頼山陽 上

著者 :
  • 徳間書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (493ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198624217

作品紹介・あらすじ

自由闊達で洒脱な文化人、反骨の文筆家として文化・文政年間を鮮やかに生き、歴史書『日本外史』で幕末の若者の心を尊皇へと傾けたひとりの男の人生は、父への反抗から始まった。儒家の大家である厳格な父・春水と、父が信奉する幕藩制度への反抗心は青年山陽の心をむしばみ、ついには脱藩を決意させる。自らの欲望を制御できず放蕩を繰り返し、幽閉されても「都に出て文で名をあげる」夢を捨てきれず、京に出て…青年・山陽に翻弄される頼一族。だが、山陽の夢を誰よりも早く理解し、応援したのは母の静だった。文化文政期が生んだ最高峰の文筆家、頼山陽の破天荒な思春期。

感想・レビュー・書評

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  • 購読している朝刊・中国新聞紙上に2004年10月から2007年4月まで連載されていた作品。
    毎日楽しみに読んでおり、単行本になったあかつきには通して読もうと思っていたのです。
    しかし昨年10月に刊行されたものを見てびっくり。
    ハード上下の2段組という長さにちょっと二の足を踏んでいたのですが、年明けに一念発起し読み始めました。
    合間で他の本を読んだりしていたせいもあり、1ヶ月近くかかってしまいましたが。

    そもそも、頼山陽については
    幕末の志士たちのバイブル「日本外史」を書いた人
    息子の三樹三郎が安政の大獄で刑死した
    山陽にまつわる史跡(居室跡?)が広島の市街地(一等地)にある
    くらいの知識しかなかったのです。
    広島出身だということも知りませんでした。
    歴史に残る作品を書いた人だから、さぞかし学者然とした人物だったのだろうと思っていましたが、こんなに破天荒な人物だったとは。

    「家」という制度と儒家の大家である父に反発し脱藩の上、廃嫡。
    「都に出て、文で名を上げる」という夢だけのために全てをつぎこむ山陽。
    そして、そのたびに振り回される一族。
    正直、身勝手すぎる山陽に辟易しましたが、「歴史書を書く」「文によって名を上げる」ということに対する執念はいっそ気持ちのいいほど。
    こんな山陽に育てた母・梅颸(ばいし)にもとても興味がわきましたので、彼女が主役で書かれている作品も読んでみようとおもいました。

    そしてあれだけ嫌っていた「家」という制度。
    結局は父・春水の威光や一族の献身的ともいえる後始末で自身の成功も成り立ってきたのだと気付く過程がとてもよかったです。

    文化・文政年間ということで、そうそうたる文化人たちの登場も華を添えていました。
    「お宝鑑定団」に出てくるような人たちばかり。
    東広島市で「頼山陽」を大河ドラマに!という動きがありますが、面白いものができるのではないかな?と思いました。

  • 歴史上、広島が産んだ戦略家として名前を知ってる程度の人だった。テンカン癖を持ち、大言壮語癖を持ち、二十歳にして、京に上りたい一心で行動するものの、当時はそれは脱藩行為として連れ返されてしまい、三年余りの謹慎生活を送る羽目となる。それから永きに渡り、彼には変人の異名が付いて回る事になる。現代の世の中では、自己中で、女好きで、ビッグマウス、そういう輩は沢山居るが、彼は有言実行タイプで、当時は、煙たがられた事だろう。しかし読むのが大変、上下二段で490ページ、それがもう一冊、借り出して一週間手を付けなかった。京極なら確実に千ページモノだな…

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