- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784198633592
感想・レビュー・書評
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煽動の書である。表題も「売国奴に告ぐ!」とセンセレーションなもので、しかも赤の字体で目を引いている。内容は、中野・三橋氏のこれまでの書の内容と変わらず、目新しいものはないように思えたし、冷静に考えればちょっと違うのではないかという内容についても、読んでみてスッキリするような読後感が残った。
内容は表題にあるように、デフレ下でも給料が下がらないエリートを徹底してこき下ろすものであるが、それなりに論理的で「TPP」「グローバル化」「新自由主義」を攻撃する内容も説得力はある。しかし、それらの問題点を具体的な勢力や、一部個人名まであげて攻撃する手法には、小気味よさを感じつつも、ちょっとやりすぎではないかと苦笑する思いがした。明らかに、著者達は意図的にこの攻撃手法をとっていると思う。
本書で中野氏が新自由主義者の手法として「甘い汁をすっている連中を困っている自分達のレベルに引き下げようとして叩く、…郵政を叩き…最近は…公務員を叩くわけです。これは…ファシストの典型的なやり方で、…現在進行形が橋下徹大阪市長…。要するに誰かわかりやすい敵をターゲットにして、叩きまくる。強く叩くほどに、人々は溜飲を下げられる。…このリーダーについていけば、この苦しい状況を突破できるんじゃあないかと期待する」と分析している。まさに同感するが、本書の攻撃的手法も同ではないのだろうかとも思った。
しかし、その攻撃的手法はともかく、本書の内容はわかりやすく説得力がある。とくに最終項の「現在の日本の最大の問題はデフレです。これを解消することが最大かつ喫緊の課題」との認識には、全面時に同感する思いがした。正しい主張をするにおいて、いささかのやりすぎは仕方がないという意味で、本書を高く評価したい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「平成の売国奴たちは、日本をどこに売ろうとしているのか。(中略)彼らの売り先は、アメリカとか中国とかいった『国家』ではない。グローバル化した資本なのだ。」
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日本の可能性を感じる本。
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三橋貴明 (著), 中野剛志 (著)
今、目の前にある危機の本質と、日本再生への真の道とは。現在の日本に蔓延しているTPP、構造改革、グローバリズム、増税、政治主導などに関する情報のウソや歪みを暴き、そのデタラメの元凶を追及する。 -
若手論客では最も才能に恵まれている(と私は思います)ふたりによる対談。刺激的なタイトルですが、ここで言う「売国奴」とは反国家的な極左主義者のことではありません。「聖域なき構造改革」「平成の維新」「日本は外圧がなければ変わらない」などと主張している新自由主義的ないわゆる「改革派」の政治家や官僚のことを指しています。
日本ではいまだに「これからはグローバル化の時代だから〜」と言った主張がなされていますが、リーマンショックをもってグローバリズムの時代は終わったというのが二人に共通する認識で、ここを理解できるかどうかが本書に対する評価の分かれ目になると思います。
非常にハイレベルな対談で読みどころは多いのですが、個人的に面白かったのは官僚が構造改革に走りがちな心理の分析と、「日本は外圧がなければ変わらない」という主張の裏にストックホルム症候群的な自己正当化の心理があるという指摘です。
何度「改革」が失敗しても過ちに気づこうとしない政治には絶望的な気持ちになりますが、本書の主張が早く一般に受け入れられるようになってほしいと思います。 -
日本の売国奴は中国やアメリカに売る。という意味ではないし、
アメリカにも売国奴はいる。
その売り先とはどこなのか?
そんな事が書いてあったり。