フリーフォール グローバル経済はどこまで落ちるのか

  • 徳間書店 (2010年2月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784198629137

みんなの感想まとめ

経済危機の背後にある複雑なメカニズムを、著者が鋭い視点で解き明かす本作は、現代の資本主義に対する深い批判が込められています。ノーベル経済学者である著者は、リーマンショックを引き起こしたアメリカの新自由...

感想・レビュー・書評

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  • 著者のスティグリッツは2008年のリーマンショックを引き起こしたアメリカの新自由主義を批判したノーベル経済学者です。

    私がこの本を手に取ったのはマルクスを学んだのがもともとのきっかけでした。資本主義を批判したマルクス。そして現代もマルクス主義者は資本主義を批判しますが、何もマルクス主義だけが行き過ぎた資本主義を批判しているわけではありません。前回の記事でも紹介した、日本の誇る経済学者、宇野弘文もアメリカ的な資本主義に強い警鐘を鳴らしていたのでありました。

    しかもなんと、今作の著者ノーベル経済学者スティグリッツは若き頃この宇沢弘文の指導を受けていたというのです。これには私も驚きました。

    というわけでぜひ宇沢弘文の薫陶を受けたスティグリッツの本も読んでみたい、そんな思いでこの本を手に取ったのでありました。

    スティグリッツがこの本を「良質のミステリーにも似た物語」というのはまさにその通りで、この作品ではまるでドキュメンタリーを観ているかのように話が展開していきます。堅苦しい専門的な経済学の本ではなく、一般の読者でもわかりやすく読めるよう配慮されているのがよくわかります。

  • 小難しい部分も多いが、この大不況の教訓を生かさなければならないことがよく伝わります

  • ビジネス

  • あのノーベル賞学者が怒りをこめてリーマン危機の真実をあばく。
    略奪的貸付と筆者が言う、サブプライムローンによる貧困層の借金によって、住宅バブルによる好景気は支えられていた。そのころ世界のいくつかの国は90年代の危機でのIMF支援のやりかたにこりて、外貨準備金をつんでいた。消費していたのは米だけであった。銀行は、最後には救済が必要であるために、政府が関与する必要がある(外部性の存在)。しかしこの必要な規制はどんどん外されてきた。グラススティーガル法廃止(89’)により投資業務も可能となっていた。
    このような背景で危機は起こった。危機を拡大したのは規制緩和がもたらしたイノベーションであった。証券化商品は、情報の非対称性、代理人問題をかかえていた。CDSは、企業の破綻を想定した保険のような商品だがなぜか発行元の破綻は想定していないという矛盾をかかえていて、これがAIGを破綻寸前へ追い込んだ。当時ニュースとして聞いてきたことをこのような本の形で見るのは感慨深い。
    政府は救済にのりだしたが、これも報道のとおり緩いもので、「too big to fail」を超えて、大きすぎてリストラできないという論理までまかり通った。これにより、今後のモラルハザードが懸念されるし、公正の観念がゆらぎかねない。
    全体を通して、税金を原資にした高額ボーナスを受け取る銀行トップやトレーダーに怒りしかわかない内容となっている。
    こうなった原因として、(誤った)インセンティブ、インサイダー(規制も行政もウォール街出身者のため、コミットメント逓増の心理法則により銀行に有利な決定を下すようになる)の2つのキーワードが印象に残った。

  • リーマンショック前後のブッシュ、オバマ両政権の対応やFRBの方針を痛烈に批判。
    金融業界には短期利益を最大化すると収入に直結すると言う動機があり、リスクを無視してレバレッジを増やした。破綻し税金が投入されても誰も責任を問われなかった、罰金刑を受けた者もそれ迄の蓄積が大きく、
    税金で救済されながら高いボーナスを取ろうとした。そのくせローンを返せない人への直接の救済はモラルハザードだと反対する。大き過ぎて潰せないと言われることをいいことに北朝鮮並みの要求をしている。
    ケインズ派の著者の説では、恐慌に際して政府の対処は赤字を増やしても早く、大量に資金を投入する事で、
    企業の救済ではなく投資に向かうべきだという。遅く、小出しでは効果が出ず余計に金がかかるからだろう。
    進まない震災対策、東電の処理に関する日本政府への批判とものすごくかぶる内容だなあと言うのが感想です。

  • ノーベル経済学賞の著作はおもしろい
    さすがステグリッツ

  • アメリカ金融資本主義が破綻した2008年。しかし大手金融会社は「大きすぎて潰せない」として生き残り、高額の収入を得ている。そもそもグローバル経済というのは誰がなんのために作りだしたものなのか。エマニュエル・トッドも指摘していた強欲な「アメリカ・システム」の問題が繰り返し語られる。このシステムは崩壊するのか、このまま生きながらえていくのか....。合衆国大統領ですら抗えないこのシステムをどうやって倒すことができるのか。新しい経済秩序は見つかるのだろうか。アメリカが絶対に認めない世界の富の不均衡を解決するには確実にアメリカ(と、我々先進諸国)が「我慢」しなくてはならなくなる。これを肯んじるとは思えない...。残念ながら。

  • 201202

  • リーマンショックの傷跡が癒えぬ現在、スティグリッツによる今回の金融危機の詳細なる分析

    この作業を「玉ねぎの皮をむく行為」と表現したがまさにその通り
    ひとつひとつの問題が複雑に絡み合いアメリカ国内に留まらず世界中に拡散してしまった
    逆に言えば米国の問題点を世界中に分散したことで米国崩壊が免れた・・・もしくは先延ばしされた
    そう言えるほどの経済史に残る大問題をウォール街は世界に撒き散らした
    ひとつひとつを取り上げ様々な問題点や解決策を提案するが本質的にはひとつの真理が見えてくる

    自由市場経済には中庸がない

    自由(市場)と政府(規制)の適切なバランスが今後の世界経済のキーワードになるのでしょう
    規制緩和が格差社会や大量の失業率に貢献しても労働者の(失業に対する)安心や福祉に貢献しなかった
    規制し過ぎもしないのも問題で適切な規制が市場を見守れば良いのかな・・・と

    スティグリッツの原文はわからないけれど

    第10章 新しい社会に向かって
    「”危機”という単語は、危険の”危”と機会の”機”で成り立っている。
    わたしたちはうんざりするほど”危機”を目撃してきた。
    ここで問題となるのは、わたしたちがバランスを取り戻す”機会”をつかめるかどうかだ。」

    翻訳が素晴らしくボリュームある本でも全体を通してもストレスなく読める訳者に感謝です

  • グローバリズムを批判し続けている経済学者スティグリッツの著作。

    前半2/3ではリーマンショックを生み出すにいたったアメリカの経済システムの問題の分析、後半1/3はその状況から抜け出すために何をするべきかの提言になっています。

    特に印象的なのは、アメリカの金融機関の腐敗ぶりがこれでもかと詳しく解説されていることです。金融工学を駆使して、ハイリスクなはずのサブプライムローン関連証券を「絶対安全」な高配当商品に作り上げるその手口についても詳細に書かれています。
    今読むと詭弁で作り上げた詐欺にしか見えないわけですが、当時はこれが最先端の産業だったのかと思うと空恐ろしくなります。

    後半、スティグリッツは目指すべき新しい金融秩序について語っていますが、金融業界の腐敗の根深さに、とても著者の言う通りにはならないだろうという諦念しか感じませんでした。

  • 崩壊の一歩手前に迄追い込まれた、世界金融危機についての分析で、メインはもちろんアメリカ金融市場。

    米国財務省やグリーンスパン元FRB議長、そして元FRB議長であるバーナンキ氏が取った金融政策がいかに間違っていたのかを繰り返し力説していたのが印象的でした。

    あと、オバマ現大統領が着手している金融改革についても、ウォール街のロビイスト達に骨抜きにされてしまい、非常にガッカリな内容であるとして苦言を呈している点も。


    本書でもそうなのですが、色々な経済や金融関連の本を読んでいると、「自由化」や「規制緩和」など、一見良いものに思えることも、決して無条件に良いというのではないということ。自国の経済を発展・成長させ、自国民の雇用と守るためには、かえって適切な形での規制が必要なのであることが分かりました。

  • よきケインジアンによるサブプライム・リーマンショックの本。
    スティグリッツはクリントン政権で「赤字を無すのに貢献した真のケインジアン」なので(景気がいいときに赤字を増やした宮沢喜一というケインジアンとは大違いだわ)、言うことに説得力があります。
    高所得者への減税よりも低所得者・失業者などの「配られた金を貯金する余裕が無い人々への給付こそが乗数効果が最も高い」という言われてみれば当然のことが、何故常識にならないのか?それは、貧しい人には広告費を支出する金が無いからなんだろうな。
    直接は言及されていないけど、この本を読むとTPPに参加するのが怖くなる。こんな倫理観の欠片も無い国と一緒にやれるんだろうか?それなら韓国みたいに欧州に家電規制に関する主権を譲り渡したほうが賢明というもの。

  • 金子さんの少人数セミナーで輪読した本。

    みんな内容があまりにも高度で理解に苦しんでいたのを察知したのか途中から授業では使われなくなったwww

    が、しかし、試験も終わったことなので残りの部分を時間をかけて読んでみた。・・・やっぱり難しかった。もうね、金融政策あたりの話とかホントにムズイ。

    ただ、ドルに代わる新世界共通通貨の提唱の話は面白かったし、スティグリッツがかなりウォール街のお偉いさん達、FRBのことを嫌ってることだけはわかった。まあちょっと反政府、反金融すぎる気もしなくもないけどなかなか読みごたえはあった。今度はポールソンの言い分でも読もうかな。

    ・・・それにしても難しかったww

  • この本もやはり、前半200ページはFRB(連邦準備制度理事会)への批判と、愚痴であった。というか、現理事長のバーナキンと前理事長のアラン・グリーンスパンへの批判である。これはスティグリッツ特有のもので、彼も副理事長だった時代があるためなのだが、相変わらずだと思う。しかし、この書籍を読むに彼の専攻がどちらかといえばマクロ経済学なのだなと思うし、それこそドミノ倒しのような波及が起こったから、ドミノ倒し的な処置が必要だというのも理解は出来るが、事はそれだけではないはずだ。全10章から成り立つこの書籍のうち第7章まではおさらいである。リーマンショックに至りその後の頂けない処置のおさらいであった。

    そして、重要なのが8章以降のスティグリッツ的処方箋である。彼はケインズ派であるため、資本主義と自由の著者ミルトン・フリードマンを否定している。この手の新宗教は誤った経済政策を提供するであろうと。また、アメリカ型の失敗を目の当たりにした途上国が消極的な施策に出る恐れもあり、それは大きなミスを誘発するであろうとも予言している。つまり、グローバリゼーションのなかでグローバルな回復とは何をさすのかを今一度見つめ直せと指示しているのだ。

    かといって、彼は共産主義者ではないので、カール・マルクスを信じ過ぎてはいないし、古い共産主義の復活が起こるとも言っていない。(むしろ起こらないと予言している)
    さらにはこのように語っている。

    「しかし、長期的に世界の繁栄を維持できるかどうかは、経済というものの働きへの理解を深められるかどうかにかかっている。そして、それには経済だけでなく、経済学の改革も求められるだろう。」<p333 第8章 グローバルな回復からグローバルな繁栄へ>

    すなわち、スティグリッツは現在の経済を動かしている人々の知識へ警鐘をならしており、我々自身へのイノベーションを求めていると考えられる。

    更には、人材という希少な資源の不適切な割当という項目でこのように述べている。

    「しかし、金融部門の暴走がもたらした真のコストは、それよりもずっと大きなものだったのかもしれない。暴走は、最も希少な資源、人材の割当をも誤らせたのだ。私は、最も優秀な学生達が大挙して金融業界へと進むのを見送ってきた。彼らは巨額の報酬に背を向ける事が出来なかったのだ。」<p386 第10章 新しい社会に向かって>

    本件について、人材流出論へ発展させた記事はあまり読まない。確かにそうかもしれない。本来の金融のあり方から逸脱していたのかもしれない。

    このように、この書籍は前半の事象を理解している方は後半だけ読んでも十分であるが、この予言は大概あたっていると私は思う。

  • 本屋で見つけた本。
    買った日 4月24日
    読み始め 4月28日

  • 2010.04.11 日本経済新聞「この1冊」に紹介されました。

  • 手数料ビジネスの恐ろしさ

    ト、2010.3.18-3.24

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著者プロフィール

ジョセフ・E・スティグリッツ
コロンビア大学教授
2001年ノーベル経済学賞および1979年ジョン・ベーツ・クラーク賞を受賞。
イェール大学、オックスフォード大学、プリンストン大学、スタンフォード大学を経て、現在はコロンビア大学教授。
クリントン大統領の下で経済諮問委員会の委員長、1997~2000年に世界銀行でチーフエコノミスト兼副総裁、2008~2009年の世界金融危機直後、「経済的パフォーマンスと社会的進歩の測定」に関する国際委員会、および「国際通貨金融システムの改革」に関する国連の専門家委員会において議長を務めた。
研究活動においては、非対称情報のもたらす影響を探求し、新しい経済学分野である情報の経済学の発展に貢献した。


「2022年 『スティグリッツ 公共経済学(第3版)下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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