- 本 ・本
- / ISBN・EAN: 9784198605582
感想・レビュー・書評
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荻原規子さんによる勾玉三部作の最終巻。
今回は平安京の前に10年間開かれた長岡京時代が舞台である。
ストーリーは、自分の出自を知らずに育てられたが実は強大な力を持つ少年と、彼を慕い、彼とともに世界を救おうとする少女の物語、という、基本的には前二巻と同じような流れを取るが、大きく違うのが、主人公の少年阿高には双子のように育てられた幼馴染の藤太(同い年の叔父)がいて、さらに二人と信頼関係で結ばれている仲間がいることだ。
本書の前半では、一蓮托生だった阿高と藤太が、阿高の出自が明らかになることで別の道を歩むことになる様子が描かれ、後半は、都に起こる怪異を沈めて皇太子である兄と弟を救うため、皇女苑上が少年に扮して立ち上がり、阿高とともに戦う様子が描かれる。
十代の少年少女に向けて書かれていることもあり、主人公の少年少女の恋愛ストーリーは大人の私にはやや気恥ずかしい部分もあるのだが、本書は少年たちの友情も恋愛と同じくらいのボリュームで描かれるため、三部作の中では一番読みやすかった。
また、時代が下ってきたため、坂上田村麻呂や藤原薬子など、歴史の教科書に登場する人物が活躍するのも楽しい。
味方だと思っていたら必ずしも一枚岩ではなかったり、大人の思惑の中で翻弄される主人公たちだが、政治の駆け引きなどはお構いなしで、相手を大切に思う気持ちだけで突き進んでいくストーリーは、心が洗われるようで、純粋に応援したくなる。
現実社会に疲れたときの心の洗濯におすすめの一冊である。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
荻原規子さんの勾玉三部作の最後を飾る作品です。三部作といってもそれぞれの物語は独立しているので、問題なしです!
厚手ではありますが、読みやすく、良い本でした! -
2022.6.5 読了 再読
勾玉三部作の最終巻。一番大好きなお話。
再読でしたが、ほぼほぼ内容は忘れていた。
阿高と鈴の関係がだんだんと変わっていくのがいい。
壮大なファンタジーでした。
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2012年12月11日再読
神話の世界からぐっと現実に近づいた感じの3作目。
といっても奈良時代末期ですが。
坂上田村麻呂とか藤原薬子とか歴史に出てくる名前があったり、都もまほろばから長岡京になったものね。
阿高と藤太好きだなー。どっちも捨てがたい。
遠子とオグナを髣髴させますが、男の友情ってのがいいですな。(友情っていうよりもっと深い絆があるんだけど)
阿高と苑上については、後半だけでは物足りない。
あと、苑上が少々幼稚な感じがしてしまってね…
リサトのほうがお似合いかも、と感じてしまったところもありました。
勾玉三部作。再読してより面白さが分かった気がします。
個人的には白鳥異伝がいちばん好きかなぁ。 -
「勾玉シリーズ」最終作。
勾玉を巡るファンタジーをまとめあげるだけではなく、史実の世界にバトンタッチするストーリー運びに惚れ惚れする。
他2作に比べて時代が進んだこともあり、舞台がどこのどんな土地か、何をもとに描かれた人物なのかがわかりやすい。
主人公の持つ突飛な能力を派手に描くのではなく、それを取り巻く人間の心理描写で禍々しさ、神々しさを表現しているところが印象的。
ここで終わりで大正解。
史実の血なまぐささを内包しつつ、閉幕となるラストは、これまでに無かった作者自身の歴史ロマンを感じる。
子供から大人まで大満足させてくれることは間違いない、和風ファンタジーの決定版。 -
感想書いたのに全部消えてショック…。
思い出して書きます。
たぶん三度目の読了。
舞台はもう神話の時代ではなく、立派に日本史の世界。
三部作ではもっとも恋愛成分の含有率が低い。
代わりにまあ、今で言う、ブロマンス的なアレがある。
アイヌの話、陰陽の話、空海の話。うまく繋げてある。
荻原作品らしく、流れが自然で、登場人物の決断がデカく、こまかな自然描写がきれい。 -
勾玉シリーズで一番好きな作品
著者プロフィール
荻原規子の作品





