胸いっぱいの愛を

著者 :
  • 徳間書店
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198633400

作品紹介・あらすじ

1970年代、瀬戸内海に面した平和な城下町、香川県丸亀市。高校野球とロックをこよなく愛する少女・高山桂子は、ひょんなことから野球部のマネージャーになり、甲子園目指す日々。そんなとき、学園祭で見つけたジミー・ペイジ似のギタリスト・恭平に、桂子の胸は高鳴って…。あたたかで、平和で、のんびりとした時代に生きていた若者たちの青春物語。

感想・レビュー・書評

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  • <whole lotta love>
      
    カバーイラスト/宮尾和孝
    カバーデザイン/波戸恵

  • 高校野球に音楽。気になる男の子。
    昭和の頃の女子高生ってこんな感じだったよなぁ。
    穏やかな瀬戸内の風を感じる、どこか懐かしい話。

  • 洋楽と野球の好きな、野球部マネージャーJKの70年代の青春。

  • 香川県丸亀市の高校を舞台に、洋楽好き野球部女子マネージャーの日常を綴った作品。
    勝っても、負けても、青春っていいですねー。

  • 野球が好きな理由は、他人から見ればどうでもいい理由ですが
    きっかけ何てそんなものじゃないでしょうか?
    な、状況が続く(?)一人称話。

    色々とスイッチが入ってそのまま突き進んでいく主人公を
    野球部に誘った男子学生。
    まぁ…そんな理由かな、とも思いましたとも。
    時代がけっこう前、なのですが、TVや熱中症の事やお札やら
    そんな所で、ふと今じゃないのか、というのに気付きます。

    後輩の子も中々にすごい…というか、きっちり立ててるというか。
    しかし何の相談もせずにされると、驚きと共に
    次回からこれするの!? にはなりますねw
    ある意味策士?

    淡々というよりは、風に揺れる水面程度に動く話でした。
    けれどそれは今も変わらない青春、かと。

  • 丸亀を舞台にした青春小説。

    とても、とてもいい物語りでした。本当に。。


    今思えば一瞬のうちに過ぎ去っていった、少年少女から大人への階段を昇る特別ともいえる輝く時間のように、とても軽快に楽しめ、清らかな水で読み手の心を潤してくれる。

    甲子園出場を果たせなかったり、失恋もあったりで甘酸っぱいはずの青春物語なのにそれを感じさせず、代わりにとても穏やかな心地よいぬくもりがあります。


    中1の夏まで愛媛で、残りの中学生活を都会にあこがれながらも地方のよさを捨て切れていなかった当時の栃木で過ごした私には、著者の丸亀を(地方を)愛する想いのようなものが感じられ、そして一時であったけども地方で過ごした時間というものを称えてくれたような気がします。

  • 1960年生まれの広谷鏡子さんが描く、昭和の時代の女子高校生のお話。舞台は香川県丸亀、野球とロックをこよなく愛する“地味な”(*^_^*)彼女の青春物語がとても懐かしく、嬉しい。


    初めての広谷鏡子さんです。

    主人公・高山桂子は、たぶん、等身大の広谷さんなんでしょうね。
    丸亀の進学高に進み、野球が好きだったことから女子マネになり、兄の影響でロックをこよなく愛する少女。(ビートルズから始まり、ツェッペリンやジェフ・ベック、ジミヘンなど。)
    私は野球もロックも、当時のかすかな匂いくらいしか知らないけど、読んでいて、うんうん、わかるよ、うん、そうだよね、と彼女の気持ちに同調してしまえたのは、彼女がいわゆる「普通の女の子」として描かれていたからだと思います。

    女子マネとは言っても、「タッチ」の南ちゃんのような華やぎ(*^_^*)があるわけでもなく、ロックが好きで時に近隣の大きな町に行ってロック映画を観たり、ジェフ・ベックに似た男の子を好きになったりもするけれど、ロックという言葉の持つ無頼な響きとは無縁の、むしろ引きすぎくらいのおとなしい性格だし。

    私は田舎の進学高の話、というのが好きみたいなんだけど、うん、何かがとても好きだと思っても、どこかで踏みとどまる、地に足のついた高校生、が好きなのかもしれない。

    四国の言葉が流れるように語られ、とても気持ちがいい。
    やはり私の大好きな「青春デンデケデケデケ」も香川のお話で、進学高だったなぁ、なんてね。

    勉強嫌いでふらふらと定まらない兄、よそに女がいるらしく家に帰ってこない父、という家庭であっても、桂子の視点はとことん絶望的にはならず、むしろ、可笑しみをもたらしているのは広谷さんのお人柄ゆえ、なんだろうか。

    桂子を野球部に誘う男の子、尾崎くんが私は好きでした。
    高校から野球を始め、一所懸命に練習するのに試合には出れない、一年生、二年生を過ごし、そして…。

    野球部を中心とした桂子の三年間、プラス その後、という展開がとても優しい着地点を用意してくれていて、かつての高校生、今現役の高校生、どちらが読んでも楽しく、同時に胸が切なくなる物語だったと思います。

  • 1976年、香川県丸亀市の高校で、野球部の女子マネージャーに打ち込む主人公と、その周りのひたすら青春な日々。
    タイトルに反して、登場人物はみんな硬派だった。30年後のエピローグが、切なくも何かイイ。

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著者プロフィール

1960年香川県丸亀市生まれ。早稲田大学第一文学部文芸学科卒業。95年『不随の家』で第19回すばる文学賞受賞。97年『げつようびのこども』で第118回芥川賞候補となる。その他の著書に『恋する文楽』『花狂い』『湘南シェアハウス』『シャッター通りに陽が昇る』などがある。2011年から丸亀観光大使。

「2018年 『ヒット・エンド・ラン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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