中国の思想(12) 荘子(改訂版)

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  • 徳間書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198605520

作品紹介・あらすじ

自己回復の書。小知を捨て去り、無為自然に徹する。さかしらな「知」にこだわればこだわるほど、自分を見失っていく-。人間存在の深淵を凝視し、自在な生を啓示した、魅力あふれる荘子の世界。

感想・レビュー・書評

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  • なんだか良さそうだと思って、ブックオフで衝動買い。
    中国思想ってすごい。

  • 読書録を見ていたら、5年前に一度読んでいた。
    なんとなく読みたくなって、再読。

    5年前には興味を持たなかった部分が興味深くなっていて、付箋だらけになってしまった(笑)。


    P19  解題より


    4、荘子の思想
    1「万物斉同」「不知の知」
    -「いつだったか、わたし荘周は夢で胡蝶となった。ひらひらと舞う胡蝶だった。心ゆくまで空に遊んで、もはや荘周であることなど忘れ果てていた。ところがふと目覚めてみれば、まぎれもなく人間荘周である。はて、荘周が夢で胡蝶となったのであろうか。それとも、胡蝶が夢で荘周となったのであろうか」(斉物論)。
    荘子は好んで夢を語る。だがかれは、現実に目を背けて夢の中に逃避しようとしたわけではない。「孔丘(孔子)にせよ、おまえにせよ、みな夢を見ているのだ。いや夢だといっているこのわたしでさえ、例外無しに夢を見ているのだ」(斉物論)という言葉には、目覚めた人間だけが持つことのできる冷徹な洞察がこめられている。この洞察は、人間の「知」と、事物との関係に向けられた。

    (中略)

    荘子は、現象界を変化においてとらえる。万物はとどまることなく生滅変化する。かれは、あらゆる存在の根元であり、いっさいの変化を支配する根本原理を想定して、それを「道」と名付けた。

    (中略)

    「道」は事物を離れてあるものではなく、個々の事物の中にある。
    この「道」に即していうなら、一切の事物に区別はない。「道」は本来、無限定なものである。したがって、事物の区別も一時的なものに過ぎない。これが自然の姿である。

    しかし、人間の「知」は、本来、無限定な自然を、限定しようとする方向にしか働かない。なぜなら、事物を対比し、分別し、秩序づけるのが「知」だからである。では、人間はどのようにして事物を分別していくのだろうか。

    -「全て存在は”あれ”と”これ”とに区別される。しかし、あれの側からいえば、これは”あれ”であり、あれは”これ”である。つまり”あれ”なる概念は”これ”なる概念との対比においてはじめて成立し、”これ”なる概念は”あれ”なる概念との対比において初めて成立する・・・」(斉物論)。

    人間の判断は、つねに相対的なものであって、絶対的な正しさなどというものはどこにも存在しない。にもかかわらず、人間は、「知」に頼り、自己の判断を絶対視し、対立しあってはせめぎあう。ここに知的存在である人間の、宿命的な悲劇の根がある。

    だが、人間が、「知」を捨て去ることができぬ以上、この悲劇の根を絶つ途は、ただ一つしかない。それは「知」の限界を自覚して、「知」を超えることである。「知」を超えるとは、「知」が分かつ事物の差別の相にとらわれず、あれかこれかと選択する立場を捨てて、全てをあるがままに受け容れていくことに他ならない。「不知の知」とはこのことを指す。

    「万物斉同」と「不知の知」の説は、表裏一体の関係を結んで、荘子の思想の基盤をなしている。

  • 老子と並んで道家思想の中核を成す「荘子」。
    人間の知覚に斬り込み、我々を取り巻く「常識」がいかに頼りなく不確かなものであるかを暴き出す、淡々とした中に鋭さを秘めた一冊。

  • 一度読んだだけでは肚に落ちない。
    道とは、知とは。
    相対的、逆説的な思考。

  • 荘子といえば胡蝶の夢が有名でしょうか。俗世に疲れたらコレ!とてつもない想像の力が浮き世の垢をまとめてポイしてくれます。スケールが大きすぎてついていけないのがいいです。「老子」ともども道教の源流。中国の宇宙感が知りたい方にもオススメ。原文・読み下し文・現代語訳あり。

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