    日本の場合は年齢が上だからといった単純な理由ではないか。
    中国の革命は社会構造は変わらない、ただの易姓革命。そのため、歴史を見ることで中国の基本行動様式がわかる。そこは変わっていないから。
    定価がないのは資本主義が確立していないから。

  • 中国人は約束を守らない
    とかっていう話はよく聞いて
    私もそれを信じていた
    この本はそれを否定しているわけではないが、
    約束を守らないとこっちが思うの事態が
    資本主義経済の中で生きる人間の考え方で
    違う考え方で生きる人間にとっては、
    約束の意味が違う

    一方的にこちらの論理で相手を非難するのは違うなと思うので、
    違う考え方で生きる人をそれでもって非難するのは違うんだろう

    だからこっちが正しいわけではないが、
    違う考え方で生きる人間と関係するというのは難しいと思う
    自分としてはなにかの考えにとらわれずに生きたいと思うが
    気づかずにすでにいろいろな考え方にとらわれているのを再実感した
    やはり小室直樹はもっと読んでいこう

  • ・中国のことが非常に良くわかる良書。
    .・中国の人間関係は多重構造になっている。最も中心に位置するものが帮。帮の規範は全てにおいて優先する。三国志の桃園の誓い、三顧の礼しかり。次はチンイー。知人→関係→チンイー→帮。
    ・中国では契約を結んでから本格的な交渉が始まる。一緒に仕事をするために、まず契約を結びましょうという感じ。人間関係が深まるにつれて契約が変更されるのは当然と考えられている。知人→関係→チンイー→帮。このどの段階にいるかで契約の意味も異なる。
    ・ギブアンドテイクが徹底している国。特に注意が必要なのは、個人間のギブアンドテイクが一般社会のルールより優先するということ。特定集団の規範が社会の普遍的期半より優先されることがある。中国は二重規範の国である。人間関係こそが全ての事情に優先される。
    ・縦糸は宗族。父系家族。日本の親戚とは違う。親戚はどこまでがそうなのかはっきりしない。父系集団は共同体であり、中と外ははっきりしている。 中国人は何れか一つの宗族に必ず所属する。
    ・中国に性が無い人はいない。宗族は父系集団であるから、姓は一生変わらない。もし、自分に子がいなければ、同族内から養子をとる。それもできなければ、家を断絶させることも厭わない。
    ・一方日本には、血縁共同体も地縁も宗教の共同体もない。あるのは、協働共同体である。会社組織が共同体になった。
    ・表向きは儒教で裏は法家で統治している。
    ・儒教の目的は良い政治をすることのみ。個人の救済なんて関係ない。
    ・良い政治をするための法術を定めたのが韓非子。なので、法律とは施政者のもの。西洋の法律が施政者から人民を保護するために生まれたのとは全く逆。従って、施政者側の事情が変われば法律が変わるのは当たり前。法律の解釈を役人がするのは当たり前。統治のために都合が悪くなれば法律は廃止していい。まあ、裁判所が判断するアメリカとは違い日本も法律解釈を役人が行うのは同じ。
    ・中国の中心にあるのは刑法。欧米は民法。
    ・儒教と法家の違いは、儒教が道徳、経済、軍備の順に重要なのにたいして、法家は経済、軍備、道徳の順。
    ・中国には近代的な所有の概念がない。なので、どこからが自分でどこからが他人のものかという線引きも曖昧なので、役得となり汚職となる。でも自覚なし。昔の日本もそうだった。占有と所有の線引きがあいまいな場合もある。

  • 中国・中国人の在り方がよくわかります。中国に働きに行くビジネスマンも、ぜひこの本を読んで欲しいです。

  •  社会科学系学者の小室直樹氏による中国原論。中国人の人間関係や法と歴史に対する認識を整理し、最終章で経済問題を論じている。
     この本が出版されたのは1996年は改革開放政策を薦めていた鄧小平が存命であり、安価な労働力を求めて外国企業の中国進出が始まった時期であろう。しかし、当時は成功例よりも失敗例の方が多かったようで、中国展開に戸惑う経済人の声に応えるために小室氏は本書を執筆したのであろう。
     現在は当時よりも相互理解が進み、中国展開の成功例も珍しくはなくなったが、中国の影響力は今まで以上に大きくなった。しかし、小室氏によると外部環境が変わっても中国社会の本質は変わらず、中国の「歴史は繰り返す」と言う。それが真実であれば、中国社会の普遍的な特質について言及した本書は今後も大きな価値を持つであろう。しかし、中国の歴史は中央集権化とその崩壊の繰り返し。中国共産党もまた同じ歴史を歩むのだろうか?

  • 中国人は信用ならんという話しを聞いたことがあったが、そのバックグラウンドが分かった。
    ●今日のなるほど
    ・中国社会の経緯は、タテの共同体たる「宗族」と、ヨコの共同体たる「幇(ホウ)」である。
     これらの共同体の存在によって、中国は幾重もの二重規範(ダブルノルム)が入り乱れた社会になっている。
     幇=中国独自の人間関係 例)三国志の桃園の義盟
       幇の人間関係と幇外の人間関係は全然違う 
       ∴二重規範となる
       → この命題こそ中国人理解のための公理、大法則
    ・中国における人間形成は、一般的に漸進的(「あっという間に」とはいかない)
    ・中国では,資本主義と違って、契約は絶対ではないから「事情変更の法則」が乱用される。
    ・宗族は姓を有する父系集団
    ・歴史は中国人の「聖書(バイブル)」
    ・外国人が中国人と関係(クアンシー)、情詛(チンイー)の段階まで進むことは困難である。
    ・中国の契約は、内容より結んだことに意義がある

  • 「宗族」や「帮」といった中国特有の共同体の説明はとても新鮮でした。15年前に書かれたものですが、現在中国ビジネスに携わっている方にも参考になると思います。

  • 横のつながりである、輪と帮。縦の繋がりである宗が中国理解のエッセンス。法概念は古くから進化しているが、近代的法との概念が違う。儒教の裏の法家。信賞必罰。

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著者プロフィール

1932年、東京生まれ。京都大学理学部数学科卒。大阪大学大学院経済学研究科中退、東京大学大学院法学政治学研究科修了。マサチューセッツ工科大学、ミシガン大学、ハーバード大学に留学。1972年、東京大学から法学博士号を授与される。2010年没。著書は『ソビエト帝国の崩壊』『韓国の悲劇』『日本人のための経済原論』『日本人のための宗教原論』『戦争と国際法を知らない日本人へ』他多数。渡部昇一氏との共著に『自ら国を潰すのか』『封印の昭和史』がある。

「2023年 『「天皇」の原理』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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