中国ひとり勝ちと日本ひとり負けはなぜ起きたか

  • 徳間書店 (2010年2月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784198629014

感想・レビュー・書評

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  • (2012.05.27読了)( 2012.04.25購入)
    奥付の著者略歴には、「国際政治、経済の舞台裏を独自の情報で解析する評論やルポルタージュに定評があり、同時に中国ウォッチャーの第一人者として健筆を振るう」と紹介してあります。
    この本も中国について書いたたくさんの本の中の一冊です。最近中国の力がかなり強くなってきているようなので、どういうことになっているのかと読んでみました。
    独自の情報と思われる話題が豊富で、いろいろ勉強になりました。中国の権力中枢の派閥争い、腐敗構造、手抜き工事、等、マイナス的な情報に焦点が当たり、今にも瓦解しそうなイメージを受けてしまいますが、中国製品が世界にあふれ、有人宇宙飛行ができる技術力は、世界に通用する力をつけてきていることも事実と思われるので、宮崎さんの話は、そういう側面もあるでしょうが、そればかりではないでしょう、という読み方をすればいいのかと思います。

    【目次】
    プロローグ 米中接近の裏で進む「日本外し」
    第一章 中国の戦略に翻弄される世界
    第二章 止まらない日米衰退スパイラル
    第三章 米国にとどめを刺す対テロ戦争の泥沼化
    第四章 アフガニスタンで蠢く米中の闇
    第五章 世界が恐れるパキスタン崩壊
    第六章 急変する国際情勢と中国の暗躍
    第七章 中国化する台湾と日本の無策
    第八章 中国発「上海ショック」が世界を襲う
    第九章 中国を揺るがす権力闘争と腐敗の現状
    エピローグ それでも日本は復活する

    ●対日戦略(9頁)
    中国の対日戦略目標は第一に日米離間、日米同盟の亀裂を深化させ、最終的には在日米軍基地の撤退が政治目標である。
    ●軍事大国(21頁)
    日本の政治家は中国に朝貢してご機嫌を伺い、中国の核ミサイルが日本に照準を当てている事実には目をつむる。軍事大国=中国という側面を日本のマスコミが報じないのもまた大きな問題である。
    空母を2隻建造中の中国は「アジアの海を中国の海に」塗り替える準備を終えた。
    最近の驚きは宇宙への突出である。
    ●人民元(43頁)
    すでに直接貿易や物々交換によってアジアの一部には「人民元経済圏」(ベトナム、ラオス、カンボジア、タイ、ミャンマー等)が既成事実化しており、人民元のハードカレンシー入り目標を2012年に置いた。
    ●アメリカ(98頁)
    米国は2001年の9.11テロ事件以来、イラクを含めて「反テロ戦争」に膨大な戦費を費やし、それだけ赤字国債が増え、それを中国と日本とサウジが購入してきた。
    ●アフガニスタン(107頁)
    ファヒム将軍(副大統領)の影響力はカルザイ体制のすみずみに及び、麻薬、武器の横流し、不法行為の黒幕でもあり、ほかの軍閥や地方の豪族、ボスさえも他の人間を副大統領にすることで既得権益が失われることを懼れている。だからカルザイは国民の大多数を占めるパシュトン族出身であるにもかかわらず不人気で、少数派ウズベク人との混血の大統領候補アブドラに急追を許したのだ。
    ●西側の援助(120頁)
    アフガニスタン政府というが「政府」は名前ばかり、やっていることは汚職、利権あさりと権力の乱用。西側の援助はどぶに捨てるのと同じであると、現場を見てきたアメリカ人は言う。
    ●ロシア(163頁)
    2007年、ロシアは中国への武器輸出をぴたりと止めた。
    理由はライセンス生産で許可したはずのスホイ機が中国で無断で生産され、外国へ輸出され始めたからだ。
    ●武広高速鉄道(195頁)
    2010年1月に「武広高速鉄道」が開通した。湖北省の武漢から広東省の広州、1000キロ余をわずか3時間半で結ぶという、日本の新幹線顔負けの新路線、猛スピードである。
    さて、この武広高速鉄道の車両、実は日本製である。しかも日本側は引き渡す時に時速を275キロ以内は保証するとしたが、中国はすぐに反故にして、350キロで無茶苦茶な走行をしている。
    ●偽札(204頁)
    通貨流通量のおよそ2割が偽札と推定されているが、最近の人民元の偽札は精巧を極め、とても偽札発見器で判別ができない。
    日本円の5千円札、1万円札に該当する高額紙幣を中国が発行できない最大の理由は何かを考えるとよい
    ●生ゴミ(207頁)
    2010年5月からの上海万博に間に合わせようと突貫工事の高速道路の一部が崩れ落ちた。中からこぼれたのはセメントでも砂利でもなく生ゴミだった。

    ☆宮崎正弘の本(既読)
    「頭のいい高利回り金融商品投資術」宮崎正弘著、光文社、1998.03.30
    「金正日の核弾頭」宮崎正弘著、徳間書店、1998.07.31
    「「円」の危機 日本の危機」宮崎正弘著、太陽企画出版、1998.10.01
    「人民元大崩壊」宮崎正弘著、徳間書店、1998.11.30
    「大恐慌サバイバル・マニュアル」宮崎正弘著、二見書房、1998.12.25
    「謀略投機」宮崎正弘著、徳間書店、1999.06.30
    「三島由紀夫「以後」」宮崎正弘著、並木書房、1999.10.01
    「テロリズムと世界宗教戦争」宮崎正弘著、徳間書店、2001.10.31
    (2012年5月30日・記)

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著者プロフィール

一九四六年生まれ。東京工業大学理工学部卒業。新潟大学名誉教授(情報工学)・工学博士。現在、新潟大学発ベンチャーとして創業した株式会社ラングテックの代表取締役社長として、コンピュータによる文の意味理解の研究、高品質な日英翻訳ソフトや使いやすい英語学習支援ツールの研究開発など自然言語処理の基礎研究から応用研究に至る幅広い活動に取り組んでいる。著書に『日本語語彙大系』(共著、岩波書店)、『言語過程説の探求 第三巻 自然言語処理への展開』(共著、明石書店)など。

「2023年 『言語本質論と個別言語分析』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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