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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784198612016
感想・レビュー・書評
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以前読んだ「ライオンと歩いた少年」の姉妹編。
私はこちらのほうが好きだなあ。
「ライオンと歩いた少年」にも出てきたアメリカ人のお金持ちハイラムが、象牙の密輸をかぎつけ、それを阻止するためにアフリカへ飛ぶ。
密輸の後を辿ると一人の男へ繋がった。ヴァン・デル・ヴェル。
彼は若い時、象に跳ね飛ばされ、踏みつけられ、一生癒えることのない障害を負ってしまったため、地球上全ての象を憎んでいる。
もちろん、直接彼を傷つけた象のことは、決して許すことはできない。
だが、その象、パパ・テンボからすると、象牙をとるために大勢の仲間をただただ殺戮する人間のほうをこそ、許すことができないのだ。
象は、人間より大きな脳を持つ唯一の動物で、仲間を愛し、死を理解し、記憶を持つ。
パパ・テンボの中には、人間に対する憎しみが深く刻み込まれている。
しかし、象の群れを研究するイギリス人学者の娘・アリソンは、決して象たちに過剰な思い入れをしないようにと父に言われているにもかかわらず、群れの象たちを愛情をこめて観察していた。
その群れが危機に陥った時、思わず飛び出していくアリソン。
群れを守るために立ち向かうパパ・テンボ。
パパ・テンボへの恨みだけで生きてきたヴァン・デル・ヴェル。
密輸をやめさせようとするハイラムとガイドのマイクとベニー。
”最後の出会いとなった今になって、男もゾウも、自分が記憶によって作られていたことを悟っていたのかもしれない。男もゾウも、たがいの記憶にしばられて生きてきたのだ。”
アフリカの動物たちは、命をかけて他者の命をいただき、自分の命をつなぐ。
だが人間は、飛び道具で、自分は安全な場所にいて、楽しみや贅沢のために他者の命を奪うのだ。
アフリカの大地でのダイナミックな生と、それを蹂躙する人間の性(さが)のぶつかり合いに引き込まれ、圧倒されながら読んだ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
象ってかしこいんだな。
孤独に生きるパパ・テンポの淋しさと孤高の強さが素敵だった。
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さくまゆみこの作品
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