- Amazon.co.jp ・本 (414ページ)
- / ISBN・EAN: 9784198617677
作品紹介・あらすじ
幼いころから馬と一緒に暮らしてきた少女テッサ。両親が離婚したせいで、故郷アイルランドから英国にやってきたテッサは、大好きだった馬のアカリと無理やり引き離されて悲しみのどんぞこに突き落とされたあげく、母親の再婚相手の残虐さに憤り、自分の居場所を見つけられずに殻に閉じこもってしまう。だが、無理やり働きに出された厩舎で、思いがけずアカリの子馬「ピエロ」と再会すると、テッサの頑なな心に一筋の希望が生まれたのだった。-ピエロに騎乗して、イギリス最大の障害レース「グランド・ナショナル」に出たい。私は騎手になる。それが私の夢…だが、炎のような気性をしたテッサは、残虐な義父のやり口に腹をたてるあまり、刃物を手に…一頭の馬にすべてを賭ける少女の一途さをあざやかに描きだす、感動の青春小説。
感想・レビュー・書評
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K.M.ペイトン、少女の頃、『愛の旅立ち』『雲のはて』『めぐりくる夏』の「フランバーズ3部作」に夢中になった。
その「フランバーズ三部作」の続編が書かれたと聞いたのは、それから二十年ほどたった頃だっただろうか。
階級差を超えての結婚生活が破綻するという続編を、私は手に取ることができなかった。
それから、更に時は流れ……
今、再びペイトンに夢中になった。
何で、邦訳はこんな、タイトルにしたんだろう? 全然ペイトンらしくない。
「BLIND BUATY」……それが原題だ。
少女テッサ、両親の離婚により、大好きな馬と引き離され、心がすさむ。
さらに、母の再婚相手は、冷酷非道の男……
学校を追われ、荒れる彼女の心を救ったのは、不格好な一頭の馬だった……
愛馬とレースを走ることを夢見、騎手を志す少女の青春小説は、
自らも馬と乗馬を愛する作者らしい。
その昔、インプットした記憶は今も鮮やかで、我ながら恐れ入る。
本作はペイトンの愛した馬がモデルだという。
ペイトンは、今、齢80を超えている……
私もこの作家の人生と、時折出会って今を迎えてきているのかと思うと、感無量だ。
さて、肝心の物語。
まっすぐで、まぶしいほどの青春小説。
不可能を可能にするのは自分。決して負けちゃいけない。
そんなメッセージを、素直に受け止められるのは、
少女の頃、大好きだったペイトン氏の言葉だからだろうか。
テッサの物語に夢中になった、この年の瀬は、幸せな時間だった。
今でも、こんな感覚になれる自分と、物語の力にも感動している。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
先天性視覚障害馬が肌馬になる導入。テッサの父はアル中、母の見つけた再婚相手は馬主業で金持ちだが馬を愛していない(もちろん馬は消耗品ではあるから情を移さずビジネスと割り切らないと辛い)。第1部が12歳と15歳(反抗児と少女騎手デビュー)に分かれ、第2部冒頭では『ターミネーター2』のサラみたいになってる。社会的動物であるピエロも。両部ともグランドナショナル大障害(40頭立7200m30障害)。騎手の意志の強さが馬に伝わるレース展開の描写が素晴らしい。章名が内容を予告するHEだからYAというよりジュニア小説かな
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とにかく面白かった。馬好きにはたまらない1冊。
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K.M.ペイトン