アメリカにはもう頼れない 日本の外交戦略の失敗をどう正すか

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  • 徳間書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (278ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198630546

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  • 核保有国どうしの戦争は起こらない。
     核弾頭ミサイル1基で広島型原爆の1000倍の威力。
     それを288発積んだ原子力潜水艦が世界に14隻。

    在日アメリカ軍基地
     もう重要ではない。
     東アジアは核による抑止力で抑える。
     朝鮮半島の陸上攻撃には参加しない方針。
     グアムが前線基地で十分。

     密約としてアメリカ軍の核を持ちこみを自民党が許可したのは
     日本の世論の反対を避けつつ、他国への抑止力を維持するためだった。
     アメリカ軍なし核なしでは、日本は対等な外交はできないのが今の世界。

    中国
     空母を持っても、それを維持するのは難しい。
     インド洋で中国のタンカーを沈めてしまえば、中国海軍は活動できなくなる。

     日本が他国から攻撃されたら、アメリカは報復攻撃する。
     アメリカは自国が攻撃されると分かった場合は先制攻撃するが、
     日本が攻撃されるとわかっても、先制攻撃はしない。

    火だねは中東
     イスラエルは、イランが核兵器を完成する前に核施設を攻撃する。
     イランはその報復に、サウジやクエートの石油設備を攻撃するだろう。
     それを抑止するために、アメリカ軍はアラビア海近辺に空母を派遣している。  

    横田基地
     返還し、日米関係を改善することが合意されつつあった。
     今はアラスカ基地から他の場所への中継地点程度。発着は少ない。
     軍事上の必要はないが、イミグレなしで日本入国可能な便利な場所。

     石原都知事は返還後は民間の飛行場というプランを提示。
     地元住民が騒音問題が復活するため反対したことが、
     アメリカ側の返還中止の決定的理由になった。
     沖縄も統治返還したが、基地は戦争で得たものであり、
     アメリカは単純には返還しない。

    サイバー兵器
     軍事通信だけでなく、民間の通信も不能にする電磁波ビーム。
     10年後は、サイバー兵器の時代になる。
     ロシアはグルジア侵攻で実際に使用し、中国も開発中と言われる。
     
     アメリカ軍は潜水艦と空母を軍事衛星を介して通信しており、
     攻撃されると、実質の動きが止まる。

  • 鳩山氏が首相だった頃に普天間基地で問題を起こしたので日米関係が悪くなったのか、民主党のオバマ氏が大統領になったからなのかは分かりませんが、小泉首相とブッシュ大統領の時には、あれほど蜜月であったのにほんの数年で日米関係が変わってしまうのは驚きとともに不安を感じています。

    この本の著者である日高氏は日米の軍事について詳しい方ですが、彼が現在の日米関係について警鐘を鳴らしています。尖閣諸島沖で起きた事件も、いつの間にかウヤムヤになっていきそうですが、周辺諸国に対して毅然とした態度を貫くためにもアメリカとの連携が大切だと思っていますが、現在の菅首相にはそれらを踏まえて日本を引っ張っていって欲しいと思いました。

    以下は気になったポイントです。

    ・外交とは自分の国の利益を守るために行う政治であるが、民主党の政治家たちは、国際主義・平和主義・国連主義といった非現実的な理想にとりつかれたままで外交をしている(p13)

    ・満州国を創り上げた日本に必要だったのは、労働力と資本によって作り出された製品を売る場所であった、それを売るために中国に進出した(p24)

    ・安い人民元対策を続ける限り、輸入石油の値段は高くなり続ける、中国が年10%成長をできるのは、あと1、2年程度(p37)

    ・中国共産党は戦いに勝って共産主義国家を設立したものの、紙一重であった、国民党の数百万以上の兵隊は国民の中に紛れた(p40)

    ・トライデントは、広島に落とされた原爆の一千倍、メガトンクラスの核弾頭を装備している(p86)

    ・海兵隊の上陸は費用がかかるので、潜水艦や海軍特殊部隊、無人偵察機を多量に投入する体制を確立しようとしている(p91)

    ・TEAパーティとは、アメリカがイギリスから独立する前、イギリスから輸入するお茶に対して、イギリス総督府が高い税金をかけたことに反発し、ボストン港でお茶を捨てたことにある(p106)

    ・オバマ大統領はいまや部下たちからも馬鹿にされている、大統領に必要とされる、政治、外交、軍備の常識がないし、言うことが変
    わる(p125)

    ・学校の教職員組合や自動車労働組合、サービス業の組合等が選挙に協力した、その資金でリベラルな学生たちを地元の家庭に戻って投票させた、それによりオハイオ州、インディアナ州で民主党が勝利した(p129)

    ・2008年の大統領選挙で、3000の郡ある中で、マケイン候補が選挙人の55%を取得した郡は1796,50%以上は413、それ以下だが勝利した郡は70で、合計で2279であった(p130)

    ・ソーシャルセキュリティは、「聖なる牛」と呼ばれて、歴代の政権も一切手を触れないできた公的年金の仕組み(p147)

    ・オバマ大統領は、アフガニスタンに住む人が、2300年前にはマケドニアのアレキサンダー大王、近世ではイギリス軍、数十年前はソビエト軍を追い払ったことを知らなかった(p160)

    ・大統領が替わるとロビイストも替わると考えられているが、政権が替われば企業側が使うロビイストを変えるに過ぎない(p236)

    ・マッカーサーは天皇制は残したが、皇族を含めて戦争に関わりのあった人は排除した、天皇制存続と平和憲法はセットであった(p257)

    ・アメリカでは日露戦争時の日本海海戦、真珠湾攻撃、ミッドウェー海戦は、日本人の戦争能力を証明するものとして高く評価されている、特にミッドウェーは紙一重で勝ったと認識されている(p259)

    ・アメリカが1853年に日本にきた理由として、1)油として使われた捕鯨の基地、2)中国と貿易活動を行うための中継基地、であった(p275)

    2010/12/12作成

  • 大体読んだ。

  • 戦後、なぜ日本が平和でいられたのか。そしてなぜ今、その平和が危機に瀕しているのか。これからの日本は国家としてどのような考えを持つ必要があるのか。著者はアメリカにおける、主に軍事関係への豊富な取材経験をもとに本書中で指摘し、警鐘を鳴らしている。

    一番の要因はアメリカの軍事戦略変更にあるという。
    戦後、アメリカの仮想敵国は第一にソ連であった。日本はその前線基地として重要な位置にあり、ここに軍事力を集中することでアメリカにとってソ連をけん制することができた。この軍事力を、自国に対しての軍事的抑止力として利用できたのが日本であった。

    さらにソ連崩壊後、理由が明らかでないままにどんどん軍事力の増強を図っていった中国を、アメリカは警戒した。このときの軍事拠点も、日本であった。日本はアメリカの軍事力を背景に、自国の軍事戦略をほとんど考えることなしに経済活動に専念し、世界第2位の経済大国へと発展した。

    著者はこうしたアメリカの軍事戦略が、現在転換期を迎えていると指摘する。

    今やアメリカの関心は中東に向けられており、現在オバマ大統領が必死に攻略を図っているアフガニスタンがアメリカにとって第一のターゲットである。当然軍事力は中東に集中することとなり、アジア地域へのけん制はグアム、ハワイ、アラスカの各基地に配備されている設備によって賄われるという。この地域での活動で重要な役割を果たすことになる偵察機は無人のものが用意されており、事実上日本の領土に米軍基地が存在する意味は、アメリカの国家戦略上薄れてしまった。

    こうなれば、本書のタイトルどおり日本はアメリカの軍事力に頼って経済活動のみに勤しむわけにもいかず、自力で外交・軍事の問題に対面していかねばならなくなる。実際、そういった状況がすでに訪れているのである。これからの時代、もう頼ることができなくなった大国アメリカとの関係を良好に保ちながら、国際的な常識を踏まえた外交を展開していくことが、日本には求められる。

    そしてその常識は、我々一般国民が持たなければならないものであることを忘れてはならない。選挙に際して我々は、候補者が国内の問題だけでなく国防や外交についてどのような見識を持っているか、厳しく見定めなければならない。主権国家としての認識に欠ける信頼性のない外交を行うことは、日本が世界の中で孤立することにつながる時代である。



    なお、中国経済弱体化のシナリオについても著者は簡単に枠組みを示している。よく知られているように中国での経済発展は沿岸部都市の活動によって支えられており、内陸部はまったく途上国と呼ぶべき状態である。しかし中国政府は共産主義に則り、財を分配する。これによって内陸部の非生産地域の住民の生活も保障されることになるが、多くの税金を課せられる沿岸部企業の不満は大きく、いずれ産業が衰退するであろうというものである。しかも公的資金に頼って生活する人々の数が近年大幅に増えているということでもあるそうで、まさに「正直者は馬鹿を見る」社会である。これでは経済の停滞が起こるのは時間の問題であろう。

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著者プロフィール

1935年、愛知県生まれ。東京大学英文科卒業。59年、NHKに入局。外信部、ニューヨーク支局長、ワシントン支局長、米国総局長を歴任後、ハーバード大学客員教授に就任。現在はハドソン研究所客員研究員として日米関係の将来に関する調査、研究の責任者を務める。著書に、『アメリカは中国を破産させる』(悟空出版)、『米中時代の終焉』(PHP研究所)、『習近平の核攻撃』(かや書房)など多数。

「2022年 『破れたアメリカの「核の傘」』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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