アメリカの日本潰しが始まった

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  • 徳間書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (231ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198629328

感想・レビュー・書評

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  • オバマ大統領の虚像を暴き、現在進行中のトヨタ叩きがアメリカの国家戦略として意図的になされていると説く。その主張の論拠は、やや粗雑かなという感想ももった。これまでの著者の書いたものに比し、やや冷静さを欠く印象を受けるのはなぜか。文章にあまりに繰りかえしと無駄が多く、短時間に書きなぐった感がある。それも一因かも知れない。しかし、日本のマスコミではほとんど論じられない見方が提出されており、今後この問題をめぐって議論が活発になる可能性がある。著者の論点をかんたんに紹介しよう。

    オバマ大統領は、アメリカでも日本でもクリーンで好ましい指導者だというイメージがある。アメリカのマスコミは、インターネットで庶民から50ドル、百ドルの政治資金を集めて当選した庶民の代表としてのオバマ像を作り上げた。

    しかし、実際には大企業の莫大な政治献金を受け取って当選したのであり、その傀儡だともいえる。好ましい虚像の陰で最も深刻なのは、アメリカ自動車産業の国営化であり、国営化した企業を友人のロビイストや労働組合に分け与えてしまったことだ。

    が、オバマ大統領のデトロイトの自動車産業の国有化はうまくいかなかった。膨大な国家資金を投入し、デトロイトを国有化して経営権を友人に与えてしまうという荒っぽい中南米の独裁者ふうのやり方は、結果的にはアメリカでは通用しなかった。その失敗を補うためにもオバマ大統領は、日本いじめ、とくにトヨタいじめのモラルなき戦いを始めた。

    現在、アメリカで進行中のトヨタへの攻撃は、アメリカの国家主義的な経済政策によってGE(ゼネラル・エレクトリック)やGMを中国に進出させ、アメリカ経済を拡大させるために日本企業を潰そうとする狙いがある。トヨタ叩きは、アメリカの国家戦略に基づくものであり、同時に失業者を中心とした国民の不満を政府批判からそらすという意図もある。

    オバマ大統領は、政治的な威信とアメリカの国家戦略をかけて次世代の自動車となる電気自動車をアメリカの手によって開発しようとしている。電気自動車の生産で、トヨタに先を越されることが耐えられないのではないか。それで露骨なトヨタたたきを行い、トヨタの資金的な余裕を奪って、電気自動車開発でも優位に立ちたいのだ。

    オバマ大統領の日本に対する挑戦は、かつてのルーズベルトのように軍事力で日本を叩き潰そうというものではない。アメリカの経済力と政治力によって日本を潰そうとしているのだ。である以上、日本叩きはトヨタで終わらず、必ず次々と狙われる企業があるだろう。

  • ジョージ・ブッシュ大統領は優れたとは言いがたいのですが共和党ということもあり、日本へのバッシングはその前のクリントン政権に比べて遥かに少なく日本にとっては良い影響を与えてくれたと思います。

    それに対して昨年から大統領をしているオバマ氏はクリントン氏と同様に日本よりも中国を優遇していて、日高氏が述べているように「日本潰し」を企んでいるかも知れません。民主党政権の間は日本は不遇の時代を迎えるのでしょうか、この本を読んでそう思いました。

    以下は気になったポイントです。

    ・オバマ大統領は、法律に定められた政府の選挙資金をもらわないのと引き換えに、民間企業からの膨大な政治活動資金を手にした、最も多かったのはUAWの献金(500万ドル)であった(p13、135)

    ・自動車産業は歴史的にアメリカ産業界のリーダーであり、国防の中心であった、それゆえ自動車産業を国家戦略によって助けるのは当然と思われている(p15)

    ・労働組合の嫌いなブッシュ大統領は、UAWと対立するトヨタ在米法人をアメリカの優秀な企業だと持ち上げていたので、その裏返しをオバマ大統領はしている(p22)

    ・トヨタリコールは、ディーラーが提供した分厚いマットが足元でずれてしまい、アクセルペダルが引っかかってスピードが下がらなくなったために起きた(p33)

    ・オバマ大統領が実際に行なったことは、貧しい人を救ったのではなく、ニューエネルギー政策と称してGEをはじめとするアメリカの大企業を国家資金によって助けて、デトロイトの自動車産業を国有化したこと(p38、49)

    ・オバマ大統領の間違った政策に対して批判してこなかった「ニューズウィーク」や「USニューズ」は批判を始めている(p43)

    ・ラフード運輸長官がトヨタ自動車には乗るべきではないと言いながら、そののち発言を撤回せざるを得なかったのは、アメリカの人びとは資本主義を信じてその中で評価しているものを使いたいと考えている証拠(p44)

    ・2009年12月31日、年に一度の税金報告が明らかになるとともに、アメリカ大企業が膨大な政治資金をオバマ大統領に与えていたことが明らかになった(p52)

    ・これまでの大統領は中小企業から資金を得ていて、中小企業を助けることでアメリカ経済を活性化してきた、ニクソン大統領以降で大企業の援助を受けたのは、ケネディ、クリントン、オバマの3人(p59)

    ・オバマ大統領が進めているカードチェックシステム、組合結成の投票に当たって投票用紙を投じる前に組合の役員に見せるやり方は、民主主義とはまったく反するやり方(p152)

    ・オバマ大統領は、ブッシュ政権が進めてきた自由貿易協定(FTA)をほとんど中断していて、コロンビアや韓国との話し合いも進んでいない、その理由として、韓国がアメリカの牛肉を厳しく輸入制限をしていることが表向きの理由、本音はアメリカ自動車協会の圧力を受けているため(p155)

    ・中国の経済は、国民企業が次々に倒産し、銀行に対する規制が厳しくなった中で株価が6倍になっている、これは借金でなく現金による実質経済によってもたらされたもの(p162)

    ・アメリカが本当の意味でヨーロッパから独立したのは、カリフォルニアとテキサスの開発後、同じことが現在中国で起きている、それはウイグル、チベットである(p167)

    ・ミサイルというのは高く打ち上げることはできるが、それを制御して地球と取り巻く軌道にのせることは、アメリカ、日本、フランス、イギリス、ロシアしかできない。ロシアはアメリカの技術を盗み、イギリスは購入、フランスと日本は独自開発(p178)

    ・中国は民族国家でなく文化国家というのは、中国は単一民族によってまとまっているのでなく、文化が主体となっている、この例はアメリカか(p181)

    ・中国経済が破綻をきたす最大の理由は、政治体制よりも社会の変化(中国社会の老齢化)である、日本経済活動が低下したのもこの原因(p189)

    ・中国国民の平均年齢は、2005年には平均32.5歳、2020年には37.9歳(p190)

    ・中国での医療費負担は、1991年には国民全体の84%であったが現在は61%、1980年には25%が中学進学していたが、現在は9%(p191)

    ・リンカーン大統領が南北戦争を始めた最大の理由は、奴隷問題よりも、南部諸州がヨーロッパとの貿易の関税をアメリカ政府に支払わなかったことに対する利害の対立(p210)

    2010/09/05作成

  •  日高さんはテレビ番組の「ワシントンレポート」を何回か見て、著書を買うようになった。この最新の著書では、オバマ大統領は日本を目の敵にしている、敵意もむき出しだ、とそんなに言っても大丈夫?というほど、酷評している。全体に、共和党寄りで、民主党を仇としている立場がうかがわれる。ハドソン研究所って、そういうところなのだろうか・・・
     日高さんといえば、元NHKの特派員として米国に長らく駐在していた方と聞く。そういった人のアメリカ評なので、興味をもったわけだが、この通りだとすると、本当に危機的な状況が迫っているのに、我々一般人は気がついていない、ということだ。

     それにしても、オバマさんは、日本では人気が高い。なんとなく清潔なイメージでスピーチもうまく、平和主義なところが日本人に合う。確かに中国重視で、日本の頭越しに大陸を見ている気はするが、日本中が「そんなこと言わずにこっち向いてよ・・・」と期待を込めてラブコールしている。アジア最初の演説を東京でやったことも、日本人をホッとさせた。

     でも、それらは、みんな見せかけであり、真の姿が日高氏の言う通りだとすると、大変なことだ。
     本での主張の通りかどうかは、この先半年から1年くらいの様子を観察してゆけば、歴史が証明してくれることだろう。楽しみに観察してゆきたい。

     それにしても、こうした日本側のオバマイメージは、米&日のマスコミによって作られたイメージということになる。僕たちには、いったいどこまで本当の姿が見えているものなんだろうか。日高氏だってマスコミの一部だろうし、僕らはいったい何を信じて良いのか、この情報の溢れる世の中で、何を頼りに見る目を持ってゆけばいいんだろう・・・

  • オバマ政権は国家社会主義に突き進んでおり、中国との結びつきを強くし、国策として日本の企業を叩いてるのがトヨタバッシングに現れてるのがわかった。日本も歴史の変動の中において自主防衛を強化し、アメリカに頼りきるのではなく独立国としてまっとうな道を進むのが急務胸にと迫ってきた。

  • ト、2010.6.30
    テレビでは流れない話で一杯

  • 540
    とにかく、日高さん、オバマ大嫌い⁈

    オバマの大企業との癒着、産業政策のなさ、トヨタ潰しにみられるような、国家主義的な政策。アメリカ大企業の傀儡。
    これからも日本企業が狙われる?

    なるほどこう言う部分もあるかな、とは思うところもあるが、論調が強過ぎ、着いていき辛い感が残った。
    ただ、今の日米、経済の話がニュースのメインに上がりにくいので、政治家の方にもこの本読んでもらって、しっかり身の有る、外交、経済対策していただきたいものです。

  • 現在アメリカで起こっているトヨタに対する考察が書かれている。
    当初は、発端は、現在は、今後は、について書かれている。

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著者プロフィール

1935年、愛知県生まれ。東京大学英文科卒業。59年、NHKに入局。外信部、ニューヨーク支局長、ワシントン支局長、米国総局長を歴任後、ハーバード大学客員教授に就任。現在はハドソン研究所客員研究員として日米関係の将来に関する調査、研究の責任者を務める。著書に、『アメリカは中国を破産させる』(悟空出版)、『米中時代の終焉』(PHP研究所)、『習近平の核攻撃』(かや書房)など多数。

「2022年 『破れたアメリカの「核の傘」』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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