闘う市長―被災地から見えたこの国の真実

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  • Amazon.co.jp ・本 (230ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198633660

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  • 原町市・小高町・鹿島町の3市町が平成の大合併で誕生
    したのが福島県南相馬市である。

    2011年3月11日の東日本大震災とそれに続く大津波で
    甚大な被害を受けた上に、福島第一原発事故が追い打ち
    をかけた。

    屋内避難指示が出た南相馬市は、物資さえも届かない。
    その窮状を動画サイトで発信し、一躍、時の人となった
    桜井勝延市長のインタビュー集だ。

    テレビのニュースに登場した時も、桜井市長は作業着姿
    だった。この人が市長だと知らなければ、そこら辺にいる
    おじさんという感じ。

    だが、作業着に包まれた心のうちは熱い。被災地の首長
    ということもあるのだけれど、現場第一主義。国会議員に
    だって、中央の官僚にだって、「現場の感覚とずれている」
    とはっきり言える人だ。

    そして、物凄く前向き。これは桜井市長が本来持っている
    性格なのだろうが、市の復興に対しても被災地であること
    を逆手にとって、いろんなアイデアを持っている。

    被災者であるからといって、被害者意識を過剰に増大させ
    ていたら何も変わらないとか、保障と賠償が被災者をダメ
    にするとか。結構、耳に痛い言葉もある。

    自治体が決めたことを国が引っ掻き回すんだものな。
    やりにくいだろうなぁ…とも思う。

    余談だが、私は以前「菅直人はお遍路行ってないで、
    奥の細道へ行けよ」と言っていたのだが、まさか桜井
    市長が同じようなことを発言してるとは思わなかった。

    安倍晋三もさ、毎月のように「外交だ」といって海外へ
    行くのもいけど毎月、被災地へ行ってみたらどうか。
    そうして、仮設住宅で生活してみるってのはどう?
    東日本大震災から間もなく3年となる。国は妙なことを発表
    したぞ。岩手、宮城、福島の3県に国営の復興祈念施設を
    整備するとか。

    こういうハコモノ、本当に必要?どこかの県から要望でも
    出たの?

    お金を使うところが、なんか違う気がする…。

  • 相対的強者による相対的弱者の利用

    民主主義を徹底するっていうことは住民にそれだけ権威と義務を与えていくということ
    例えば日本は火力があって、民間がコントロール出来ているから、政府は外交面と軍事面だけやっていれはいいんだっていう考え方もできる

  • ポジティブさというか求心力というか。最後に「これだけ戻って来てるのすごいことじゃん」て素直に自分の功績を肯定してるのが、いい意味で日本の首長らしくない。

    当時の話、それまでの話、自分の人生とこれからの話って大きな枠に移動してくのと、語り口が軽いので流れで読めたけど、その分細かいところは分かりにくかった...
    別の視点からも知識を増やしてから読み返したら違った感じ方が出来そう。

  • 選挙をやらせれば何ができるのか、能力はどうなのか一番分かると政治家が言ってた。
    被災させれば市長や行政の能力も分かるのだろうか。
    活動する市長なのだろう。

    しかし、いかんせん語ってるだけなので頭に残らなかった。
    そういう意味でつまらなかった。

  • 前向きに、歩き出しているつもりでした。
    でも、この本を読んで、仕事の取り組む姿勢や自分がどう生きて行くのか、子供達に何を残し、伝えていくのか…考えさせられました。
    福島でしかできないこと、福島で生きていくということ…動き出さなければと、思いました。

  • 自分の安心感だけを求めて生きてきた人たちは、逃げ出していった。世界を日頃から相対的に見ることができている人間は、ひとつの大きな試練だと受け止めて積極的にかかわっている。

  • (2012.05.03読了)(2012.04.21借入)
    【東日本大震災関連・その79】
    南相馬市長・桜井勝延さんにインタビューしたものを開沼博さんがまとめたものです。語り口がそのまま文章になっているので、ちょっとわかりづらい、という印象です。
    「本書は、2011年末から2012年の初めにかけて、複数回に渡って行ったインタビューを元に構成したものだ。震災直後の混乱、計画的避難区域・緊急時避難準備区域・警戒区域・特定避難勧奨地点への「分断」下の状況、中央の政治家や官僚とのやり取り、南相馬市の、あるいは地方自治の今後あるべき姿、除染や避難についての考え、さらには桜井個人の今に繋がる学生時代の経験や宮沢賢治への思い入れ等、内容は多岐に渡る。」(14頁)
    桜井さんは、2011年3月24日にYouTubeでメッセージを発信し、後に「タイム誌が〝世界で最も影響力ある100人〟に選んだ」ことで有名なのだそうです。
    福島の震災後の様子がよくわかる本です。「飯舘村は負けない」(千葉悦子・松野光伸著、岩波新書)とともにお勧めです。

    【目次】
    はじめに  聞き手・開沼博
    第一章 現在、そしてあの日の回想
    第二章 東電と政府がこのまちにつけた傷跡
    第三章 被災地の首長としてすべきこと
    第四章 被災者感情と、復興を妨げる放射能
    第五章 なぜ自分は市長になったのか
    第六章 未来の南相馬市と地方自治のために

    ●大変な時に(48頁)
    「大変な時に市長になりましたよね」みたいな言葉は一杯言われるんだけど、それはものの考え方次第。この窮地って世界史的災害でしょ。世界史的災害の現場に、現場の首長として指揮できるっていう経験、なかなかできないよ。大当たりだよな。
    ●「死の町」(60頁)
    経産省やってた鉢呂さんもそうだよ。「人っ子ひとりいない死の町」だとか、本当のことでしょ、それ。大熊の町長も双葉の町長も、みんな言ってるよ。なんでそれが、東京に行くとおかしなことになって、現地で行くと当たり前のことなんだ?
    ●汚れる(62頁)
    何で汗かいたり汚れるのがそんなに嫌いなの? 体の中とか心まで汚れるわけじゃなくて、体の表面が汚れることに恐れを抱いてたら仕方ないじゃん。そんな官僚も政治家も結構いるんじゃないの?
    ●納税(112頁)
    自分たちのことは自分たちで、まず、やってもらうという仕組みが必要だと思うね。やるためには金がかかるだろうと。そのためには税金も必要なんだよ、ということをしっかり感じて欲しい。
    ●1ミリシーベルト(151頁)
    新潟の避難所に行って、新潟市長と一緒に線量のことを説明していた時、1ミリシーベルト以下に下げますよって話になった。学校も除染して下げるように今努力してるから、皆さんが帰れるようにしっかり除染しますからって言う話をしていたら、「何言ってんのよ、放射能なんか私、1ミリシーベルトだって、そんな危険なところに帰らないわよ!」て言う母親がいてさ。
    ●除染の代わりに(154頁)
    早く帰りたいって思っている人が大勢いる一方で、もう住みたくないって思い始めてる人たちも少なからず出てきてる。この前、相馬の仮設に行って小高の人たちと懇談会やてきたんだけど、「除染なんかすることないから代わりに金くれろ」って言う人もいるんだよな。
    ●役所と民間(220頁)
    役所は何でも、変な意味で「おれたちがやる」みたいな感覚でいるからさ。もうちょっと民間を活用して、行政の権限を発揮すべきところだけをこちらでうまくコントロールすればいいんじゃないの。別に行政が金儲けする必要なんかないんだからさ。民間が金儲けすれば税金が上がってくるでしょ。

    ☆関連図書(既読)
    「食卓にあがった死の灰」高木仁三郎・渡辺美紀子著、講談社現代新書、1990.02.20
    「ぼくとチェルノブイリのこどもたちの5年間」菅谷昭著、ポプラ社、2001.05.
    「原発と日本の未来」吉岡斉著、岩波ブックレット、2011.02.08
    「緊急解説!福島第一原発事故と放射線」水野倫之・山崎淑行・藤原淳登著、NHK出版新書、2011.06.10
    「津波と原発」佐野眞一著、講談社、2011.06.18
    「前へ!-東日本大震災と戦った無名戦士たちの記録-」麻生幾著、新潮社、2011.08.10
    「福島の原発事故をめぐって」山本義隆著、みすず書房、2011.08.25
    「災害論-安全性工学への疑問-」加藤尚武著、世界思想社、2011.11.10
    「南相馬10日間の救命医療」太田圭祐著、時事通信出版局、2011.12.01
    「市民の力で東北復興」ボランティア山形、ほんの木、2012.01.15
    「官邸から見た原発事故の真実」田坂広志著、光文社新書、2012.01.20
    「見捨てられた命を救え!」星広志著、社会批評社、2012.02.05
    「ホットスポット」ETV特集取材班、講談社、2012.02.13
    「ふたたびの春に」和合亮一著、祥伝社、2012.03.10
    「飯舘村は負けない」千葉悦子・松野光伸著、岩波新書、2012.03.22
    「これから100年放射能と付き合うために」菅谷昭著、亜紀書房、2012.03.30
    (2012年5月6日・記)

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