神去なあなあ日常

著者 :
  • 徳間書店
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本棚登録 : 5108
レビュー : 1024
  • Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198627317

感想・レビュー・書評

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  • 読もう読もうとは思っていたのに、膨大な「読みたい本リスト」に埋もれていたこの本。
    続編が出て、これではいけない!と慌ててこちらを読み始める、計画性のない私です。

    やりたいことも特になく、高校を卒業しても親の庇護のもと、
    まあ適当に食っていければいいや♪ とタカをくくっていた、都会っ子の勇気。
    完全に名前負けもいいところの、この勇気くんが
    担任と母の陰謀(?!)により、たった三万円の餞別を手に
    雑貨店が1軒あるだけの人里離れた神去村で
    林業の魅力に目覚めていく1年が描かれます。

    最初から逃げ出す気満々で、実際に何度も脱走を試みつつも
    自分が未熟なせいで班の効率があがらないことを不甲斐ないと思い
    村の一員としてなかなか認知されないことに淋しさを抱く勇気がかわいい上に

    山火事の際、自分が役に立たなかったことに責任を感じて
    犬小屋でうなだれたまま、ごはんさえほとんど食べなくなる犬のノコ、
    そんなノコに自信を取り戻させるため、飼い主のヨキを
    わざわざ崩した薪の山の下敷きにして小芝居を打ち、
    ノコに助けさせる山男たちが、あまりにもかわいすぎて♪

    何につけても「なあなあ」と、毎日のんびり過ごしているようで
    苗から見上げるような巨木に育つまで、百年単位のサイクルで
    木を慈しみ、森を見守り、山への敬意を忘れず、
    日本の林業を支える揺るぎない覚悟を持って生きる人々に
    静かな感謝を捧げたくなる本です。

    それにしても、30代にしてこの肝の据わった統率力、
    おやかたさまの清一さんが素敵すぎです♪

    • まろんさん
      nakaizawaさん、コメントありがとうございます。
      だらだらと、つい長くなりがちなレビューを、
      丁寧に、なんて言ってくださって光栄です!...
      nakaizawaさん、コメントありがとうございます。
      だらだらと、つい長くなりがちなレビューを、
      丁寧に、なんて言ってくださって光栄です!
      お言葉を励みに、これからも大好きな本の良さが少しでも伝わるような
      レビューが書けるよう、がんばります(*'-')フフ♪
      2012/12/29
    • koshoujiさん
      あけましてあめでとうございます。

      最近、まろんさんと同じようなタイミングで同じ本を読んでいますね(笑)。
      私は今「スタート」を読んで...
      あけましてあめでとうございます。

      最近、まろんさんと同じようなタイミングで同じ本を読んでいますね(笑)。
      私は今「スタート」を読んでおり、これが終わったら「ノエル」に取り掛かります。
      仙台で迎える正月は寒く、雪の毎日が続いております。

      今年もよろしくお願いします。
      2013/01/04
    • まろんさん
      koshoujiさん、あけましておめでとうございます。

      読書家のkoshoujiさんと、ほとんど同じタイミングで同じ本が本棚に並ぶと
      思わ...
      koshoujiさん、あけましておめでとうございます。

      読書家のkoshoujiさんと、ほとんど同じタイミングで同じ本が本棚に並ぶと
      思わず「よし!えらいぞ、私♪」とプチ☆ガッツポーズをとってしまうのはヒミツです(笑)
      この本は、清一さんの素敵さと、ノコのけなげさにきゅんきゅんしながら読みました。
      「夜話」のほうは、イナカの図書館にはまだ置いてくれていないのですが
      あの神秘的な着物のふたりなど、気になる現象がまた現れるのでしょうか。楽しみですよね!

      『ノエル』は、物語への信頼に溢れた作品だったので、
      koshoujiさんがどんなレビューを書かれるのか、とても楽しみです。

      函館の父も、今年は雪かきが大変とこぼしていましたが、仙台も雪のお正月なのですね。
      私みたいに風邪で倒れたりしないよう、気をつけてくださいね(*'-')フフ♪
      2013/01/04
  • 図書館に予約して、借りられそうになった新刊「神去なあなあ夜話」が、この作品の続編だということを知り、慌てて前作のこちらを先に借りて読んだ。

    林業小説というのはめずらしい。
    へたれな主人公勇気が、能天気な親から山の中に一人放り出され、林業を生業とする村「神去」の中で“なあなあ”に頑張っていく物語。
    題材が題材だけに読んで面白いのかどうか半信半疑だったが、そこは流石の三浦しをん様。
    料理の仕方がうまい。
    凄い事件があるわけでもないのに、キャラクター設定が絶妙で読み手を飽きさせない。
    過疎の村なのに出てくる女性がみんな美人、とくれば、まず男はそれだけで先を読みたくなるものだ。
    置物のような繁婆ちゃんの惚けた感は笑えるし、飼い犬のノコの健気なエピソードも楽しい。
    当たり前のことを当たり前に書いているだけなのに、何故に読んでいてこれほど楽しいのだろう。
    変わった小説家だね、三浦しをんさんは。
    山の崇高さや神秘さを信じながら、そこに住んでいる人たちの愉快な日常が上手にシンクロして不思議な世界を作り上げている。
    未成年の勇気と、惚れた年上女性直紀さんとはその後どんな展開になるのだろうかと胸が躍る。
    まさに続編が読みたくなり、先にこっちを読んでおいて良かったと思う楽しい作品でした。

  • 今まで積読していたのを、映画化されたので公開前に急いで読破。
    林業の世界を知るきっかけになった。「なあなあ」が口癖の神去村の人々に見守られながら、昔から続く林業、山や木をはじめとする自然に対峙するなかで、主人公がじっくりゆっくり成長していく姿が魅力的。
    そして、山の見方が変わった。

  • 初三浦しをん。
    これはどこをモデルにしてるんだろう。
    創作は入ってるんだろうけど、こんな祭りほんとにあるの?とか、いろんな面でもうほぼファンタジー。
    主人公もなんだかんだとありえないほどに素直。
    ヨキもいい男だけど、私的には清一さんが気になるよね~(笑)。
    30台半ばなんて、もうちょっと上でもよかったんじゃないの?
    私より下だなんて・・・ぶつぶつ。
    どこかに清一さんと嫁の2次創作でも落ちてないかと思ったけど、いまのところたどりつけてません(笑)。
    いつかするんだろうなーとは思っていたけど、まさかすでにされているとは。
    来月公開だそうだけど。
    あの祭りもやるんだろうか。
    直紀ちゃんとのあれこれは、配役的に萎えたので(笑)期待せず、抜倒とか祭りとかは見たいかも。
    ヨキはそう来たか、と思いつつも納得。
    清一さんは誰なの!!
    続編も読みたいと思います。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「配役的に萎えたので(笑)期待せず」
      歯に衣を着せない方なんですね、、、
      「配役的に萎えたので(笑)期待せず」
      歯に衣を着せない方なんですね、、、
      2014/04/07
  • 喜びは日常にあり 「神去なあなあ日常」

    横浜という都会で育ち「高校を出たら、まあ適当にフリーターで食っていこうと思っていた」イマドキの普通の男の子が、自分の意志とは関係なく学校の先生と親が勝手に応募した林業研修生として三重県の山奥へ行って林業をすることになる。

    山奥の神去(かむさり)村ではケータイも使えずネットもマクドナルドもコンビニもない。逃げ帰りたくても鉄道の駅までは延々と山道を歩くしかなく簡単ではない。一度は実際に脱出を試みるも失敗。

    そんなイマドキの普通の男の子、とくに執着も夢もなくふわーっと適当に生きてきた主人公が、毎日山で木を切り植林し四季の自然のなかで訳の分からない神事や風習につきあい村人と生活するのも悪くないなと思えるようになっていく。

    最初の数ページですごく楽しくうれしい気分にさせる小説である。
    著者の三浦しをんさんは確か数年前に直木賞を取った30代の作家だが、こういうふわーっと適当に生きている若者が日常のちょっとした成り行きで生きる喜びに目覚めていく描写は抜群である。数年前に読んだ「風が強く吹いている」は、それこそだらーっと生きていた大学生たちが素人同然の駅伝チームをつくって箱根駅伝に出る話だった。最後のゴールの場面では、読んでいて思わず感涙にむせんだ。今回の「神去なあなあ日常」は「風が強く吹いている」ように感涙にむせぶことはなかったが、読み終わってふわーっとやさしい風に吹かれた気分。秀作である。★四つ、つけさせていただきます。

    最近の若い作家の作品は大きな情熱、目標、ドラマティックな人生というより、日々の日常の中に生きる喜びを見つけ味わうみたいな小説が多いような気がする。人類の成熟というか時代の成熟というか、いい傾向だと思う。私も「リタイアなあなあ日常」である。

  • テンポよくて、熱くて、神話的な不思議な世界観があっておもしろかった。花粉症の時期に読んだのは失敗だったかもしれないけど、一気に伐採できない理由も同時にわかったから花粉に対してちょっとだけ寛容になれた気もします。読んだ後、柱に想いを馳せるようになりました。どこから来たの?何歳なの?って。すごくさわやかだなぁ。続きも読みます。

  • 林業や、神事、村での生活、村人たちの暖かさ。
    いい本でした。
    しをんさんの本を他にも読みたいと思ってます。

  • しおん作品5作品目。

    よくある都会に疲れて、田舎暮らしへ…というのではなく、無理やり放り込まれた山奥での1年。
    作者の父上のご実家付近(三重県美杉村)が舞台となっているらしく、描写もきめ細やかで季節が五感で感じられるようだった。
    「水の甘い音」などはさすがのしおん節。

    いつもながら未体験の場所に読者をトリップさせてくれる筆致の美しさ。
    さすが、しおん先生。

    神様から貸りた土地で生活の糧となる作り物の樹々を作らせて頂く。
    人間と自然が共生するって、色んな歩み寄りが大切と思った。
    時間の流れや惜しむ手間など。
    そんな共生の精神を一言で表すと「なあなあ」なのかなと。
    歴代のジブリ作品にも通ずる。

    読了後に宮崎駿氏の「ぼくのおすすめ」の帯にとても納得。
    是非是非、ジブリにて映像化を!

  • 一読の価値有り!
    幅広い世代に読んで貰いたいです。
    「なあなあ」とは「ゆっくり行こう」「まあまあ落ち着け」といったニュアンス。「のどかでいいお天気ですね」までこれで済ませたりするという。

    横浜の高校を卒業した平野勇気。
    進路を決められずにフリーターでいいと思ってコンビニでバイトしていたら、突然、担任と母親に、林業の研修生として、人里離れた村の奥に放り込まれてしまう。

    神去村は三重県中西部にある。
    指導係の与喜(ヨキ)は、会うなり勇気の携帯を開けて電池を捨ててしまう強引さ。どうせ圏外なのだが…
    中村林業株式会社の社長の清一さんは、穏やかないい人。
    ヨキの横暴や人恋しさに何度か逃げ出そうとも思うが、村には美女もいて…

    とくに、おやかたさまこと清一さんの妻の妹で小学校の先生の直紀に惹かれる。
    清一さんの息子になつかれ、ヨキの犬ノコとも仲良くなって。
    情けなかったり、悔しかったりもしつつ、男達の技のすばらしさと美しい村の風景に魅せられていく。
    お祭りがまた凄いです。
    御柱祭りのような…

    1年の出来事をわかりやすいタッチで描いています。
    2010年本屋大賞4位。

  • 高校の卒業と同時に無理やり送り込まれた山奥の林業の村で暮らすことになった勇気。
    見るもの全てが目新しく、驚くことばかりで、いつ逃げ出そうと考え過ごしていた。

    勇気の成長が微笑ましい。
    本気で逃げ出す、あるいは今どきの子なら病んでしまってもおかしくないほどのそれまでの生活とのギャップ。
    そんな心配がなかったからこそ、先生も親も送り込んだのでしょうが。

    山男達がみんな魅力的。
    彼からによって森の木は多くの手を掛けられて育っていることを改めて知りました。
    そして、山に住まわせてもらっているという考え方にジンとしました。

    花粉症の私には春の神去のシーンはきつい。
    読んでいるだけで鼻がムズムズです。

著者プロフィール

三浦 しをん(みうら しをん)。
1976年、東京生まれの小説家。出版社の就職活動中、早川書房入社試験の作文を読んだ担当面接者の編集者・村上達朗が執筆の才を見出し、それが執筆活動のきっかけになった。小説家の専業になるまで、外資系出版社の事務、町田駅前の古書店高原書店でアルバイトを経験。
2006年『まほろ駅前多田便利軒』で直木賞受賞。2012年『舟を編む』が本屋大賞に選ばれ、翌年映画化された。2015年『あの家に暮らす四人の女』が織田作之助賞受賞。また、『風が強く吹いている』が第一回ブクログ大賞の文庫部門大賞を、2018年『ののはな通信』が第8回新井賞を受賞している。
Cobalt短編小説賞、太宰治賞、手塚治虫文化賞、R-18文学賞の選考委員を務める。最新刊に、『愛なき世界』。

神去なあなあ日常のその他の作品

神去なあなあ日常 Kindle版 神去なあなあ日常 三浦しをん

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