噛む犬 K・S・P

著者 :
  • 徳間書店
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感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (371ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198630973

作品紹介・あらすじ

新宿副都心の高層ビル群の一角に沖幹次郎、村井貴理子らK・S・P特捜部が駆けつける。植え込みから白骨死体が見つかったのだ。身元は警視庁捜査二課の溝端悠衣警部補。貴理子が敬意を寄せる先輩だった。死亡前の動向を探ると、未解決の轢き逃げ事件を単独捜査していた形跡が浮上。被害者は暴力団組員で、溝端は保険金の受取人である婚約者とも接触していた。彼女が突き止めようとしていたものとは?やがて警察組織と政財界の闇が口を開く-。

感想・レビュー・書評

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  • 1年以上も前の、古い事件ばかりを調べる、地道な捜査。
    ハードなアクションが多い、他の3作とは、少し雰囲気の異なる作品。
    したたかな暴力団や、不当な圧力相手に、厳しい戦いを挑んでいく姿勢は変わらず。
    それぞれの刑事としてのポリシーと向き合う。
    最後まで面白かった。

  • おもしろかった

  • 噛む犬。なるほど。納得。花咲舞も真っ青だねw

  • 女性刑事が主人公の警察小説。著者の本はあまり面白かった印象がないのだが、この本は骨太で面白かった。前作があるようなので、そちらも読みたい。

  • 7月-3。3.5点。
    女キャリアの、指導役だった女性刑事が、新宿のビルの影で
    白骨死体で発見される。
    シリーズ今までの、中国マフィアとの対決ではなく、
    警察組織内の争いとか政治の話。
    これはこれで面白かったかな。まあまあ。
    次作も読もう。

  •  10作続くという、シリーズはこれでまだ3作目。毎作毎にどんどん良くなってゆく感じがする。

     しかし、本来の荒削りな香納諒一の味わいというのは最近の小説には感じられなくなってきていて、むしろプロットのディテールにまで拘った、完全主義的な凝った小説作りが前面に出てきていることが、この作家にとってはていいのかな? との疑問も感じる。いわば小説の技に走っているのかな、という点で、本来この作家の作品に必ずあった情感のようなものが、謎解きや凝ったプロットの後ろに隠れて優先順位が低めらたように感じられていたのだ。

     このK・S・Pシリーズは、スキンヘッドの刑事という捜査上聞き込みなどでは相当不利だろうなあと思われる強面のおっさんを主人公にした、歌舞伎町特別分署の物語である。分署というだけでエド・マクベインの『87分署』を思わせるが、もっともっと凝った話になっているのが、このシリーズであり、この作者なのである。

     成熟した警察小説という意味では、相当の読み応えであるし、ストーリーも奥の深さをしっかりと湛えており、力が入っている。分署ものというには少し大がかりな嫌いがあるが、現在の作者は軽いものは残念ながら書こうとはしていないようだ。

     読む側にとっては少々しんどいので、最近の海外小説みたいに、内容は優秀だが重過ぎて売れない、って傾向にならなければいいが、と心配する。ぼく自身、最近はこれほど綿密に文字数やページ数を費やさずとも十分に人を感動させる警察小説を書いている作家に何人も出くわしているので、この手の正攻法というか、海外ミステリばりの重たさを感じさせる作品がしんどくも感じられる。

     でも、さすがにストーリー、プロット、人物たちの描写は見事なのだ。特にチームを率いる向井貴里子の女性ならではのハンディと男たちとの軋轢、先輩女性刑事の死という心の負担をいかに処理して、一皮向けてゆくかといった成長プロットが素晴らしい。

     さらには引退した助川という組長は、実はこれぞ香納諒一の世界に活き活きとして書かれてきた素材という意味でとても懐かしい雰囲気を持ったキャラクターだ。また江草綾子という小料理屋の女将は魅力的で忘れ難い。

     複雑なプロットに埋もれそうになっているこれらの人物一人一人の人生を物語るだけでもいい仕事になるような気がする。スケールを縮小して、もう少し庶民的な地平にこの作家には戻ってきて欲しいと思うのはぼくだけだろうか。香納諒一という作家がそうした弱い側の論理を描くことにとても長けていることを知っているだけに余計にそう思う。

  • 久しぶりのKSPシリーズ。

  • シリーズもの3作目。前のシリーズを知らないまま読んだが、読み応えあった。

  •  歌舞伎町を舞台とする警察小説「K・S・Pシリーズ」の第三弾。今回は前作以前の中国マフィア、暴力団抗争は本筋でなく、警察内部の内なる敵との戦いが軸で、ドンパチの派手さはなく、「刑事とは」という心の葛藤を描いた重厚な内容となっている。
     西新宿のビルの間で、白骨化した女性刑事の遺体が発見され、彼女の死の真相というミステリーと、前作で発泡した同僚刑事の処分を巡る2つの話が同時に進行する。
     たたき上げの沖と、上司である女性キャリアの村井、同僚の円谷などキャラクターもたっており、ストーリーも予測のつかない展開の面白さもある。第三弾にて最高の出来である。
     マフィアとの抗争もまだ決着はついてないので、続編に期待する。 

  • 警視庁歌舞伎町特別分署KSPシリーズ第3弾!
    警視庁特捜二課の女性刑事の白骨死体の捜査から
    次々に浮かび上がる疑惑
    警察組織の中で取引をしなければ捜査できない状況に
    苦悩する刑事たち、噛む犬とはそういう事なのか・・・と、
    そして、KSPのメンバーには誇り高くそうであって欲しい

    事件はノンストップで息つく暇もありません

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著者プロフィール

1963年、横浜市出身。早稲田大学卒業後、出版社に勤務。91年「ハミングで二番まで」で第13回小説推理新人賞を受賞。翌年『時よ夜の海に瞑れ』(祥伝社)で長篇デビュー。99年『幻の女』(角川書店)で第52回日本推理作家協会賞を受賞。主にハードボイルド、ミステリー、警察小説のジャンルで旺盛な執筆活動をおこない、その実力を高く評価される。

「2023年 『孤独なき地 K・S・P 〈新装版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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