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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784198621919
みんなの感想まとめ
過去と現在が交差する中、主人公が父との複雑な関係を見つめ直す物語が展開されます。兄の命日を機に地下鉄を通じて過去の風景に戻った真次は、若き日の父と出会い、彼の人生の重みを知ることで、憎しみから共感へと...
感想・レビュー・書評
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地下鉄が繋ぐ、過去と現在。
出口の階段を上ると目の前に広がる、今はもうない街並。
過去の風景の中で眩しい笑顔を見せる、若かりし頃の父。
父の暴言が優しかった兄を死に追い込んだのだ、と憎しみを募らせ
20数年間縁を切ったまま、父が病に倒れても見舞いに行く気など毛頭ない真次が
兄の命日をきっかけに、地下鉄で過去の世界へと運ばれ、
父が重ねてきた歴史を遡りながら
時代に翻弄され、変わらねば生きられなかった父の哀しみを知り
「僕らはただ、父のように生きるだけです」と静かな共感をもって歩き始める物語
と書いてしまうと、とてもノスタルジックで美しい物語になってしまうのですが。。。
その美しさが、自らの存在を消してでも真次の幸せを守ろうと願う、愛人みち子の献身や
真次が父の許に置き去りにした弟の苦しみをただひとり受け止め、
離婚まで考えるほど親身になって考えてやる妻の慈愛を踏み台にして
成り立っている感じがするのが気になってしまって。
殴られ、足蹴にされても父の横暴に耐えていた母を見て育ったのに、
狭い家で義母と同居し、子ども2人を世話しながらパートに出て家計を支え
義弟の苦労まで慮ってくれる妻を捨てて愛人と出奔する決意をあっさり固める
真次がどうしても許せなくて
最後に遺されたルビーの指輪を、記憶がないとはいえ
箱だけ買って妻にプレゼントするなんて、みち子にも奥さんにもひどすぎる!
それは大切にどこかに仕舞い込んで、奥さんには別のをきちんと選んで
プレゼントしてあげて!と言いたくなってしまう。
情に篤く曇りのない瞳をしていた少年の佐吉が、戦争をくぐりぬけ
抜け目ないアムールとなって成り上がり、押しも押されぬ成功者として君臨するために
幾重もの汚れた鎧を見に纏わねばならなかった切なさは伝わるし
タイムスリップした過去の風景の描写のすばらしさには感動するけれど
出てくる男性のほとんどが、女性の愛情を当然のように享受するだけで
踏みつけにしている感じがするのがやるせなく、胸が痛い作品でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
地下鉄から交差する過去と今、嫌悪していたはずの父の姿の真実・・
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戦後の混乱の最中に財をなした父に反目して家を出た『真次』は、兄の命日の夜地下鉄から階段を上って出て行くと、そこには懐かしい風景が広がっていた。ちょうど兄の死んだ日に辿りついた彼は、兄の自殺を止めるべく行動したのだが戻った先は変わっていなかった。
その日を境に、どんどん古い時代へと地下鉄は彼を運んでいく。その先で出会ったのは、若かりし日の父の姿だった。
メトロというの言葉は、なんとなく哀愁のある響きをしている。
そしてこの物語で紡がれる時代も、直に知ってはいないけれど何故か郷愁を感じさせてくれる。貧しく苦しい時代だったはずなのに、活気というか生そのものが息づいているような、今は失われてしまった何かがあるような気がしてならない。
苦く、哀しい話だったけど、読後感は悪くない。 -
地下鉄に乗ってタイムリープを繰り返しながら、父親の人生を追体験する。
傲慢な経営者としての父親を嫌い、その父と対立し、自殺したとされる兄。
受け入れられない今があるなかで、自分と似た父親を理解していく。
戦争と戦後の生き方、なにを信じて家族を守るか、そして家族を失うか。
我が人生と照らし合わせ、人を理解する難しさを身に染みて感じた。 -
展開が早いのでさくさくと読み進められる。私は世代が違うこともあり、特に誰にも感情移入はせず読了。面白かったけれど、特に何も手元には残らなかった感がある。
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この作品は筆者の体験をオマージュしたものだ。一か月の資料考証と一か月の執筆時間を配分した。その間に作者は、しみじみ小説のありがたさを思い知らされた。調べながら作者は父の人生を理解することができた。大正13年生まれの父は、おそらく有史以前の最も過酷な時代に生まれ育った日本人と云えるだろう。関東大震災の焼跡に生を享け、物心ついた時が金融恐慌で、小学校をおえるとたちまち丁稚に出された。2.26の記憶を聞いたとき、「足がつべたかった」と父は云った。工場で出来上がった製品を、五貫目もあるリンゴ箱に背負わされて届けに出たところ、戒厳令でバスも市電も止まっていた。折しも雪の日である。途方にくれているうちに千日履きの足が凍えてしまい、銀座の地下鉄の通風口に佇んで暖をとった。と父は言った。ようやく施盤を回せるようになったころ、赤紙がきた。昭和20年春のことである。初めて乗った地下鉄の印象を訪ねると、父はなぜそんなことを訊くのだというふうな顔をしてから「やかましくて、暗かった」とだけ言った。九死に一生を得て復員したあとの闇市では、怖いものなど何もなかったようだ。そんな父の次男坊として生まれた作者は、高度成長の申し子である。おそらく有史以来最も幸福な時代に生まれ育った日本人であろう。兄たちの世代はまだ物がなかったし、弟たちの世代は競争させられた。平穏な家庭の親子でも、この父と子の価値観のちがいは容易に埋められまい。だが「地下鉄に乗って」は、父と私に奇跡をもたらせてくれた。「父に捧ぐ」と標題に書けまい。それでこのタイトルにしたのだと言う。
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終わり方はもっとスッキリしててほしかったエゴに包まれたけど、これが人生か。それでも生きていくんだ。
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NHKで映画化されたものを録画していて最初の10分間みてこれは只者でない感じがしてすぐに図書館で予約して読んだ。まあ、最近にない感動を受けたね。物語の背景が自分の生きてきた昭和だったせいもあるが、最後に愛人が自分の母親を階段から突き落としてお腹の赤ちゃんを殺すね、つまり自分を。これはショックだった。言うなれば自殺しちゃった訳だけど、すごいショックだった。滂沱の涙が溢れて目の掃除が出来ましたが。映画で見る気がしなくなった。主人公の奥さんが可愛そうだね。男の身勝手さがよく分かる筋書きだったけど、ほんとに身勝手だよね。
面白い小説でした。 -
読みやすかった。
悲しい結末ではあったが、読後感は悪くなかった。 -
浅田先生の文体はとても格調高く美しい。ただ物語としては登場人物に感情移入できず、楽しめなかった。
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図書館の本。初読。
物語に引き込まれ、最後まで一気読み。
ヒロインがむかえる結末を、予期出来ずに、驚いたし、悲しい気持ちになりました。
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彼の人生はいつも地下鉄とともにあった。いつもどおりに道を歩いていると、彼は時折過去の世界に迷い込んでしまうようになる。その世界で見えてくるのは彼の、そして家族の過去。すべてを知ると、全く違う光が差し込んでくるようで。
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映画も観ましたが、小説の方がずっとおもしろいです。
タイムスリップを利用して、理解したくもない父親の良く見えない、見せていない一面を迫力満点で見せつけてくれます。
親の心子知らず、子の心親知らずで、最後はほろりとします。 -
中盤までどうも情景を想像出来ず、時代の言葉も難しい…、読むのを諦めようかと思ったけど、段々世界観が分かってきて謎も明らかになっていって、読み続けて良かったなと\(^^)/
真次の性格はあまり好きになれず、節子が真次に進言した時は激しく同意した(^^)笑
映画化もされてるならそっちの方が見やすいのかな。 -
最後の展開が個人的には驚いた。
自分の存在そのものを賭けて守りたいものってなんだろうね。やっぱ子供、かなぁ。
ヒロイン?の考えというか心理が読み解き切れていないのは、自分の力の無さか。(苦笑)
男って基本不器用だよね(笑) 時代によっても違うだろうけど、ここで描かれている時代、特に父親の時代は、今とは比べものにならないかも。(笑) -
オフ会課題本。特別版も読了。エッセイを読むとこの作品に込めた浅田さんの思いがより伝わってきますね。ただし、オフ会では最後のエッセイは討論の範囲に含めません☆詳細はオフ会終了後に。
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タイムスリップして、生命力あふれる父親の若いときの姿に触れる、なんていいね
現実世界と仮想世界の狭間で揺れる、みち子がなんとも哀しい
一抹の哀感をおぼえる作品 -
面白い。読みだしたら止まらなくなって、一気に読んだ。
主人公やその恋人が物語の中でタイムスリップするのだが、その中で彼らに関係する人間の人生が見え、物語が深まっていく。時代が行ったり来たりするが、混乱せず読み入っていける。
こういった物語を作れるのは、本当にすごいと思う。 -
タイムスリップをしながら謎が明らかになるストーリーだが、意外に自然な感じで読めた。
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