毛沢東のバレエダンサー

  • 徳間書店 (2009年8月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784198627874

みんなの感想まとめ

心の中に芽生える言葉の影響と、それをどう育てるかがテーマの作品です。主人公のツンシン氏は、中国の貧しい農村から毛沢東政権下の厳しい環境を乗り越え、バレエダンサーとしての道を切り開いていく姿が描かれてい...

感想・レビュー・書評

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  • 幼少期に大人から与えられた言葉は、植えつけられた種のように心の中で芽吹き、少しずつ育っていく。主人公のツンシン氏が作中何度も繰り返すこの感覚は、自身も経験したことがあるため非常に納得できた。良い言葉も悪い言葉も、無意識のうちに自分の中に蓄積されていく。そしてどの言葉を心の拠り所とするかは自分次第であり、己を律しながら上を目指し大成するか、楽な道へ逃げ続けて腐ってしまうかが決まる。ツンシン氏は間違いなく前者である。

    中国共産党に苦しめられ、毛沢東政権下の激動の時代を生きた人々の自伝は何冊か読んだが、その中でも本書のツンシン氏が最も幸運な人物ではないかと思う。

    以下、本書より抜粋。
    「夢のようにすばらしいことは、簡単には実現しないんだ。」

  • ◆きっかけ
    ブクログ。eriko-mさんの本棚より。2016/10/7

  • 中国の貧しい農村出身の少年が、毛沢東政権下の激動の時代、政府管理下のバレエ訓練生として数億人の中から選ばれ、想像を絶する練習に耐え、成功し、アメリカへ亡命するまでを描いたベストセラー実話。11歳で親許を離れ、寂しさに耐える主人公が、バレエの楽しさに気づき自信を得てからの成長ぶりがすごい。当時の中国の生活、共産主義の影響、中国古来の教訓なども勉強になり本当に面白かったです。これが原作となった映画『小さな村の小さなダンサー』も素晴らしいそうなので是非観ねば!

  • 映画『小さな村の小さなダンサー』の原作となった、リー・ツンシンの自伝。

    突然中国政府から西欧の芸術であるバレエを学ぶように言われ困惑するツンシンですが、よき指導者に恵まれてレッスンに励み、次第に頭角を表して行きます。
    やがて文革の終焉を期に国を飛び出し、留学生としてアメリカへ。

    本書では幼くして家族と離れる寂しさを乗り越え、迷い悩みつつバレエにのめり込んで行く姿(前半)と、バレエダンサーとしての飛躍と、中国人としてのイデオロギーやアイデンティティーに苦しむ姿が描かれています。

    文章の端々や写真の説明などからも、ツンシンの優しい人柄とバレエを愛する気持ちがにじみ出る良作。

    彼にとって幸運だったのは中国人の文化や人間性をことごとく破壊する事になった文化大革命が、彼の成長に合わせるように終焉を迎えた事ではないかと思います。
    古い因習のままでは彼は西側に留学する事など夢にも思わず、一生を国で終えていたことでしょう。

    既にダンサーとしては現役を退いているツンシンですが、ぜひ一度彼の踊る映像を見てみたいです。
    映画『小さな村の小さなダンサー』でツンシンを演じる俳優さんはツンシンと同じ舞踏学院の後輩にあたる方だとか。
    劇中では彼のシャープな素晴らしい躍りを観る事が出来ます。

  • 1960〜70年代の中国農村の暮らし、教育といった部分で興味深く読んだ。

  • ありがちな文革期暴露ものではなく、「バレエ」のなんたるかも知らない少年が貧困の村から突然北京でバレエを含む舞踏の精鋭としてのスパルタ教育を受け、成長していくノンフィクション。とかく文革期の本は自分がいかに辛酸を舐めたか、もしくはどれだけ文革の舞台裏を知っていたかを誇らしげに書きがちなのだが、本書は前述の通り、本人の意志など無関係にいきなり国都へ連れて来られてバレエをはじめとする舞踏の教育を受けた11歳の少年が、いかにしてバレエという芸術に目覚め、かつ故郷の村から北京、そしてアメリカと、徐々に徐々に“井の中の蛙”だった少年の“井戸”が大きくなるにつれ、どのように自分が生きている社会について眼差しが変わって行ったかを自然に描いている。久々に中国のノンフィクションものでの(自分の中での)ヒット。

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