殺人者

著者 :
  • 徳間書店
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本棚登録 : 45
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (346ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198627775

作品紹介・あらすじ

21歳の母親が子どもを自宅に置き去りにし、保護責任者遺棄の罪で有罪判決を受けた。預けていた我が子を児童養護施設から引き取って間もなくのことだった。その後、N市の路上で男が殺され、さらに児童養護施設のある香西市郊外で女の変死体が発見された。被害者はいずれも子どもを虐待していた-。宮田刑事たちの捜査は混迷を深めるが、やがて第三の事件が起き、驚くべき事件の構図と"殺人者"の姿が明らかに…。連続殺人事件の現場に残された「殺人者には死を!」の文字。浮かび上がる容疑者、深まる謎。新趣向の書下し本格推理。人間の心の不可思議さに迫った問題作。

感想・レビュー・書評

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  • 児童虐待をテーマにしたミステリ。現実にも多い児童虐待は許せない犯罪だなあ、と思いますが。考えれば考えるほど奥の深い問題なのですね。「殺人者」という言葉の意味も重くのしかかりました。ただ、許せるものじゃないけど。当然、だからって殺してもいいのではないわけで。
    犯人が誰なのか追い求める過程は、オーソドックスに思えて案外とトリッキー。うわあ、そう来ますか。傍目には歪んだ形の「正義」と見えないこともないけれど、これは「狂気」ですね。

  • 「殺人者~ソウルマーダー」深谷忠記(徳間文庫) これといった感想は無し。つまらん部類。タイトルに惹かれてついつい。ま、テーマになってる育児放棄やらDVやらは考えさせられますがね。

  • 登場人物が多かった。

    施設の職員
    教師
    子供達
    刑事

    祖父祖母…

    読み進めるうちにそれはちゃんと頭に入るんだけど
    最初はズバババッと読まないと忘れちゃいそうだと
    かなり焦って読み進めました(笑)

    狭い世界に被害を受けた何人も…。
    心が痛かった。

  • 2011/5/16

    913.6||フカ (3階日本の小説類)

    21歳の母親が子どもを自宅に置き去りにし、保護責任者遺棄の罪で有罪判決を受けた。預けていた我が子を児童養護施設から引き取って間もなくのことだった。その後、相次いで起きた殺人事件の被害者は、いずれも子どもを虐待していた。
    刑事たちの捜査は混迷を深めるが、やがて第三の事件が起き、驚くべき事件の構図と“殺人者”の姿が明らかに…。人間の心の不可思議さに迫った問題作。
    いま児童養護施設入所者の多くが虐待を受け、心に何らかの傷を持って入ってくる。虐待や児童福祉施設の姿が少し垣間見え考えさせれる作品になっている。

  •  背中に【殺人者には死を!】と書かれた紙が貼られた変死体が連続して見つかった。殺された者たちの共通項は、娘や息子、孫が児童養護施設「愛の郷学園」に通っていること、そしてどうやら虐待をしていたということ。ところがさすがに殺人を犯した者はいない。”殺人者”とは一体何を意味するのか?そして犯人は?

     児童虐待をテーマとした作品である。やるせないなぁと思ったのは、保護する側からみれば子供達にとって毒にしか見えないような親であっても、子供は怯えながらもやはり親を欲し、愛されたいと願っているため、虐待するような親でも簡単に警察につきだすようなことはできないということ。親が逮捕されることによってさらに子供が傷つくからだ。都合のいい時だけ親権をふりかざし子供を手元に置きたがる親に怒りを覚えながらも、その気持ちをおさえてまず子供のことを第一に考えて行動するということは、できそうでなかなかできないだろうなぁと思った。なぜ”殺人者”という表現がされていたのかはもちろん作中で明らかになるのだが、それはなるほどその通りだと思う。だからと言って、犯人の行動は一線を超えてしまっていてもちろんいきすぎなのだけれど。虐待の負の連鎖はなかなか断ち切ることができないというのは結構知られていることだと思うし、それゆえにこの物語の中で疑われてしまう人物が多数いるのだが、犯人がその内の誰でもなかったというのは少し救いかもしれない。

  • 三件の殺人事件の被害者は児童虐待をしていた。犯人のメッセージは「殺人者には死を」。
    メッセージの意味は虐待をされた子ども達は魂を奪われてしまう=それは殺人にも等しいから。
    その犯人は誰か?
    終盤まで緊張感をもって読めたが最後があっけない結末で残念。

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著者プロフィール

1943年東京都生まれ。東京大学理学部卒。82年『ハーメルンの笛を聴け』で第28回江戸川乱歩賞候補。85年『殺人ウイルスを追え』で第3回サントリーミステリー大賞佳作。〈壮&美緒シリーズ〉に代表されるトラベルミステリー、『自白の風景』『黙秘』『審判』『目撃』『無罪』などの法廷ミステリー、『「法隆寺の謎」殺人事件』『人麻呂の悲劇』などの歴史ミステリーにも定評がある。

「2023年 『殺人者 〈新装版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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