虚無回廊

  • 徳間書店 (2011年11月1日発売)
3.89
  • (8)
  • (10)
  • (7)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 86
感想 : 15
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784198632854

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 小松左京氏の最後の長編にして未完の大作ということである。
    苦労したがとりあえず最後まで読み切った。
    地球から5.8光年離れたところに長さが2光年もある異常に大きい円筒形の構造物(SS)が現れる。生身の人間が調査に行くには遠すぎるので、AE(人工実存)という、知能だけではなく自我も持つような存在を研究していた人物の分身であるAEを送り込む、というところまでが序章。ここまででもボリュームがあり、内容もかなり濃密。
    そのAEが地球との交信を自ら断ち、SSの調査へ自ら乗り込んでいくというところが本編。要するに本編には生身の人間は登場しない。AEは自らの別人格を作り上げ、それぞれに名前と役割を与え、その人格間でやりとりをしながら話が進んでいく。人格たちは通常はプログラム上の存在だが、スーツをまとって実体化することもできる。
    SSの中には宇宙各地のさまざまな知的生命体がなぜか集まっていて、さながらゴキブリホイホイのような状態になっている。この辺から、といっても本編が始まってすぐだが、だんだん著者の想像力についていくのが厳しくなった。
    で、いよいよこれからというところで中断してしまう。
    何しろスケールが大きく、哲学的な面もあり、すごい作品ということは分かりつつも理解できない部分も多かった。

  • AIに関する倫理(ethics)がここ5,6年工学系の学会で目にするようになっている。それを30年以上前のこの本で目にすると、SFすごいな、と本当に思う。

  • スケールの大きさと専門性の高さで、一度読んだだけでは良く理解できない。

  • 小松先生が書いた小難しい理屈はすべてスルーして、ストーリーのみを読んだけれど、読み終わってから思うに、小松先生が本当に言いたかったのは小難しい理屈なんだなあと思いました。
    あと人物の描き方は20世紀ですよね。未来なのに古くさい。未来で過去を見る感じです。しかたないけど。

  •  SFの魅力は数あれど、私にとって「理屈の通ったホラ話」が第一だ。小学生の頃、アシモフ『われはロボット』所収「堂々めぐり」を児童向けにリライトした話に熱狂したものである。
     『虚無回廊』、まずSS(スーパーストラクチャー)の大風呂敷の広げっぷりに圧倒される。地球から5.8光年。この微妙な距離感はどうだ。そこへ到達するためのAE(人工実存)の開発。
     AEひとりでは間が保たないので、VP6人を設定。唯一の女性はベアトリス。ダンテの恋人ベアトリーチェ。あれ? ベアトリーチェはアンジェラEの役回りなのでは?
     瀬名秀明によって続編が書かれているのを知った。大先輩の広げた大風呂敷を、どう畳んでくれるのか楽しみだ。

  • 2019年7月7日に紹介されました!

  • さすが、小松左京と思わせる奇抜な発想と人間臭いドラマが展開される序章と、故遠藤秀夫が開発したAE(Artificial existance)がSS(Super Structure)内で複数の地球外知的生命体と遭遇する過程を描いた1~4章。いよいよSSとのコンタクトと思ったら絶筆。小松さん 死ぬ前に回収してくれ=・・・・
    AEのアイデアは、その後 他の作家さんたちが描いているが、アンジェラ インゲボルグからアンジェラ エンドウに(AIからAEに)なってほしいというプロポーズは 座布団10枚です。

  • 地球から5.8光年の宇宙に突然現れたSS(Super Structure)。その謎を探るためにAIを拡張して自分自身の意識を載せたAE(Artificial Existence)を使って宇宙空間を旅する。AEがVP(Virtual Persona)を作り出す。そしてSSにはさまざまな知的生命体が集まっていた。小松左京最後の未完の長編。

  • 巨星、小松左京さんの未完の大作。壮大で深遠なテーマと、膨大な知識量はさすが。この宇宙に現れたSSとは?!人間とAEとの両者に存在する実存とはいったい何か?!
    科学的、心理的な大問題を、物語として読めるのがSFの醍醐味だと思う。
    ただし、小説としての印象は△。後半に立ち現れるVPたちの下世話な会話や、無駄な活劇シーンは正直ちっとも面白くなかったからである。
    SSの存在をテーマにするのか、実存とは何かをテーマにするのか、どちらかに的を絞ったほうが小説としては面白くなっていたかもしれない。

  • まあ、壮大なスペースファンタジーだ。未完なのが残念なところ。

    話があちこちに飛んでいて、ややまとまりに欠ける気もするが、
    よくここまで考え付く、そのアイデアだけでも凄いと思う。

  • 驚いた。何が驚いたって、未完。しかも作者死んでた事に驚いた。続き読みたかった。

  • 未完か!この後どう考えていたのか気になる、、、

  •  突如宇宙に出現した円筒形の「SS」(スーパー・ストラクチャー)目指して、ある科学者の全人格と実存を搭載したAE(人工実存)が旅をする。SSに到着したAEは、そこが全銀河系から知的生命体が集まって一斉探索を行っていることを知る…。
     1992年で断筆した左京翁最後の小説を、その死に際して合本として出したもの。追悼刊行で敢えてこの作品というチョイスが何とも渋い。ただ、そのスケール感やダークマターの存在を設定に組み込んだ翁の先見性、そして符丁と科学用語と文芸作品からの引用をごたまぜにした文体や、『神曲』につながる古典文学とのリンケージなど個個の要素を見ていくと、なんとなく左京翁という人の凄さがおぼろげな形で見えてくる。
     物語のハイライトはタイトルの意味が明らかになるところ。宇宙というものを物語を展開する劇場程度にしか捉えていない作家とは異なり、本当に宇宙というものはとんでもない可能性を秘めているに違いないんだという、翁のスピリットを感じ取ることが出来る。

  • 荒唐無稽で面白い.
    「虚無回廊」の英語表記を知りたい.
    回廊をただ"corridor"と言ってしまってはつまらないね.

  • 凄い……イーガン、チャン、バクスター等々に互すどころか凌駕さえしているのではないかという大傑作。

    未完は瑕疵とはならない。
    壮大にして緻密。知性とは生命とは宇宙とは探求心好奇心とは、心とは、そして愛情とは、すべての存在を壮大な物語の中で語ろうという、知の巨人の最高傑作。

    SF好きなら読みましょう。小松左京という天才のSFがここにある。

全15件中 1 - 15件を表示

著者プロフィール

昭和6年(1931年)大阪生まれ。旧制神戸一中、三校、京大イタリア文学卒業。経済誌『アトム』記者、ラジオ大阪「いとしこいしの新聞展望」台本書きなどをしながら、1961年〈SFマガジン〉主催の第一回空想科学小説コンテストで「地には平和」が選外努力賞受賞。以後SF作家となり、1973年発表の『日本沈没』は空前のベストセラーとなる。70年万博など幅広く活躍。

「2019年 『小松左京全集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

小松左京の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×