記憶の国の王女

  • 徳間書店 (2002年12月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784198616229

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

物語は、王女が現実世界に現れるという独自の構造を持ち、メタフィクションの魅力を存分に引き出しています。世代を超えた物語の継承や、読者自身が物語の一部となる体験が描かれており、物語を「読む」ことの新たな...

感想・レビュー・書評

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  • 物語内の王女が、現実世界に湧出してくるといった珍しい構造の物語。すでに書かれた物語、世代を超えたその読者、それらが混淆した後の新たなる筆者、そしてそれを今読んでいる私たち読者、というようなメタフィクション世界が構築されている。読後感もきわめて爽やかだし、物語を「読む」ことの意味が新たになることにおいても斬新だ。ただ、タイトルを原題通りの『とてもすてきな大きなこと』にしなかったことは納得がいかない。子どもたちがこれを読んでいて、まさしくこの本こそがそれなのだと知った時の驚きと興奮を想像しなかったのだろうか。

  • 頁をめくるときはいつもそこにひとつの全き物語をみつけたものだった。黒いインクで印字された文章たちは、わたしが読むまなざしによって立ち上がり、登場人物たちや形容詞たちや慣用句たちや展開たちは素敵にてざわりのあるものとなった。それは完成されていた。

    なにか書きつけようとするときだって、そのお話の奥へもぐればもぐるほど、まるで恐竜の化石をまるごと発掘するかのように、お話の細部のつじつまがあってくるものだと思う。

    印字されない物語はどこにいくのか。散逸してしまった書籍の中身はどうなるのか。紙とインクが無かった時代、炉端で受け継がれた物語は、確かに記憶と夢とを橋渡しされていったのだろう。

    物語にひざまずき忠誠を誓おうではないか。

  • 名作です!
    本の中の主人公が、本の世界や読者の夢の世界で生きているのが本当に面白い!
    それに加えて、読者の現実の悲しみも描かれているところがすごくいいの…!
    幼いころに読んだ物語が記憶に残るということの尊さ。夢中になって読んだ本の登場人物が心の傷を癒してくれる優しさ。世代を超えて本を引き継いでいく家族の愛。
    いつでも心の中にファンタジー小説を持っておきたいなと思える幸せなお話だった。
    本って味方だ。
    あまりにも好きになったから、この作家さんの作品読みたい!と思ったのにこれしか書いてない…?
    もっと書いて欲しかった…!

  • 久々の児童書

    本の中から登場人物が話し掛けてきたら?何年も開かれていない本の中で勝手におしゃべりし、くつろいでいたら?夏休みに読むのにふさわしい、本好きがウキウキしちゃう内容だった。

    おそらくこの本もしばらく手に取られることはなかったのでは?

  • 2015/6/22

    933||タ (3階文学)

    物語の登場人物たちは本が開かれるたびに、同じ“人生”を繰り返さなくてはならない。その“人生”が変わるのは、「物語の続きを誰かが書いてくれたとき」か「書き換えてくれたとき」だけ・・・でも、読者がいなければ?? きっと退屈。
    たとえ同じ“人生”を繰り返さなければならないとしても、きっと物語の登場人物たちは、読者を待っているはずです。
    図書館にあるたくさんの本の登場人物たちの退屈を救ってあげてください。

  • 表紙では女の子が巨大な本につっぷしてますが、実際は小さい本です…雰囲気は素敵だからまぁいいんですけれども。
    私が読んだ分には登場人物表に誤植ありました。

    装丁 / 坂川事務所
    装画 / 中島 美弥
    原題 / "THE GREAT GOOD THING"(2001)

  • 児童書だとは思うけど、なかなかにシュールでもの悲しい部分あり。
    「本」と「夢」がつながっているって想像ふくらむなあ。子供の頃、お気に入りの本のキャラクターが夢に出てくるとすごく嬉しかった。いまは忘れてしまっていても、そこにずっといるのかもしれない。

    最後の「作者」ってあの人のことなのかなあ。

    読後、タイトルは原題直訳の方が合うと思ったけど、内容知らない人は「記憶の国の王女」の方が手に取りたくなるかな・・・

  • 王女、むっちゃ冒険好きやん!!!!!!!!!

    シルヴィはお話の主人公。
    シルヴィは、幸せに暮らしていました。
    しかし、あまりにありふれた冒険も何もない
    幸せでした。
    そんなの、つまんなくてたまりません。
    そんな思いに悩んでいたある日、
    久しぶりに本が開いた!と思うと、そこには
    今までに見た事のない景色が広がっていた。

    シルヴィは本の掟を破り、新しい世界へと足を踏み出す・・・・・・・

  • たぶん生まれて初めて自分で読んだ小説。そういう意味ですごく思い出深い。いまの私はなかなかファンタジーを読めなくなってしまった。

  • 「来たぞぉぉぉぉ! 読者だ! 読者だ!」「ほぉぉぉんが開くよぅぅ!」(本が開くよー!)この台詞を聞いてワクワクしない人、この本の110頁あたりまでにドキドキしたり思わず涙が出たりしなかった人、そういう人と、私はお友だちにはなりたくありません、なりません。物語を読む読者と読者に読まれる物語、の、物語。物語と夢と記憶と時間と、の、物語。物語(に登場する者たち)と、読者と、作者と筆者(authorとwriterかしらん……気になる)と、の、物語。これ、そのまま良質な映画になりそうなのに。『はてしない物語』や『アリス』みたいに。フィリパ・ピアス『トムは真夜中の庭で』も想起されるような。「心で作られるものはみんな、永遠の命を持っている……」

  • 物語を読む、ということ。

    誰でも心の中に持っている、幼い頃読んだ物語。
    それは成長していくにつれて、外の世界に触れるにしたがって、薄れていく。
    けれど、本の中では登場人物たちが生きている。いつでも同じ役割を演じ、迎えてくれる。
    そんな彼らが本から抜けて読者の心の中に入ってきた。

    この本の中では少女の夢の中、心の中に入ってくるけど、考えてみればそれは私たちにも自然に起こっている事なのではないだろうか。
    心の中に像を結んで、それを子供に、孫に伝える。
    そうして物語は次々に移り、続いていく。

    物語の登場人物たちは年を取らない。
    彼らは言う。「どうして今のままで完璧なのに変わらなければいけないのか」と。
    彼らにとっての完璧は彼らの世界、彼らの物語を演じる上での完璧であって、私は私の世界、私の人生を演じる上での完璧さを求めていかなければいくのだ。
    完璧は何も「隙がない」ことではなく、「満足のいく状態」だと考えたほうがシックリくる。
    そうして、いつかいなくなる時にいつか出逢った物語を思い出せれば幸せだろう。

    思い出せば、いつでも会える。

  • 開かれない本『とてもすてきな大きいこと』の中で退屈しきっていたシルヴィ姫が禁忌を犯し、本の読者を見上げてしまったことをきっかけに、シルヴィは本の外の世界へと足を踏み入れる。ありきたりの御伽話に飽きてしまった人に是非オススメしたい一冊。

  • あなたが開く本の中の登場人物たち…
    本が閉じられている時、彼らがどうしているか、考えたことはありますか?
    実は彼らは好きに動いていて、あなたが本を開こうとするその時、慌てて物語の定位置についている…
    そんな風に、登場人物たちが動いているかもしれません。

    さあ、本を開いてみましょう…!

  • シルヴィ姫は『とてもすてきな大きいこと』という物語の主人公です。
    読者に本を開かれる度、「来たぞぉぉぉぉ!読者だ!読者だ!」「ほぉぉぉんが開くよぅぅ!」という合図で、本の中の住人は慌てて自分の持ち場に走ります。しかし今や埃だらけの本棚に何年も放ったらかしにされ、登場人物は退屈な毎日。
    ある日一人の少女クレアが最初から最後まで本を読んでくれ、みんなは自分の訳の台詞を喋ります。最後まで読んでくれたのは、昔この本を毎日のように読んでくれた藍色の目をした少女以来。再び読もうとしながら眠ってしまった少女を見て、シルヴィは思わず彼女の夢の中に飛び込みます。
    しかし、クレアも年を取り・・・。

    児童書ですが、大人向けのファンタジーとして読み応えがあります。
    読後感は夢の中にいるような感じでした。でも、きっと本を愛する人であればこんな想像を一度はしたことがあるのではないでしょうか。
    そして、昔読んだまましばらく開いていなかった本を必ず開いてしまうはずです。


  • 未読

  • 本気で感動する作品。長い時の流れと人間の生死、そして人々の記憶をまたにかけ、王国は再興する。

  • 派手な作品じゃないんだけど、どっちかっつーと良書。死ぬという概念を理解できないお話の登場人物(お話は繰り返されるだけだから死は無い)の、素朴な質問にうっかり泣いてしまった…

  • 面白かったです。本を開くたびに考えてしまいそうです。うまい仕掛け。この表紙もなんか、好きだなぁ。

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