薄紅天女

著者 :
  • 徳間書店
4.07
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感想 : 362
  • Amazon.co.jp ・本 (484ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198605582

作品紹介・あらすじ

東の坂東の地で、阿高と、同い年の叔父藤太は双子のように十七まで育った。だがある夜、蝦夷たちが来て阿高に告げた…あなたは私たちの巫子、明るい火の女神の生まれ変わりだ、と。母の面影に惹かれ蝦夷の国へ向かう阿高を、藤太と仲間たちは必死で追う。そして「私は阿高を捜しに来た」と語り、追跡に加わる都の少将坂上田村麻呂の真意は…?一方西の長岡の都では、物の怪が跳梁し、皇太子安殿皇子が病んでいた。兄を救いたいと思いつめた十五歳の皇女苑上は、少年の姿をとって「都に近づく更なる災厄」に立ち向かおうとするが…?巫女の力を受けつぎ勾玉を輝かせる「闇の末裔」の少年と、「輝の末裔」の皇女の運命の出会いと、神代の「力」の最後の火花とをきらびやかに描き出す、待望の「勾玉」三部作完結編。10代〜。

感想・レビュー・書評

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  • 荻原規子さんによる勾玉三部作の最終巻。
    今回は平安京の前に10年間開かれた長岡京時代が舞台である。

    ストーリーは、自分の出自を知らずに育てられたが実は強大な力を持つ少年と、彼を慕い、彼とともに世界を救おうとする少女の物語、という、基本的には前二巻と同じような流れを取るが、大きく違うのが、主人公の少年阿高には双子のように育てられた幼馴染の藤太(同い年の叔父)がいて、さらに二人と信頼関係で結ばれている仲間がいることだ。
    本書の前半では、一蓮托生だった阿高と藤太が、阿高の出自が明らかになることで別の道を歩むことになる様子が描かれ、後半は、都に起こる怪異を沈めて皇太子である兄と弟を救うため、皇女苑上が少年に扮して立ち上がり、阿高とともに戦う様子が描かれる。

    十代の少年少女に向けて書かれていることもあり、主人公の少年少女の恋愛ストーリーは大人の私にはやや気恥ずかしい部分もあるのだが、本書は少年たちの友情も恋愛と同じくらいのボリュームで描かれるため、三部作の中では一番読みやすかった。
    また、時代が下ってきたため、坂上田村麻呂や藤原薬子など、歴史の教科書に登場する人物が活躍するのも楽しい。

    味方だと思っていたら必ずしも一枚岩ではなかったり、大人の思惑の中で翻弄される主人公たちだが、政治の駆け引きなどはお構いなしで、相手を大切に思う気持ちだけで突き進んでいくストーリーは、心が洗われるようで、純粋に応援したくなる。

    現実社会に疲れたときの心の洗濯におすすめの一冊である。

  • 荻原規子さんの勾玉三部作の最後を飾る作品です。三部作といってもそれぞれの物語は独立しているので、問題なしです!
    厚手ではありますが、読みやすく、良い本でした!

  • 2022.6.5 読了  再読

    勾玉三部作の最終巻。一番大好きなお話。
    再読でしたが、ほぼほぼ内容は忘れていた。
    阿高と鈴の関係がだんだんと変わっていくのがいい。
    壮大なファンタジーでした。

  • 東の坂東の地で、阿高と、同い年の叔父藤太は双子のように十七まで育った。だがある夜、蝦夷たちが来て阿高に告げた…あなたは私たちの巫子、明るい火の女神の生まれ変わりだ、と。母の面影に惹かれ蝦夷の国へ向かう阿高を、藤太と仲間たちは必死で追う。そして「私は阿高を捜しに来た」と語り、追跡に加わる都の少将坂上田村麻呂の真意は…?一方西の長岡の都では、物の怪が跳梁し、皇太子安殿皇子が病んでいた。兄を救いたいと思いつめた十五歳の皇女苑上は、少年の姿をとって「都に近づく更なる災厄」に立ち向かおうとするが…?巫女の力を受けつぎ勾玉を輝かせる「闇の末裔」の少年と、「輝の末裔」の皇女の運命の出会いと、神代の「力」の最後の火花とをきらびやかに描き出す、待望の「勾玉」三部作完結編。10代~。
    「BOOK」データベース より

    勾玉三部作に共通していることは、なぜだか分からないけど、やらずにはいられないことをやる、という行動を主人公とその仲間たちがとること.若いうちはこれをやりたいというはっきりとした意思はないことが多い.そんなときは、心がこっちだと導くほうへ行くのがよい、と作品を通して言われているように感じる.

  • 2012年12月11日再読
    神話の世界からぐっと現実に近づいた感じの3作目。
    といっても奈良時代末期ですが。
    坂上田村麻呂とか藤原薬子とか歴史に出てくる名前があったり、都もまほろばから長岡京になったものね。

    阿高と藤太好きだなー。どっちも捨てがたい。
    遠子とオグナを髣髴させますが、男の友情ってのがいいですな。(友情っていうよりもっと深い絆があるんだけど)
    阿高と苑上については、後半だけでは物足りない。
    あと、苑上が少々幼稚な感じがしてしまってね…
    リサトのほうがお似合いかも、と感じてしまったところもありました。

    勾玉三部作。再読してより面白さが分かった気がします。
    個人的には白鳥異伝がいちばん好きかなぁ。

  • 「勾玉シリーズ」最終作。
    勾玉を巡るファンタジーをまとめあげるだけではなく、史実の世界にバトンタッチするストーリー運びに惚れ惚れする。
    他2作に比べて時代が進んだこともあり、舞台がどこのどんな土地か、何をもとに描かれた人物なのかがわかりやすい。
    主人公の持つ突飛な能力を派手に描くのではなく、それを取り巻く人間の心理描写で禍々しさ、神々しさを表現しているところが印象的。

    ここで終わりで大正解。
    史実の血なまぐささを内包しつつ、閉幕となるラストは、これまでに無かった作者自身の歴史ロマンを感じる。

    子供から大人まで大満足させてくれることは間違いない、和風ファンタジーの決定版。

  • 有名ななまえがぽこぽこでてくるけれどあくまでも「物語」であるのもまた素敵。違うといえどもそのなまえ調べちゃう。
    居場所のないふたりが居場所をみつけるおはなしかな。でも、みんなそうかな。仲成さんもそれぞれの想いかかえて、動いて男の子(人)も女の子(人)もみんな一生懸命で荻原さんの勾玉3部作は今読んでもどれも素敵だった。
    意思を貫くために助けてもらったり、時には迷惑もかけてるし、でも頼って、助けてもらって、それで大人になって誰かを助けて順ぐりなんだろうなあ。
    意思や信念をもって動く姿はとても強くて好きだなあ。

  • 空海まで出てきた(笑)
    ちょうどこの間『ツクヨミ 秘された神』という
    天武天皇(天武系)と桓武天皇(天智系)の関係について書かれた本を読んだところ
    ドンピシャな感じで余計に面白かった
    勾玉三部作読了\(*≧∀≦)/
    【覚書】
    坂上田村麻呂 奈良時代 - 平安時代前期
    https://ja.m.wikipedia.org/wiki/坂上田村麻呂
    主人 桓武天皇 ー 安殿親王(平城天皇) ー (弟)賀美野皇子(嵯峨天皇)
    安殿親王♡藤原薬子(藤原仲成(兄))
    阿高♡苑上(そのえ)(架空) (兄)安殿親王(弟)賀美野皇子
    藤太(阿高と同じ年の叔父)♡千種
    武蔵国の足立郡郡司を務める竹芝の一族(明玉は家宝)
    「竹芝の二連」
    広梨・茂里
    佐伯/無空(後の空海、弘法大師)
    蝦夷
    アテルイ
    チキサニ/ましろ(巫女/阿高の母)♡勝総(藤太の兄)
    ちびクロ(オオカミ犬)

  • 勾玉シリーズで一番好きな作品

  • シリーズ最終作。
    だいぶ時代が進んで、舞台は長岡京。
    実在の人物や史実が具体的に出てきて、一気に歴史色が強くなります。
    とはいえ、物語的な味付けはやっぱりすごく上手で、
    史実だけではわからない動機や背景をこれまたツボにアレンジしてくるのですよ。
    日本史を知っているからこそ、「あの出来事をそういう風にするのか!」という面白さがあります。

    お話としては、これまでの2作のほうがファンタジーとしておもしろいかなとは思うのだけど、
    あやがどうしてもこの作品にハマってしまうのは、なんといっても二連の魅力。
    そのまま少女漫画のヒーローになりそうなふたりです。
    あつくて、ひたむきで、不安定。
    それは、今までのようなふわふわした感じではなくて、しっかり人間味が出てきたということなのかもしれない。

    稚羽矢も小倶那も、自分の力を制御できなくて、
    人と向き合えなくて、ひとりぼっちだった。
    狭也と遠子が無理やりにその殻を壊してくれて、初めて居場所を見つけた。
    でも、阿高と苑上は違う。
    ひとりぼっちのように感じることがあっても、いつも力強く、居場所を探していた。
    時代が変わって、人間らしい強さが出てきたのかなぁ。
    最後の苑上、かっこよかった。

    『なら私は、怨霊になってしまうのだった。
    あなたが最後に目指し、受け入れるものがそれしかないというのなら、私がそれになりたかった。』


    『空色勾玉』のときとはあまりにいろいろなことが変わってしまった。

    風の若子はその力を持て余し、
    鎮めるべき水の乙女はそれを見離し、
    神々だったものは怨霊と呼ばれるものに変わってしまった。
    きっとこうして日本は神々を失ったんだろうな。

    それは別に、何のせいというわけではなくて、
    ただ時が流れてしまっただけなんだなぁ。
    悲しい気もするけれど、それは人間が強くなったということでもあるのかもしれない。

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著者プロフィール

荻原規子・東京生まれ。早稲田大学卒。『空色勾玉』でデビュー。以来、ファンタジー作家として活躍。2006年『風神秘抄』(徳間書店)で小学館児童出版文化賞、産経児童出版文化賞(JR賞)、日本児童文学者協会賞を受賞。著作に「西の良き魔女」シリーズ、「RDGレッドデータガール」シリーズ(KADOKAWA)『あまねく神竜住まう国』(徳間書店)「荻原規子の源氏物語」完訳シリーズ(理論社)、他多数。

「2021年 『エチュード春一番 第三曲 幻想組曲 [狼]』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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