猫と妻と暮らす 蘆野原偲郷

  • 徳間書店 (2011年6月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784198631895

みんなの感想まとめ

日常と非日常が交錯する独特の世界観が魅力の物語では、主人公の妻が猫に変身することで、夫を助けるという不思議な使命が描かれています。彼女の変身は、愛する夫を守るための無意識の行動であり、そのいじらしさが...

感想・レビュー・書評

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  • 楚々とした若妻なのに、ある日突然猫になって玄関の上がり口にちょこんと座り
    「にゃん」とご主人の和弥を迎える優美子さんが素敵です♪

    彼女が猫に変身する時は、決まって
    事を為す(災いとなる厄を祓う)使命を帯びた和弥の窮地を救うためなのだけれど
    その変身が、災厄を予知し、「夫を助けなくては!」と意識してのことではなくて
    夫を愛する余り、無意識のうちに行われてしまうといういじらしさ!

    蘆野原の長筋として生まれながら、故郷を離れて生きることを選んだ和弥も
    突然猫になった妻を見ても「そういうものか」と納得し
    「事を為す」にあたっても、正式な道具を恭しく使うべきところを
    そこらにあった茶碗や料理用の塩や割り箸で無造作に済ませてしまうあたりが
    肩の力が抜けているというか、かなりゆるゆると自然体です。

    黄土色の手漉きの和紙に、日本中に散らばる蘆野原の生き残りが
    何か月もかけて順繰りに真名を記し、最後に長である和弥が名を記すことで
    仲間の死を準備し、見送る「果無偲」(はかなし)の儀式など

    今まで読んできた小路さん作品とは一風変わった風情にうっとりして
    私も猫になって「にゃん」と大切な人をお迎えしてみたい♪
    なんて思ってしまう、日本情緒豊かな物語でした。

  • 冒頭からいきなり「!?」となります。
    なにせ主人公の妻が猫に姿を変えているのです。
    物語の展開が読めないまま手探りで進むうち、すっかり独特の世界観にはまりこんでいるのでした。

    古代より、蘆野原の出の者は人々の災いのもととなる厄を祓う力があるという。
    主人公の和弥はその長筋の生まれであり、強い力を持っています。
    現在は妻と二人で暮らしながら大学に勤めていますが、郷を離れた今でも和弥のもとにはさまざまな厄が持ち込まれます。

    日々の暮らしとこの世ならぬモノたちとの境界がゆるりとしている様は、梨木香歩さんの『家守綺譚』(新潮社)の世界を彷彿とさせました。(本書のほうは"祓う"という立場ですが…)
    特別な力がある、ということを知らない人が見たら、四季の移ろいとともに穏やかに日々を過ごしているように見える主人公たち。
    まるで凪いだ水面を眺めているような感じがします。
    水面下では常ならぬ水流が渦巻いているのですが。

    厄の訪れを予感すると猫に姿を変える妻もすてき。
    くつろいでいるときの仕草も愛らしいですが、猫の姿で厄に対峙し夫を助けるときの、すべてを見透かしたような立ち居振る舞いも、猫好きのツボにぐぐっとはまりました。

  • 不思議な世界観。キライじゃないです。 
    小路先生の別な一面をみつけました。恩田さんの「常野~」や梨木さん「f植物園~」に雰囲気似てるような。

    目に浮かぶ猫と和弥さんともう一匹の小猫のたたずまいが静かな音楽のように霧のように流れていて、なおかつ泉水氏のイキイキした笑顔や声も聞こえてきそうで。
    心が錆びついた時には軋んだところに入り込むようなそんな優しさを感じる素敵な小説でした。

  • 「旅猫リポート」(有川浩)を読んでから、
    ナナがわたしのなかにずっといて、
    タイトルに「猫」がついているこの本を手に取った。
    というのが読むことになったきっかけだけれど
    こちらの猫はナナとはもちろんまったく違う。
    違うけれど、こちらもかわいらしい。

    和弥・優美子夫妻のあたたかく穏やかな関係がいい。
    どんな姿でも優美子だとわかる和弥はさすがだ。
    その夫婦のところへたびたび来る泉水が
    場を明るくしている。

    多美はどこから来たのだろう。
    かわいがられ、家族になっていく日々に安心した。

    二匹の猫は不思議だ。
    ふだんの愛しい日々があるから
    ここぞというときに現れることができるのだろうか。

    蘆野原の世界が読んでいると目に浮かぶ。
    きっとどこかにあるのだろう、その世界が。

    • まろんさん
      この本を読むと、猫に変身して、家族が帰ってくるのを
      玄関で「にゃん♪」とお迎えしたいなぁ、と思ってしまいますよね。

      妻が猫に変身しても、慌...
      この本を読むと、猫に変身して、家族が帰ってくるのを
      玄関で「にゃん♪」とお迎えしたいなぁ、と思ってしまいますよね。

      妻が猫に変身しても、慌てふためいたりしないで受け入れてしまう和弥も
      和弥を想う気持ちから、ピンチとなると無意識のうちに猫になって助けてしまう優美子も
      揺るぎない愛を感じさせて素敵でした。

      和弥が割り箸とかそこらへんのお皿とかを使って事を為してしまうあたりもとても良くて
      気負わず、ゆるやかに生きている感じがとても好きな本です(*'-')フフ♪
      2013/04/13
    • macamiさん
      ☆まろんさん
      わ、さすがまろんさん!読まれているのですね!
      そうそう、奥さんが猫になっても「猫になったのか」ぐらいに
      ゆったり構えていて可笑...
      ☆まろんさん
      わ、さすがまろんさん!読まれているのですね!
      そうそう、奥さんが猫になっても「猫になったのか」ぐらいに
      ゆったり構えていて可笑しいぐらいでした。
      こんなふうになれる相手と出会いたいものです。笑
      2013/04/18
  • 望郷の年にとらわれるような、こんな話好きだなぁ…。不変のものが形を少しずつかえながらも続いていくのって素敵だと思う。常野物語、百鬼夜行抄、ホリックの世界観好きにはたまらない。

  • 奥さんが急に猫になったら一大事だろうに、すんなり受け入れるところから始まる。
    一つ一つのお話はとても短く、ひたすら淡々と物語が進んでいく。蟲師のように静かな雰囲気。ふわふわ不思議な世界を漂っているうちに終わってしまった感じ。?が多く、物足りなさもあるけど、それでいいのかも。
    故郷があるのにそこへ帰れない、いつ帰れるかわからない思いが偲郷という言葉に詰まっている気がした。

  • 「にゃんこ本100選」に載っていたので。著者の本は「東京バンドワゴン」シリーズ以外では初めて。
    不思議な趣のある話で、目に見えないものを題材としている。
    最初に何の断りもなく、読んでいくうちに読者が設定などを理解していくようになっているので、読み手により色々な解釈や想像ができる本だと思う。

  • とんでもない世界に連れ込まれてしまった 
    少ない情報で やんわりと奥深い異世界に引きずりこまれたという感じ
    節目ごとに掲げられた言葉もセンス良く意味深
    改めて表紙写真の猫をじっと見てみる
    昔むかしこのような猫はいなくても こういう暗やみというか不思議を司る人が居たことは居た

    この人の書く本は全部こういう感じ? 
    確認したくなった

  • 小路さんの小説は、嫌な人が出てこない
    都合のいい展開だけれども
    なんとなく人の良さで救われるのは変わらず
    今回は幻想小説というだけあって
    不思議な雰囲気も醸しだしていて
    読んでいると違う世界に入り込んでいく感じ
    恩田陸さんの常野物語シリーズや
    梨木香歩さんの『家守奇譚』と似ている世界観で
    小路さんは、多彩な作家さんなんだなと思いました

  • 大学で研究する和弥は、恩師の娘を嫁に貰った。ある日、帰宅すると妻が猫になっていた。実は和弥は、古き時代から妖(あやかし)に立ち向かう蘆野原(あしのはら)一族の若き長。幼馴染みで悪友の和泉と、猫になった娘とともに、文明開化の世に出没する数々の災厄を防いでいく。陰陽師や祓師のような力を持つ主人公と悪友との軽妙なやりとり、猫になったときの記憶がない美しい妻との叙情的な日常を、丹念な筆致で描く幻想小説。

    ってそのまんま解説をコピーしちゃった。

    こういう幻想的なお話大好きです。

  • 妖怪などの出現がなく、落ち着いた雰囲気の夏目友人帳みたいだと思いましたo(^▽^)o。

    • まろんさん
      落ち着いた雰囲気の夏目友人帳。。。
      まさに、その通りですね!
      この本の雰囲気をひと言で見事に伝えていて、
      思わず「おお!」と感動してしまいま...
      落ち着いた雰囲気の夏目友人帳。。。
      まさに、その通りですね!
      この本の雰囲気をひと言で見事に伝えていて、
      思わず「おお!」と感動してしまいました(*^_^*)
      私もたまには猫になってみたいです(笑)
      2012/12/16
  • 奥さんが猫に!?
    それなら猫になった妻と暮らすではないのか? と思っていたら、猫になったり妻に戻ったり。
    何か重要なできごとがある予感がすると猫に変身するようです。
    風変わりな奥さんだなと思っていたら、夫の和弥も不思議な能力を持つ郷の出身者。
    厄をはらう能力を持つだなんて、人からありがたがられそう。
    猫になった奥さんが心強い助っ人なんだよなぁ。

  • こういう幻想的な話は大好き!!\(^o^)/ 不思議な一族(蘆野原)の宿命を背負った主人公がのほほんとしててイイ♪奥さんが猫になっても動じないし(^^;蘆野原の研究が大学でされているなら自分も学びたいよ!

  • 東京バンドワゴンを借りようと思ったら、
    さすがにドラマの影響か なかったので、
    たまたま うちにも猫がいるし〜てな感じで
    軽く借りた本。

    けど、めっちゃ この世界?雰囲気
    好きですわ〜〜

    いきなり 妻が猫になるんだけど、
    主人公も 別段 驚かないし、
    それについての説明も ろくにないし、
    ことを為すとか 説明もたいしてないまま
    グイグイ 話は進んでいく。。。

    最初は 戸惑いましたが、だんだん
    引き込まれていきました。

    昭和の初期っぽい話なんだか?
    なんとなく ノスタルジックな雰囲気で、
    淡々としてて ほっこりしてて、
    登場人物 皆 いい感じ。


    初めて読んだから、他のがわからないですが、
    作者の言葉の選び方とか
    こだわり方も かなり 垣間見えました。

  • ”事(厄)”を祓うお話。
    同じ音を持つ言葉でも、意味が少し違うものがいくつもあって、
    これは文字表記だから判ることだけど、その意味をすりかえて”事”の中心をずらしていくような。
    和語は、音に力を認めてきた言葉なのだなあ、と改めて知る。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      小路幸也の作品は「東京バンドワゴン」シリーズ(しかも文庫化されたもの)しか読んでません。
      4月に第8作「フロム・ミー・トゥ・ユー」が出るらし...
      小路幸也の作品は「東京バンドワゴン」シリーズ(しかも文庫化されたもの)しか読んでません。
      4月に第8作「フロム・ミー・トゥ・ユー」が出るらしいので、多分前作「レディ・マドンナ」が文庫化される筈なので、待ち遠しいです。
      次は「つむじダブル」を読もうと思っているのですが、こちらも良さそう、猫好きなので(でも文庫化待ちします)。。。
      2013/03/04
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「多分前作「レディ・マドンナ」が」
      間違いで、文庫になるのは、その前の「オブ・ラ・ディ オブ・ラ・ダ」でした、、、
      「多分前作「レディ・マドンナ」が」
      間違いで、文庫になるのは、その前の「オブ・ラ・ディ オブ・ラ・ダ」でした、、、
      2013/03/12
  • 家に帰ると猫が出迎えてくれた。妻が猫になったのである。
    蘆野原の郷には人に災い為す厄を払う能力を持つ者を輩出してきた。その長である和哉と妻の優美子。事が起こる前触れを感じたとき妻は猫となり和哉を助ける。
    ちょっと不思議な短編集。

  • 一話が短いので、気分転換に読むとちょうど良い。
    作中の雰囲気が好きです。

  • 突然猫になってしまった妻と、厄を祓う一族の夫の話。
    猫になってしまうといってもそこまでファンタジーに感じないのは、個性豊かな登場人物の面々と、その人達の関わりや繋がりがしっかり描かれているからだと思います。

    あっさりした話なのでちょっと物足りなさも。
    でも私は作品の雰囲気がとても好きです。

  • 20230111

  • 読み終わった後も内容を理解するのに時間を要しました?

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著者プロフィール

一九六一年旭川市生まれ。札幌の広告制作会社に14年勤務。退社後執筆活動へ。
二〇〇三年『空を見上げる古い歌を口ずさむ pulp-town fiction』(講談社)でデビュー。著書に『HEARTBEAT』(東京創元社)、『東京公園』(新潮社)、『東京バンドワゴン』シリーズ(集英社)など。ほかに『うたうひと』(祥伝社)、『空へ向かう花』(講談社)、『brother sun 早坂家のこと』(徳間書店)などがある。

「2010年 『北の作家 書下ろしアンソロジーvol.2 utage・宴』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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