星の使者: 高名な科学者、数学者、天文学者、哲学者にして物理学者、ガリレオ・ガリレイの生涯

  • 徳間書店
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  • / ISBN・EAN: 9784198607821

感想・レビュー・書評

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  • ふたつ前のレビューに載せた「コールデコット賞」受賞の、美しい伝記絵本。
    裏表紙に至るまでひたすら美しい。
    文字のレイアウトまで美しく、電気のない時代の星空の美しさを彷彿とさせる。
    精緻な挿絵の細部までじっくりと眺めながら、生き方そのものを深く考えさせられ教えられる。
    『ガリレオ』と聞いたら、TVドラマではなくどうかこの本を思い出してもらいたいと思うほどだ。

    「地球は宇宙の中心ではない」
    今では当たり前のこんなことが、まかり通らなかった17世紀のヨーロッパ。
    「・・自分の眼でたしかめ、科学的に導かれた結論を認めないということは、人間の知覚や知性を否定することになります。」
    しかし、ローマカトリック教会教皇の言葉は「自分の眼で見たことを信じてはならない」という、信じられない言葉だった。
    有罪となって家から一歩も出られないまま生涯を終えたガリレオ。
    死を迎えるその日まで自分の信じることを周りに伝え続けたという。

    翻って今の私たちはどうだろう。
    300年を経てから過ちを認めたというカトリック教会を笑えるだろうか。
    周りに惑わされず自分で見聞きし確かめたことが、私たちは何かひとつでもあるだろうか。

    裏表紙の紺青の夜空を、塔の中からひとり望遠鏡で眺めているガリレオの小さな姿が、何だかとても切ない。
    高学年以上に。もちろん大人にも。
    タイトルにふさわしいガリレオの生き方と、それを美しい絵本に造り上げてくれた作者に心から敬意を。

    • あいさん
      こんにちは(^-^)/

      この本は読みたいと思っている本です。
      勉強は全然ダメな私だけどなぜかガリレオは好きでした。
      絵本なのに深...
      こんにちは(^-^)/

      この本は読みたいと思っている本です。
      勉強は全然ダメな私だけどなぜかガリレオは好きでした。
      絵本なのに深い話のようですね。
      挿絵がとても楽しみです。表紙も美しいですね。
      紹介ありがとうございました。
      2016/07/08
    • nejidonさん
      けいたんさん、こんにちは♪
      コメントありがとうございます。
      ガリレオ・ガリレイがお好きだったのですね!
      ではぜひぜひお読みくださいな。...
      けいたんさん、こんにちは♪
      コメントありがとうございます。
      ガリレオ・ガリレイがお好きだったのですね!
      ではぜひぜひお読みくださいな。
      挿絵は、美しいだけでなくとても凝っています。
      文字を後回しにしてじいっと見入ってしまうかもしれません。
      この作者さんの他の作品は知らないのですが、
      この一冊でファンになってしまいました。
      けいたんさんが読まれるのを楽しみにしています。
      2016/07/10
  • 地動説を提唱して裁判にかけられ、有罪となったガリレオの生涯を描いた絵本です。

    まるで博物館に迷い込んだような、クラシカルで装飾的な絵が中世ヨーロッパへの浪漫をかきたてます。
    コバルトブルーの夜空が印象的です。
    うっとり眺めていたくなる素敵な挿絵の絵本ですが、描かれているテーマがテーマなだけに、なかなか考えさせられるものがあります。

    地球が太陽のまわりをまわっているのは、今でこそ小学生でも知っていることですが、それが「常識」として認められるまでには、先人のたいへんな努力と血なまぐさい闘争がありました。
    科学的な命題が、科学の領域にとどまらず、ある種の思想体系や、その思想によって成立する既存組織の利益をゆるがすとき、科学に対する人々の反感は狂信的なまでに高まる傾向があるようです。

    天動説と地動説の争いは何百年も前に決着がついていますが、不都合な仮説に対する人々の反応様式は、今でもほとんど変わることがないように思えます。
    そのような事態に陥ったとき、マス・ヒステリーを止めることは不可能だったとしても、せめて加速させる側には加担しないために…

    「私の〈常識〉は国外でも通用するか?」
    「100年後の人びとにも支持されるか?」
    「違う意見をもつ人を叩くほどの正当性を私はもっているか?」

    と、常日頃から自己点検する習慣を身につけることが必要でしょう。この絵本のガリレオの言葉に象徴されるように。

    「自分が信じたいことだからといって、何も考えずに鵜呑みにするのは愚かなことです。なぜ、自ら考え、判断する自由を放棄し、私と同じく誤りをおかすおそれのある他人に頼らなければならないのでしょうか。」

    科学史についてだけでなく、思想の自由とはどういうことかについても、考えさせられる絵本です。

  • 〇絵解きのようで、絵をじっくりと眺める
    〇星を抱くガリレオを探す
    〇星を見失ったガリレオがもう一度星を見つけるまで

    ・プトレマイオスの天動説
    ・コペルニクスの地動説
    ・ガリレオの実験
     振り子の等時性、落体の法則、浮力の証明
    ・ガリレオの発明
     天体観測用望遠鏡、複合顕微鏡、実用的温度計、幾何学的・軍事的コンパス、静水秤など
    ・『星界の報告』
    ・1992.10.31カトリック教会、ガリレオの罪をゆるし、自分たちの罪を認める

  • シスの絵本の中ではbest3に入る1冊だと思う。緻密さの中に壮大さを表現している。彼はガリレオに何を見たのだろうか?

    2012/2/29のニュースから
    ローマ法王庁(バチカン)の機密文書館がことし開設400年を迎えたのを記念し、これまで門外不出だった同館所蔵の歴史的文書からより抜かれた約100点の一般公開が2月29日、ローマのカピトリーニ美術館で始まった。
     目玉の一つは地球が太陽の周りを回っているという地動説を支持したイタリアの天文学者ガリレオ・ガリレイが、異端審問にかけられた際の17世紀の裁判記録。ガリレオの署名がはっきりと確認できる。

    • はるかわさん
      コメント、ありがとうございました^^

      わたしもこの絵本を読みました。
      文はシンプルで、絵はやさしく、
      好きな絵本だと思いました。

      「ジス...
      コメント、ありがとうございました^^

      わたしもこの絵本を読みました。
      文はシンプルで、絵はやさしく、
      好きな絵本だと思いました。

      「ジス・イズ」シリーズは魅力的ですよね
      文にも絵にもユーモアがあって、
      nyancomaruさんの言うように、
      巻末に、現在の様子が載っているところも好きです^^
      2012/04/02
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      > はるかわさん
      「文はシンプルで、絵はやさしく」
      優しく色使いの素晴しい絵に、ガリレオの強さを表現するって凄いですいね。

      つい、ピーター...
      > はるかわさん
      「文はシンプルで、絵はやさしく」
      優しく色使いの素晴しい絵に、ガリレオの強さを表現するって凄いですいね。

      つい、ピーター・シスが自分の国の境遇とガリレオを重ね合わせたのかなぁ?と思わずにはおれません。。。
      2012/04/02
  • 祖母がクリスマスプレゼントでくれました。
    ピーター・シスの本はとにかく絵がすてき。
    とても細かく描かれていて、絵を見ているだけで楽しめる絵本♪
    ガリレオの生涯と彼が唱えた地動説について書いてあります。
    ところどころに入ってくるガリレオが残した言葉が心に響き考えさせられます。

  • 小さい頃に読みたかった。
    こうゆう絵本でもっと多くの偉人を紹介し、歴史に興味を持ちたかった。

  • 350年もたってから
    教会から許されたの?
    最近のことだよね(´゚∀゚`;)
    それまでカトリック教会は
    正式に地動説を承認してなかったんだ!

  • ガリレオの生涯と亡くなってからを年譜にしてあります。情報は細かく沢山レイアウトされていますが、大筋だけを読んでも大丈夫そうです。高学年向け

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「情報は細かく沢山レイアウトされています」
      子どもにとっては関係無いコトだけど、やっぱりシスの生い立ちを考えてしまいますね。
      「情報は細かく沢山レイアウトされています」
      子どもにとっては関係無いコトだけど、やっぱりシスの生い立ちを考えてしまいますね。
      2012/10/01
  • ガリレオガリレイの絵本,奥が深い。ガリレイの考えが分かる。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      とっても素敵な絵本、シスはコロンブスやダーウィンについての絵本も描いてるけど、その中ではこれが一番。。。それから「三つの金の鍵―魔法のプラハ...
      とっても素敵な絵本、シスはコロンブスやダーウィンについての絵本も描いてるけど、その中ではこれが一番。。。それから「三つの金の鍵―魔法のプラハ」や「かべ―鉄のカーテンのむこうに育って」も必見です!
      2012/08/01
  • 0911『自然とかがくの絵本総解説』より

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著者プロフィール

ピーター・シス:1949年、チェコスロバキアのブルノ生まれ。プラハ工芸美術大学とロンドンのロイヤル・カレッジ・オブ・アートで学ぶ。新聞、雑誌、書籍のほかに、アニメーションの分野でも幅広く活躍。ニューヨーク・タイムズ最優秀絵本賞、ボローニャ国際絵本展金賞、コールデコット・オナー賞など、数々の賞を受賞。作品に『三つの金の鍵ー魔法のプラハ』『かべー鉄のカーテンのむこうに育って』『マドレンカ』(BL出版)や、『星の使ーガリレオ・ガリレイ』『生命の樹ーチャールズ・ダーウィンの生涯』(徳間書店)、『ロビンソン』(偕成社)など多数。

「2022年 『ニッキーとヴィエラ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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