- Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
- / ISBN・EAN: 9784198613594
作品紹介・あらすじ
おばあさんのお葬式から帰った山下が言った。「死んだ人って、重たそうだった」すると河辺が身を乗り出した。「オレたちも、死んだ人が見たい!」ぼくたち三人は、「もうじき死ぬんじゃないか」と噂されている、ひとり暮らしのおじいさんを見張りはじめた。だけど、見られていることに気づいたおじいさんは、だんだん元気になって、家や庭の手入れを始めた。やがておじいさんと口をきくようになったぼくたちは、その夏、さまざまなことを知った…。十二歳の少年たちの忘れがたい夏を描き、世界の十数カ国で話題を呼んだ作品。児童文学者協会新人賞、児童文芸新人賞、ボストン・グローブ=ホーン・ブック賞、ミルドレッド・バチェルダー賞等受賞。小学校中・高学年から。
感想・レビュー・書評
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一冊の本に沢山のテーマがある。けれどそれらは上手に関係し合い違和感が無いばかりか、お話に深みを持たせている。3人の少年達の忘れられない一夏には、私達大人が長い人生の中で経験した事、見聞きした事が凝縮されていた。一気に読み終えた。
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こちらもブックトークの中の一冊。
92年の刊行以来数々の賞を受賞し、映画や演劇にもなっているし、確か夏の課題図書になったことも。
今年の夏もまた、日本中でどれだけの数の子どもたちがこの本を読んだことだろう。
初めて読んでからもう20年という月日が流れたことに愕然である。
20年の間に何があった?自分。この本でもっと感動したはずなのに。
成長と言えば良いのか鈍化と嘆くべきところなのか、まことに難しい。
話はあらすじを読んだだけで殆ど把握できるようなもので、予想はある意味裏切られない。
再読すると、「死」に向かっていく過程での細かな逸話を盛り込みすぎで、「あざといなぁ」と思いながらも、やはり3人の少年たちのかけがえのないひと夏には感じ入るものがある。
まさに作者の言いたいのはこの部分だろうから、狙いは外れていない。
死ぬとどうなるの?と、確かに私も親に質問したことがある。
何も見えないし何も聴こえないし、何も感じなくなると教わって、じいっと目を瞑って呼吸を止めシミュレーションしたことも。。。そして、案外怖かったものだ。
まるで氷河を渡っていくような、亡くなった後の父の手。母の手。
だめ、まだ逝ったらだめ、と無我夢中でその手を擦ったのも確かにこの私だ。
「死」は常に「生」の隣にある。
「死」を問うことを恐れてはいけないと、今改めて思う。
それは他ならぬ「生」への執着であり、ごく自然なことなのだから。
3人の少年が、人が死ぬのを見てみたいという思いつきは不純でもなんでもなく、そこから生まれた「老人観察」がいつしか「老人との交流」になっていく流れは、何度読んでも爽やかだ。
終盤、3人のうちのひとり(山下君)に「もうお化けは怖くなくなった。あの世に知り合いができたんだから」と言わせる場面は秀逸。
身近な誰かの「おくりびと」となったことのある者には、まさに代弁者のようなセリフだ。
もう何も怖くないのだから、「死」の日まで精一杯生きないとね。
生と死のみでなく、家族のあり方まで考えさせる内容で、それもこれも思春期だからこそこんなにも悩めるものなのだ。
そんな郷愁のような感情も味わいつつ読了。
でもやっぱり、少し盛り込みすぎ(笑)。
文庫の方はすごいレビュー数で、いささか怖気づいてしまった。それだけ人気の作品なのね。-
だいさん、こんにちは♪
コメントありがとうございます!
なるほど、言われてみれば確かにそのとおりですね。
誰もが疑問に思うことのはずな...だいさん、こんにちは♪
コメントありがとうございます!
なるほど、言われてみれば確かにそのとおりですね。
誰もが疑問に思うことのはずなのに、正面から答えようとしている作品がないのかもしれません。
少年たちの目を通して考えさせたというのも、新鮮だったのでしょう。
小学6年生と言う年齢もいいですね。
ちなみに先日のブックトークの場では、誰も読んだことのある子がいませんでした。
読むきっかけになれたかどうか、微妙です。。2014/10/02 -
nejidonさん
こんにちは
死とは、
身近な話題じゃなくなってしまったのかもしれませんね。nejidonさん
こんにちは
死とは、
身近な話題じゃなくなってしまったのかもしれませんね。2014/10/05 -
だいさん、こちらにもコメントをいただいてありがとうございます!
子どもたちが実に簡単に「死ね!」と罵りあったりするのですが、
それもまた...だいさん、こちらにもコメントをいただいてありがとうございます!
子どもたちが実に簡単に「死ね!」と罵りあったりするのですが、
それもまた「死」について考えたことも無い証拠かもしれませんね。
(あ、我が家の子の話ではありませんからね・笑)
なんたって「いのちの大切さ」について学校で教えなければならない時代です。
歪んでますよね。。。
2014/10/06
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同級生のおばあちゃんが死んだ。
小学6年生の夏のこと、山下と河辺、そして僕、僕たちは人が死ぬということ〝死んだ人〟に抑えられない好奇心を抱いてしまった。だから近所の〝もうすぐ死にそうなおじいさん〟の「観察」をすることにしたんだ。
だけど少年らの期待に反して、日に日に死にそうじゃなくなるおじいさん。
どうでもいいことに熱くなったり、喧嘩したり、叱られたり、幼い思考であれこれ考えたりと、少年らの日常が普通過ぎて実話かなと思うほど。
始まりだけですでに終わりも見えてはいるのだけど、それまでの描写がとても丁寧かつ暖かい。
風にそよぐコスモスが脳裏に揺れる。
人はできればたくさんの人と関わって生きていったほうがいい。
今年の26冊目
2020.9.5
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懐かしさがあり、自分の12歳のときのことを思い出した。
庭の手入れをしたこと、スイカを丸ごと切って食べたこと、近所にはボロな家があったこと。今となっては遠いとおい思い出である。あらためて自分の過去を見て、懐かしさに胸が熱くなること少しアリ。
物語自体は現代風に思える。(そうでもないか?今は2012年、子どもが老人に関心を示すことはないか?)
記憶と記録を考えた。デジャヴのことではない。幽霊の名前でもない。分からないから、怖さを感じる、それは一理ある。記憶は、残せない。自分の知った事体験したことを、後世に残すことは出来ない、一代限りで消えていってしまう。思い出は美化される。自分の都合がよいように、変わっていく。また、変えてしまう。忘れてしまうことは、人の特権である。
それを永く残すために、記録する、文学、音楽、美術、時代を越えて残る。時の流れと共に、時代に合わないものも出てくるが。
本書で取り上げたのは、少年と老人の友情なのかな?高齢になれば子どもに還るといわれることもある。老人の生活の質が変わったことが、内容より読み取れたので、とても良いことであると考えた。今後の福祉や公共事業に伝えていきたいことである。 -
おじいさんが死ぬところを見たいという、児童書にしては突拍子もない出だしから始まりますが、少年たちの心の成長、おじいさんの生きがい見つけなど、見事に描かれた作品でした。
現代の社会問題ともつながる地域の関係の希薄化を、少年たちが、お節介しながら周りの大人たちを支えているように感じました。
子どもたちはもちろん成長しますが、大人も成長するんだと感じることができる1冊でした。 -
これって昔映画であったなぁと
映画は見てないので内容は知らなかったのですが
3人の男の子(小学6年生)とおじいさんのお話
死んだ人が見たい。3人はそろそろ死ぬんじゃないかと噂のおじいさんを見張ることに・・・
張り込みがばれた子ども達とおじいさんの忘れられない夏休みが始まる
6年生にも,大人にも読んで欲しい1冊でした
この作品は自分の子供の頃に戻るようなノスタルジックな感じがとても好きな作品でした。
最近、成人した子供たちに...
この作品は自分の子供の頃に戻るようなノスタルジックな感じがとても好きな作品でした。
最近、成人した子供たちに読ませたいなぁと思っています^_^
私は違う表紙の夏の庭を読んだのですが、本当に比喩でなく、最後は涙しました。ぎこちなく心を通わせていくのが感動...
私は違う表紙の夏の庭を読んだのですが、本当に比喩でなく、最後は涙しました。ぎこちなく心を通わせていくのが感動的ですよね。秋桜さんは違うところで感動したかもしれないですが。
本棚を覗き、夏の庭が登録されていたので感想を読ませていただきました。ありがとうございます。