満つる月の如し 仏師・定朝

著者 :
  • 徳間書店
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レビュー : 30
  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198633622

作品紹介・あらすじ

藤原氏が権勢を誇る平安時代。仏像造りの礎を築き、日本美術史に燦然とその名を残す稀代の仏師と、彼を支えたひとりの僧侶との絆を瑞々しい筆致で描く。

感想・レビュー・書評

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  • 若くしてその才を京都なり響かせた、仏師 定朝の話。定朝は、金がない寺や人からは、金もとらずに仏像を寄進し、自分の掘る仏像が人々の心を穏やかにさせるのならそれが一番幸せであり、自分のいきる価値があると思って生きた。しかし、定朝は、仏を彫る際にも、ほんとに仏がいるなら、今のような、人が人を傷つけ、誰も信じられないような世の中になることはないはずだと、悩み、苦しんでいた。しかし、真実の仏の姿は、どこかにあるのではなく、日との内側にあるものだ、誰の心にもあるものだと悟る。一切衆生悉有仏性(いっさいしゅじょう しつうぶっしょう。すべての生き物には等しく仏性が存在しており、悟りを開き、成仏する可能性を与えられている)その、誰の心にもある仏の姿、仏の心を呼び覚まし、目覚めさせることができたら素晴らしいと思い、仏像を彫るのであった。

  • 副題に定朝とあるけど、隆範とツートップってところ。
    彰子サロンの小式部内侍・中務・小諾の女房ライフ、道長に対する彰子の葛藤、小一条院の荒れ様、中関白家の身の寄せ合い…と盛り沢山だけど、やっぱりクライマックスは、脩子内親王の出家から、今昔物語だか小右記だかにある「犬に食われた花山帝の皇女の話」に至る一連かしらん。

    ネタに事欠かない登場人物が多いけど、道雅の密通とか敦明の延子・顕光サイドの話はナシ。この辺のバランス感覚が絶妙で読み易いのかも。
    ところで、「藤原道雅が彰子の懐刀」と「小式部&敦明」ってのは、フィクションですよね?

  • 2017.02.27

  • 2016/08/18完讀

    ★★★☆

    寫大佛師定朝,少年時就已經嶄露天分無疑,然而目睹世間的慘狀無法相信佛教,此時與叡山的隆範相遇,隆範的從者鼓勵他,只要世間有相信的神佛確實存在的人,定朝的工作就有意義。定朝從當時藤原道長的法成寺佛像開始,接了許多工作日富盛名,甚至受封法橋(為了避免他被敦明親王騷擾?),而隆範提供他許多佛教知識協助他製作,兩人合作無間。然而定朝卻想替道光寺窮人鑄佛而不是優先做王公貴族的工作,因此和隆範決裂。

    敦明親王由於被剝奪皇太子地位相當不平衡,有許多暴行,彰子和寵臣道雅、時通考慮要釣魚讓他被制裁。然而童年玩伴中務的苦口婆心和犧牲,讓敦明親王終於悔悟,定朝看到中務的表情震驚於人的佛性,而明知是圈套,但也不自覺期待著觀察中務,事後他和隆範都對此感到自責。中務凍死後,隆範居然自己出來背負罪名被流放,而定朝三十年後終於想著中務的事件,而做出平等院這尊如滿月般的阿彌陀如來,希望隆範可以看到,然而隆範卻已經圓寂了。四年後定朝也離世,葬在上品蓮台寺。

    **
    這本書與其說是佛師的故事,其實主要都是針對圍繞在四周的情節發展,原本期待的關於佛師的工作並無太多細部描寫。而定朝本人自卷首登場就是一個天才,唯一的困擾卻與技術無關,目睹都城慘狀懷疑佛祖的存在是否救濟眾生。不過以佛教當時鎮護國家的思維,當時的定朝是否就有這樣的思想尚有疑問。再者,中務的塑形有點近乎不可思議,定朝目睹中務的慈愛感到佛性,最後又懷著負疚感(又有既視感了,跟若沖一樣。作者好像很喜歡這個調調)而激發他的藝術,溫存了三十年終於完成平等院的作品。隆範出來背罪這段相當莫名其妙,也是因為他的罪惡感,有點為凹出結局而寫的感覺。

    故事本身一開始有點卡卡的,後面就相當順暢好讀,構成的完整性我覺得更勝若沖,只是由於書中定朝太天才,關於佛師的內容著墨並不多,都只圍繞著四周的情節而走,而罪惡感這個梗未免太常出現。而後面的中務事件斧鑿的痕跡又太深,太過做作。與其說是寫職人,不如說只是在編一個故事。故事內容娛樂性高,但職人的存在感卻意外地稀薄,也感覺不出「做作品」這件事的感動。做作品的辛苦與掙扎,每一次的異同,進步退步的拉扯,偶然神降般的靈光一閃與傑作,對藝術家而言可能是最切身的,可惜這本書並未著墨於這些。但對我來說,具娛樂性卻缺少關鍵的一味。

    此外,由於對話用語太過於現代,在閱讀過程感到相當強烈的不協調感,從定朝嘴裡不斷冒出「僕」,實在有些難以接受,這似乎是這位作者的通病。

  • 平等院鳳凰堂の仏像を手がけた名仏師・定朝の半生を題材とした歴史小説。彫刻家を題材にした小説は珍しいが、かなり資料を渉猟した力作。

    定朝と学僧の隆範との交流を軸として、当時にきな臭い政争が絡み合う。藤原氏内部のいざこざや、不遇だが横暴な親王、女房との恋路などは退屈であったのだが、こうした傍役たちのストーリーが、凄絶な結果をもたらす。いくつかの場面で涙を誘われること必定。

    女房のくだりは創作かと思っていたが、史実だったみたい。

    かの有名な平等院鳳凰堂の阿弥陀如来のモデルが誰なのか、という謎解きでもあるのだが。
    青年らしい青臭さがあると思っていた定朝の、芸術家としての業の深さ、貴族社会への痛烈な批判と、落ちぶれていく人びとの哀れ。

    大河ドラマの平清盛の世界観を文字に起こしたような感じだったが、描写が丁寧で、平安朝に迷いこんだ錯覚を覚える。

    ラストの余韻がなんともまた。兵どもが夢のあと、という一句が似合いそうな。

  • 京都や宇治に住んでいて良かった、と思うのは
    こういう本を読んだ時

  • 平等院鳳凰堂の阿弥陀如来の作者定朝と彼をめぐる人々の物語。貴族達の関係性(誰と誰が従兄弟でとか)が頭に入って来なくてそこは読みづらかったけど、おもしろかった! 
    奈良京都に行きたくなったー。

  • 若き仏師、定朝と彼の作品に魅せられた比叡山の僧侶、隆範(りゅうはん)の二人を中心に、道長の娘・彰子に仕える女御、中務と小式部、不遇の敦良親王、藤原道雅・・彼ら彼女らの苦悩と、その思わぬ決断に胸つかれて何度か泣いてしまった。藤原時代の貴族、比叡山、仏師、庶民の生活を描きわけつつ、脇に至るまで個々の登場人物が魅力的。 「円熟」と先入観を持っていてそれほど魅かれていなかった定朝の仏像を改めてじっくり拝観したいと思った。若き定朝の仏像があった法成寺が現在残っていないのがとても残念。

  • 古代史を勉強してから読むと、また、違う感動がありそう。今の僕では力不足。

  • 和図書 913.6/Sa93
    資料ID 2013103026

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著者プロフィール

澤田瞳子(さわだ・とうこ)
1977年京都府生まれ。同志社大学文学部文化史学専攻卒業、同大学院文学研究科博士課程前期修了。専門は奈良仏教史。母は作家の澤田ふじ子。時代小説のアンソロジー編纂などを行い、2008年、第2回小説宝石新人賞最終候補。2010年『孤鷹の天』で小説家デビュー。2011年同作で第17回中山義秀文学賞を最年少受賞。2012年『満つる月の如し 仏師・定朝』で第2回本屋が選ぶ時代小説大賞、第32回新田次郎文学賞受賞。2015年『若冲』で第153回直木賞候補。2016年同作で第9回親鸞賞受賞。2017年『火定』(PHP研究所)で第158回直木賞候補。2019年『落花』(中央公論新社)で第32回山本周五郎賞候補および第161回直木賞候補に。

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