フリーフォール グローバル経済はどこまで落ちるのか

制作 : 楡井浩一  峯村利哉 
  • 徳間書店
3.37
  • (1)
  • (14)
  • (11)
  • (3)
  • (1)
本棚登録 : 208
レビュー : 16
  • Amazon.co.jp ・本 (415ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198629137

作品紹介・あらすじ

強欲をエンジンとしたアメリカの金融資本主義は、二〇〇八年ついに破綻し、その衝撃は地球全土に広がった。グローバル経済は急降下(フリーフォール)した。なぜ誰も、この危機の到来を予測できず、その悪化も防げなかったのか。果たしてわれわれはこの危機から、いつ、いかなる方策によって回復し、再び繁栄への道を歩むことができるのか?ノーベル賞経済学者スティグリッツが、経済再生の処方箋と、新しい資本主義秩序を提示する。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 小難しい部分も多いが、この大不況の教訓を生かさなければならないことがよく伝わります

  • ビジネス

  • あのノーベル賞学者が怒りをこめてリーマン危機の真実をあばく。
    略奪的貸付と筆者が言う、サブプライムローンによる貧困層の借金によって、住宅バブルによる好景気は支えられていた。そのころ世界のいくつかの国は90年代の危機でのIMF支援のやりかたにこりて、外貨準備金をつんでいた。消費していたのは米だけであった。銀行は、最後には救済が必要であるために、政府が関与する必要がある(外部性の存在)。しかしこの必要な規制はどんどん外されてきた。グラススティーガル法廃止(89’)により投資業務も可能となっていた。
    このような背景で危機は起こった。危機を拡大したのは規制緩和がもたらしたイノベーションであった。証券化商品は、情報の非対称性、代理人問題をかかえていた。CDSは、企業の破綻を想定した保険のような商品だがなぜか発行元の破綻は想定していないという矛盾をかかえていて、これがAIGを破綻寸前へ追い込んだ。当時ニュースとして聞いてきたことをこのような本の形で見るのは感慨深い。
    政府は救済にのりだしたが、これも報道のとおり緩いもので、「too big to fail」を超えて、大きすぎてリストラできないという論理までまかり通った。これにより、今後のモラルハザードが懸念されるし、公正の観念がゆらぎかねない。
    全体を通して、税金を原資にした高額ボーナスを受け取る銀行トップやトレーダーに怒りしかわかない内容となっている。
    こうなった原因として、(誤った)インセンティブ、インサイダー(規制も行政もウォール街出身者のため、コミットメント逓増の心理法則により銀行に有利な決定を下すようになる)の2つのキーワードが印象に残った。

  • リーマンショック前後のブッシュ、オバマ両政権の対応やFRBの方針を痛烈に批判。
    金融業界には短期利益を最大化すると収入に直結すると言う動機があり、リスクを無視してレバレッジを増やした。破綻し税金が投入されても誰も責任を問われなかった、罰金刑を受けた者もそれ迄の蓄積が大きく、
    税金で救済されながら高いボーナスを取ろうとした。そのくせローンを返せない人への直接の救済はモラルハザードだと反対する。大き過ぎて潰せないと言われることをいいことに北朝鮮並みの要求をしている。
    ケインズ派の著者の説では、恐慌に際して政府の対処は赤字を増やしても早く、大量に資金を投入する事で、
    企業の救済ではなく投資に向かうべきだという。遅く、小出しでは効果が出ず余計に金がかかるからだろう。
    進まない震災対策、東電の処理に関する日本政府への批判とものすごくかぶる内容だなあと言うのが感想です。

  • ノーベル経済学賞の著作はおもしろい
    さすがステグリッツ

  • アメリカ金融資本主義が破綻した2008年。しかし大手金融会社は「大きすぎて潰せない」として生き残り、高額の収入を得ている。そもそもグローバル経済というのは誰がなんのために作りだしたものなのか。エマニュエル・トッドも指摘していた強欲な「アメリカ・システム」の問題が繰り返し語られる。このシステムは崩壊するのか、このまま生きながらえていくのか....。合衆国大統領ですら抗えないこのシステムをどうやって倒すことができるのか。新しい経済秩序は見つかるのだろうか。アメリカが絶対に認めない世界の富の不均衡を解決するには確実にアメリカ(と、我々先進諸国)が「我慢」しなくてはならなくなる。これを肯んじるとは思えない...。残念ながら。

  • 201202

  • リーマンショックの傷跡が癒えぬ現在、スティグリッツによる今回の金融危機の詳細なる分析

    この作業を「玉ねぎの皮をむく行為」と表現したがまさにその通り
    ひとつひとつの問題が複雑に絡み合いアメリカ国内に留まらず世界中に拡散してしまった
    逆に言えば米国の問題点を世界中に分散したことで米国崩壊が免れた・・・もしくは先延ばしされた
    そう言えるほどの経済史に残る大問題をウォール街は世界に撒き散らした
    ひとつひとつを取り上げ様々な問題点や解決策を提案するが本質的にはひとつの真理が見えてくる

    自由市場経済には中庸がない

    自由(市場)と政府(規制)の適切なバランスが今後の世界経済のキーワードになるのでしょう
    規制緩和が格差社会や大量の失業率に貢献しても労働者の(失業に対する)安心や福祉に貢献しなかった
    規制し過ぎもしないのも問題で適切な規制が市場を見守れば良いのかな・・・と

    スティグリッツの原文はわからないけれど

    第10章 新しい社会に向かって
    「”危機”という単語は、危険の”危”と機会の”機”で成り立っている。
    わたしたちはうんざりするほど”危機”を目撃してきた。
    ここで問題となるのは、わたしたちがバランスを取り戻す”機会”をつかめるかどうかだ。」

    翻訳が素晴らしくボリュームある本でも全体を通してもストレスなく読める訳者に感謝です

  • グローバリズムを批判し続けている経済学者スティグリッツの著作。

    前半2/3ではリーマンショックを生み出すにいたったアメリカの経済システムの問題の分析、後半1/3はその状況から抜け出すために何をするべきかの提言になっています。

    特に印象的なのは、アメリカの金融機関の腐敗ぶりがこれでもかと詳しく解説されていることです。金融工学を駆使して、ハイリスクなはずのサブプライムローン関連証券を「絶対安全」な高配当商品に作り上げるその手口についても詳細に書かれています。
    今読むと詭弁で作り上げた詐欺にしか見えないわけですが、当時はこれが最先端の産業だったのかと思うと空恐ろしくなります。

    後半、スティグリッツは目指すべき新しい金融秩序について語っていますが、金融業界の腐敗の根深さに、とても著者の言う通りにはならないだろうという諦念しか感じませんでした。

  • 崩壊の一歩手前に迄追い込まれた、世界金融危機についての分析で、メインはもちろんアメリカ金融市場。

    米国財務省やグリーンスパン元FRB議長、そして元FRB議長であるバーナンキ氏が取った金融政策がいかに間違っていたのかを繰り返し力説していたのが印象的でした。

    あと、オバマ現大統領が着手している金融改革についても、ウォール街のロビイスト達に骨抜きにされてしまい、非常にガッカリな内容であるとして苦言を呈している点も。


    本書でもそうなのですが、色々な経済や金融関連の本を読んでいると、「自由化」や「規制緩和」など、一見良いものに思えることも、決して無条件に良いというのではないということ。自国の経済を発展・成長させ、自国民の雇用と守るためには、かえって適切な形での規制が必要なのであることが分かりました。

全16件中 1 - 10件を表示

ジョセフ・E・スティグリッツの作品

フリーフォール グローバル経済はどこまで落ちるのかを本棚に登録しているひと

ツイートする