仕事柄、スマートフォン関連の情報収集を行っているので、目新しい情報はなかったが、整理されているので、現状把握には役立った。
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■スマートフォンはなぜ注目されるのか
・スマートフォンと従来型の携帯電話を分かつものは「ハードウェアとソフトウェアの関係性」。
・AppleやGoogleが参考にしたのは、日本人のフィーチャーホン上で実現していた「モバイルインターネット」や「コンテンツサービス」のコンセプトであり、「ビジネスモデル」の部分。
■始まったスマートフォン第2ラウンド
・Appleは単一性のメリットでエコシステムの規模を作る。iPhoneはその単一性によって、ユーザー同士が操作や新たな使い方を教えあうという「リテラシーの伝播」が起こる。
■主流市場にアプローチするスマートフォン
・春商戦は「新生活」が購入・買い換えのきっかけであるため、ボーナス商戦期のように特定の製品に対する物欲に動かされて買うといった傾向は少ない。自分のライフスタイルの変化にあわせて、自分にあったものを買う。春商戦で選ばれる端末は、オーソドックスで普通なものが中心になる。
高校生もスマートフォンを持ちたいという層が増えてきている。特に男子高校生。
・2011年に入る頃には「(iPhoneは)家電量販店に来るようなITリテラシーの高い層にはほぼ行き渡り、現在ではアップルストアやソフトバンクショップで一般層向けに売れている」
・スマートフォンのビジネスに取り組むならば、ケータイのハイエンドモデルではなく、ドコモの「STYLEシリーズ」のようなミドルクラスの端末を購入・利用していたユーザー層を狙うことが重要。
・Androidの今後のコンシューマー市場への普及については、フラグメンテーション(断片化)が課題。
■激化するスマートフォンメーカーの競争
・サムスン電子の戦略は、最新のデバイスを内製化し、その付加価値を活かして高性能かつ価格競争力のあるスマートフォンをいち早く作る。一方で、ソフトウェアやコンテンツは外部から調達し、最新のトレンドに対応することだけを重視。
・ソニー・エリクソンの戦略は、個性やデザインを重視。「世界観」で勝負。
・HTCはスマートフォンが一般化する時代においては、UIが最も重要な差別化要因になると考えている。
・Huaweiは基本機能に特化したシンプルな使い勝手とスリムなデザイン、なによりも割安感を武器にしてボリュームゾーンを狙う。
・タブレット端末はすでに「スペックと価格でしか差別化できない」というコモディティ化の徴候が出始めており、タブレット端末ならではの利用シーンの提案がなおざりになっていた。
■日本市場におけるスマートフォンの課題
・ふたつのガラパゴス
①「日本特有のニーズ」日本で暮らす、ごく普通の人々がケータイやスマートフォンに求める機能や品質。
②「日本キャリア特有のニーズ」日本キャリアが構築し、そのキャリア向けの端末でしか、求められない・使えない独自サービスへの対応部分。キャリアのオーダーメイド端末になってしまうほど作り込んでしまうのは問題。
・ガラパゴスは、日本市場に最適化・独自の進化をしたのが悪いのではなく、'日本市場で培った技術やノウハウを他地域向けに作り替えられないこと。
・差別化のポイント「デバイスの強み」「国内向けカスタマイズ」「独自コンテンツサービス」「家電連携」(シャープ)
■スマホでインターネットビジネスの姿が変わる
・デジタル機器にとって重要なものは、性能・機能の優劣ではなく、わかりやすさや便利さ、使っていて心地よいと感じる「ユーザー体験」
・スマートフォンを軸に、あらゆるスクリーンにビジネスを連携させていくという考え方がとても大切。
・スマートフォンは非連続な未来である。これまでのインターネットやケータイの世界、メーカーのモノ作りの世界とは連続性がないため、これまでの積み上げでの発想やビジネスモデル構築は、意味がない。これまでのノウハウは大切だが、それを土台にしながらも、前例よりも想像力を優先していく必要がある。