日本人のための宗教原論―あなたを宗教はどう助けてくれるのか

著者 :
  • 徳間書店
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レビュー : 60
  • Amazon.co.jp ・本 (396ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198611682

作品紹介・あらすじ

本書は、本格的な宗教原論である。各宗教の蘊奥(奥深いところ)から説き起こし、比較歴史的に、どのようにして、これらの蘊奥に達したかについて解明し、現代にどんな影響を及ぼしているのかを論ずる。

感想・レビュー・書評

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  • 憲法原論に続き、やっと読了した。
    良い点などはアマゾンレビューなども参照すれば伺えると思うので疑問を抱いたことについてメモする。

    まず、ざっくりと内容に触れると、著者はオウム真理教事件の例を引いて副題の「あなた(日本人)を宗教はどう助けてくれるか」という問いを提起し、「宗教を正しく理解」することから始めようとしている。
    そこから宗教のハードな実際を説明し、各宗教を一章ずつ使って解説する。
    キリスト教、イスラム教、儒教については流し読み。一番関心のあった仏教について通読すると、著者が仏教の肝心であるとする「法相宗」と解説の手本とした三島由紀夫の「豊饒の海」、中村元の「空の理論」「ミリンダ王の問い」を引き解説して見せる。
    法相宗のあり方が元来の仏教的なあり方であるとし、続けて「輪廻転生」および大乗仏教の論理である「空」を説明するのだ。
    あまりに簡潔な解説ぶりに目を見張る・・・とまでは行かないぐらいざっくりとした解説である。
    そして煩悩から解脱して涅槃に至ることが仏教のさとりであり、「色即是空」がその境地であるとして、「色即是空」に迫ろうとする。それにはたとえ話が有効らしい。法華経でもたとえ話が採用されているとのこと。
    各論を終えてまとめとなる第7章にて、日本における宗教を概観して、アノミーが進んでいるために人々は団結することを欲しているため宗教が台頭しているとして、「日本人をどう助けてくれるか」の答えを提示して終わる。

    限られたページ数で、この解説ぶりはさすが碩学と言わざるを得ないが、どれを取ってもざっくばらんとしており、そもそも一つの宗教(あるいは宗派)を理解するだけでも一生を費やす場合さえある。経済学者として数学者として社会学者として実績のある著者であるが、宗教にかけては大まかにしか理解できないだろう。それを参考文献を持ってきて要の部分だけ理解して枝葉末節は置いとこうっていう感じである。
    全体としてマックスウェーバーの理論や宗教学用語を語句の解説をあまりせずにまた学問を例に当てはめてだだっと説明してしまうのでわかりやすい解説を求めた著者は割と置いてけぼりを食うのではないだろうか。
    ブクログにもさっぱりわかってないよ、て感じのレビューもあるし…。

    また、仏教だけにしても大元のインド仏教を大事にしているのかと思えば、鎌倉仏教についても触れ(しかもちょっと辛辣だ)、鎌倉仏教を元にカルト宗教を批判している。マトリョーシカのような入れ子の説明をしていながらキリスト教も元々はカルト宗教だったっけね、とぶっちゃけている。
    奇蹟についての扱いも最後の方ではお粗末である。さんざん仏教では奇蹟は有り得ないとしていながら日蓮上人の奇蹟は一応ありにしている。
    仮にだが、「縁」を元に解説していた「縁って」の論理に従えば、日本の仏教によくある、公正世界仮説におけるような、因果の法則も正当化されるのでは。そしてそれは「奇蹟」に近い功徳や罰にも適用されるのではとか思ったりもできるのでは。
    とまあこんな感じで疑問がいくらかある。
    概観するには悪くないが、著者にこだわらないならそれぞれの宗教に知りたいなら他の本でも良いと思います。

  • 宗教が不思議だ。
    宗教そのものというより、宗教を信じる、という心の動きが不思議だ。
    あまり不思議なので、聖書を創世記から読み直してみたりしたのだが、やっぱりよくわからない。

    まあ、そりゃそうで、「なぜ宗教を信じるのか」という問いは、宗教に投げかけるのではなく、宗教を信じている人に投げかけなくちゃならない。でも敬虔な○○教徒の人に、「あんたなぜ○○教なんか信じているの?」と聞いたら喧嘩になりそうな気がする。喧嘩で済めばいいけれど、もっと怖いことになりそうな気もする。聞けない。

    「信じる」という心の動きは、ある事象や指示について、自分ではそれを検証、評価せずに受け入れる、という危ない一面を含んでいるが、それ自体はやむを得ない。例えばぼくは、地動説を「信じて」いるが、この目で地球がぐるぐる回っているのを見たわけではない。観測と実証と批判を重んじる科学がそうである、と断じているから、ぼくは地動説を信じているのだ。そういう意味では科学を信じている、と言ってもいいかもしれない。
    でもそれは、たとえば死んだ人が生き返った、という話を信じる、というのとは「信じる」の意味が違うように思えるのだ。

    ぼくが宗教関係の本を読むのは、この不思議が気になってしょうがないためなのだが、なかなか真正面から答えてくれる本には巡り合わない。

    本書は、それぞれの宗教の中身に踏み込んだ本だ。それはそれで大変興味深い。ぼくは旧約聖書を読んでかなりショックを受けたけれど、そのショックはもっともなことであると言われたようでちょっと安心した。仏教は宗教というより哲学の体系なのだといわれたほうがわかりやすいかもしれない。イスラム教も興味深い。
    ただ、やっぱり「なぜ宗教を信じるのか」はよくわからなかった。ぼくの彷徨はまだまだ続く。

  • この著作の終盤箇所を引用すると、

    世相はますます混乱の様相を呈している。
    (中略)日本が壊れるどころか、日本人が壊れてきているのだ。
    新世紀、事態はさらに悪化するであろう。
    ことここに至れば、日本を救うのも宗教、日本を滅ぼすのも宗教である。
    あなたを救うのも宗教、あなた殺すのも宗教である。

    ここで、著者は、殊更、宗教の重要性を指摘しています。
    この箇所を読むと、「やはり宗教だ!」と肯定的に思ってしまう人もいるかもしれない。
    ただ、人口の8割以上が無宗教の日本人からすれば「宗教、、、、かぁ、、、」と、
    宗教に対してマイナス寄りの複雑なイメージを持っている人も少なくないと思います。

    正確には、「宗教に関する正しい知識」が必要だと、小室博士は言いたいんだと思います。
    この著作は、博覧強記かつ宗教社会学にも、かなり精通した著者だから、書けたことです。
    それは、「自分の信仰」に関して、著者は一言も語っていないことからも、
    伺いしることができます。

    その科学的とも言っていい態度は心から尊敬します。
    この本は難解な世界宗教(キリスト、イスラム、仏教)の基本となる教義や用語の意味、
    背景となる歴史、そして比較分析を、平易な用語を使用して解説しています。
    こんな芸当ができる知識人は、滅多にいません。

    この著作は00年代の出版され、また著者は既に鬼籍に入られています。
    著者の分析した「日本が壊れるどころか、日本人が壊れてきているのだ」は、
    18年の日本の現況を見ても「そうだな。。。」と思う方は少なくないかもしれません。
    「そう思った」なら、是非、この本を手にとることをおススメします。

    この著作の価値は出版されてから8年以上経ちますが、
    未だに色褪せていない名著です。
    それは、やはり「宗教」に対する少なくない日本人の無知と、
    その悪用が、以前よりも、より日本社会にマイナスの影響を与えているからです。

    個人にとって宗教が救いか、救いにならないかは、わかりませんが、
    宗教の正確な知識は、絶対必須なものといってよいと思います。
    それだけ、今の日本は宗教的な危機に直面して、
    誰もそれが、宗教的なものであると、わからない、その気味悪さが、
    日本社会を覆っているからです。

  • 読み始めてまず、いやに振り仮名が多いと思った。多いどころか総ルビに近い。それだけではなく、「輩出(続々と世に出ること)」とか「畢竟(つまり)」とか、熟語によってはかっこ書きで意味まで説明してある。例えば小学校高学年の児童でも読めるようにという配慮だろうかと想像してみたが、本当のところは分からない。まあ確かに、「蘊奥」などという熟語は、「うんのう」と仮名を振るだけでなく、「蘊奥(奥深いところ)」と意味を説明してもらった方がありがたい。同じ啓典宗教のユダヤ教やイスラム教と違って、キリスト教には本来戒律がないということなど、この本を読んで初めて知ったこともあるが、同じ概説書なら、橋爪大三郎の「世界がわかる宗教社会学入門」の方が分かりやすかった。

  • 世界の主要な宗教の基本的な思想を互いを比較しながら分かりやすく解説した本です。①今までぼんやりとしか知らなかった各宗教の教えを知れた事、そして②かなり抽象度が高いことを「比較」と「例示」を用いて分かりやすく説明する方法に触れられた事(特に仏教の「空」の考え方に関する説明が秀逸でした)、その2つの意味でとても素晴らしい本でした。私自身は無宗教だと自認しており、生涯特定の宗教の信者になることはないと考えております。ただ、それは宗教に対して無知で良いということではなく、無宗教であるからこそ、社会をよりよく知る為に、社会に強い影響を及ぼしている宗教というものについて、より関心を持って学ばなければならないと考えており、その入門書として非常に良い本でした。

  • 宗教が何か分かりました。

  • 宗教とは何か、解ったような気になった本。信仰とは?は解ってないように思う?

  • たいへん久しぶりに再読しました。
    書名の通り日本人に対する宗教入門書。
    キリスト教、イスラム教、仏教、儒教を対比しての説明はたいへんに分かりやすいが、それでも仏教の「空」の説明など何度読んでも難解。

  • よくわからなかった

  • 装幀――川畑博昭
    装画――とくだあきら
    写真協力――ユニフォトプレス
    徳間書店写真資料室
    http://www.tokuma.jp/bookinfo/9784198611682


    【目次】
    はじめに(平成一二年(西暦二〇〇〇年)六月 小室直樹) [002-005]
    目次 [006-012]

    第1章 宗教は恐ろしいものと知れ 013
    宗教知らずは身を滅ぼす
    オウムが仏教でない理由
    宗教、このうえもなく恐ろしいもの
    宗教という言葉
    宗教とは何か

    第2章 宗教のアウトラインを知る 029
    宗教の分類
    啓典宗教の本質
    個人救済か集団救済か
    宗教はなぜ必要か
    最後の審判
    釈迦やキリストは復活するか
    仏教の奇蹟
    奇蹟と信仰
    天国と地獄はどの宗教にも付き物か?
    仏教にもいわゆる地獄・極楽はない
    宗教を理解するキーポイントはイスラム教

    第3章 神の命令のみに生きる【キリスト教】 071
    日本でのキリスト教理解
    願えば必ず叶えられる
    信仰の原点はアブラハムにあり
    唯一神の誕生
    理解し難い贖罪論
    苦難の僕
    原罪とは何か
    原罪に対する認識は東西キリスト教で大違い
    キリスト教不感症を乗り越えよ
    煉獄に見るキリスト教諸宗派の比較
    天国の真実
    キリスト教と仏教とは正反対
    難解なる予定説
    キリスト教は人間の意志を認めない
    予定説と日本人
    神義論
    規範なきキリスト教
    救済の条件
    キリスト教歪曲の過程
    キリスト教はこうして曲がっていった
    キリスト教の堕落と、仏教の堕落は正反対
    イエスは神であり、人である
    預言者の苦難
    プロテスタント運動は原点回帰だった
    ファンダメンタリストとは
    ファンダメンタリストはキリスト教にのみ存在する
    近代国際法はキリスト教より生まれた
    キリスト教と近代
    労働と信仰

    第4章 【仏教】は近代科学の先駆けだった 197
    仏教とはどんな宗教か
    仏教は唯物論か
    仏教は魂を否定する
    『豊饒の海』の真意
    唯識入門
    救済の構造
    輪廻転生の真実
    古代インド宗教の影響
    なぜ「空」は理解しにくいか
    「空」と「無」はどう違うか
    庵を結ぶ
    唯識とファンダメンタリズム
    日本で「空」はどう受け入れられたか
    ミリンダ王の問い
    仏教の実在論
    因縁とは直接、間接の原因である
    単純因果ではないナーガールジュナの「中論」
    最新科学に至り、科学は仏教に追いついた
    ヴェーバー、ケインズ理論と「空」

    第5章 【イスラム教】は絶好の宗教の手本 279
    イスラムの真髄はひたすら『コーラン』にあり
    イスラムの何を信じるのか
    イスラム規範の数々
    『コーラン』の読み方の極意
    イスラムの法源
    信仰があればわかる
    ユダヤ、キリスト、イスラム、それぞれの失楽園
    イスラムが認めないキリスト教教義
    感情豊かな現実的宗教
    イスラム教の天国と地獄
    聖戦の犠牲者
    生きている神
    イスラム教と他宗教
    資本主義になぜ遅れをとったか

    第6章 日本に遺された【儒教】の負の遺産 329
    儒教のキーワード
    ヨーロッパに絶賛された科挙
    腐敗する官僚制
    官僚制の害をどう抑えるか
    日本に遣された爪跡
    科挙の転機

    第7章 日本人と宗教 349
    日本という宗教無法地帯
    日本人とユダヤ人
    日本の仏教が生き残ったわけ
    仏教と日本人
    宗教から政治へ移行した檀家制度
    日本仏教に宗教性なし
    無規範の弊害、規範の弊害
    日本に宗教戦争はなかった
    日本の天皇信仰はキリスト教だった
    戦後日本の共同体の変遷は天皇信仰の崩壊
    カルト教団とマルキシズム
    インチキ宗教の見分け方
    精神世界という宗教
    カルトとカリスマ
    アノミーの恐怖

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著者プロフィール

小室 直樹(コムロ ナオキ)
1932年東京生まれ。京都大学理学部数学科卒業。大阪大学大学院経済学研究科、東京大学大学院法学政治学研究科修了(東京大学法学博士)。この間、フルブライト留学生として、ミシガン大学、マサチューセッツ工科大学、ハーバード大学各大学院で研究生活を送る。2010年逝去。著書に『ソビエト帝国の崩壊』(光文社)、『「天皇」の原理』(文藝春秋)、『日本の敗因』(講談社)、『日本人のための宗教原論』(徳間書店)、『日本人のためのイスラム原論』(集英社インターナショナル)、『小室直樹の資本主義原論』『日本人のための経済原論』『数学嫌いな人のための数学』『論理の方法』(以上、東洋経済新報社)ほか多数。

「2015年 『小室直樹 日本人のための経済原論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

小室直樹の作品

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