千年鬼

  • 徳間書店 (2012年6月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784198634155

みんなの感想まとめ

物語は、弟を探す民と出会った小鬼の切ない交流を描いています。小鬼は、禁断の過去見の術を使い、民に悲しい真実を見せることで、彼の運命を変えてしまいます。民は、身内に宿った「鬼の芽」によって、非道を働けば...

感想・レビュー・書評

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  • 弟を探して森にやってきた民と会った小鬼。
    黒鬼に頼み、禁断の過去見をして、民の弟の居なくなった時を見せた。
    それは、悲しい現実であった。
    それが元で、民は身内に『鬼の芽』を宿してしまった。

    鬼の芽は、破裂し、非道を働けば地獄に落とされ、現世へは、二度と戻れない。
    千年を地獄で暮らし、その果てに命は無に還される。

    小鬼は、民を助ける為に、「生まれ変わる民にずっと張り付いて、悪さをしそうになったら止める」
    と、天女に約束した。

    千年の間、過去見の術を使って、鬼の芽を摘み続ける
    それが、小鬼と、黒鬼に与えられた罰であった。

    民は、何度か生まれ変わり、時は過ぎ、ようやく千年が過ぎようとしていたが… …

    小鬼の墓場で、小鬼を生き返られる為、たとえ、千年かかってもと、赤い砂を拾い集める民。
    思わず、ほろりとさせられた。

  • 3匹の小鬼「過去見」によって過去を見せてもらう人々の短編連作かと思っていたら、5話目で繋がりが証され、タイトル『千年鬼』の意味も分かる。小鬼の一途さに、愛しさに泣いてしまう。

  • 「げに恐ろしきは、鬼ではなく、この人鬼なり」 
    この本に出てくる小鬼はとても純粋です。
    人の憎しみや怒りが増幅されると、“鬼の芽”が育ち、やがてはじけて“人鬼”となる。千年の間、それを阻止し守ろうとした小鬼。人鬼となってしまった民を救おうと、己の体をボロボロにしながら、生まれ変わる民の鬼の芽が育ってしまわぬよう見守る小鬼。
    “鬼の芽”がたやすく育ってしまいそうな、いつ鬼になってもおかしくないような状況は身近にいつでもあるものだなぁと、民の生まれ変わりをみながら思いました。
    ラストは泣けます。小鬼も民も切なくて、切なくて。 
    ですが、天女が言うとおり民には希望があるので、いつか千年の後には、また二人が会えるかもしれないですね。  

  • 鬼の芽は鬼ではなく人に宿る
    怨み辛みを糧として身内に育ち
    やがてその実がはじければ額に角をもつ人鬼となる
    げに恐ろしきは鬼ではなくこの人鬼なり
    「過去見」という過去を見る能力を使い
    人に宿る「鬼の芽」を摘む小鬼の短編集。

    せ…せつない…
    短編集かと思いきや連作。
    時系列が少しバラバラだけど読み終わった後に
    読み直すと黒鬼の態度とかに想いが現れていて感慨深い。
    和風ファンタジーが好きな人にとてもオススメできそう。
    表紙、挿絵もすごく素敵なのでこのまま
    文庫になってほしいな~

    小鬼が民が人鬼になるまで守り続けて千年。
    そして民が小鬼にまた出会える日まで千年。
    いつか二人が笑いあう姿が
    目に浮かぶような気がする。
    ありきたりなハッピーエンドではなく
    後味の悪いバッドエンドでもなく
    希望がある限りそこは地獄ではない、
    という終わり方が良いと思った。

  • アニメ化してないの…?
    読み終わってから表紙絵みて泣くパターン
    小鬼がいじらしくて切ねえ

  • 本を読んでて泣かなかったのは、だれも諦めてなかったから、かな。

    帯に「ファンタジー」という文字があって、とても面白そうな小説だとは思っていたのだけれども、ずいぶん手に取るまでに時間がかかってしまいました。
    ※ファンタジーもの大好きなのですが、年々冒険的なガツガツ行くファンタジー(雰囲気だけ伝わって…)は気力がついていけず……なんてことも多かったので、こういう経緯になりました。

    私がついに読み始めたとき、ほっとしたのが短編連載の形をとられていたこと。一つ一つのお話が短いスパンで切り替わって、謎を深めたり、キャラにより魅力を追加したりしてくれました。
    後半はそういうわけにはいかず、切なくて苦しい状況が続きましたが、その前までに作り上げた千年鬼への信頼感・期待感が、ラストまでしっかり支えてくれます。

    とても良かったです。
    物足りないくらいがちょうどいい。良かったです。

  • ほっこりファンタジーかと思いきや、切ない。切ない。。。
    「千年」、想像しようとしてもできないぐらい途方もない時間。たみの鬼の芽を摘み続ける小鬼もカッコイイし、支え続ける黒鬼もカッコイイ。
    予定調和で終わらず、シビア。でもラストかすかな希望が見える。出会ってほしいと切に願う。

  • ほんわかしたファンタジーかと思いきや、まさかあんな結末になるとは。
    終盤は涙無しには読めませんでした。
    千年という長い間、己の命を削るのも厭わず過去見の術を使い続けた小鬼。
    鬼の芽の宿業である輪廻を繰り返す民を追い続ける最中に、人の営みを見聞きしながら、ただただ民の心に寄り添おうとする健気な心に胸を打たれます。
    あの場所で途方もない作業を続ける民の笑顔にも心動かされます。
    互いを思いながら過ごしたそれぞれの千年を経た先に、二人が笑顔を交わせる未来が続いているように願わずにはいられない。
    とても素敵な作品でした。

  • 日本昔話風のファンタジー作品です。
    鬼の芽がある人間は、悲しみや怒りなどで殺戮などをする悪しき人鬼になってしまう。
    それを防ごうとする小鬼がいて、連作短編集なのかと思いきや、千年もの物語に連なって、やかて物語の悲しき真相が明らかになって・・・。

    泣けました。

    もし、私がアニメ業界の人間なら、全力で本作アニメ化の権利を取りに行きたいと思うであろう、そんな傑作でした。

  • 一話目の小鬼と少年のお話がすごく良くて、ああ、こうやって自分の中の暗い部分=鬼を解消していくお話の連作なのね、と思ったら…一話目の結びでもっと壮大な核になるストーリーが出てきて、「お、これはすごいぞ」となりました。

    全部で7つの短編は、「鬼の芽」を宿す主人公が小鬼と出会い、小鬼の過去見の力を使って主人公の心の闇が解消され、その鬼の芽が摘まれていく物語で、なんとも言えないカタルシスがあります。無邪気な小鬼の奮闘もいじらしい。けれど、実は哀しい過去があることがだんだんわかってきます。なぜ小鬼はそんなことをしているのか。短編は、時系列にはなってなくて、「どうしてこうなった?」と謎が残るので、続きを読まずにはいられない。

    クライマックスで、普通なら、こんなに頑張った小鬼の願いは叶いました…となるところ、そんなに単純には終わらないのがまた良かった。
    長い年月、小鬼が想い続けた少女が、今度は小鬼を想い続ける。ハッピーエンドではなくても、希望が残る、ある意味とても幸せなエンディング。

    最後まで読んで、もう一度おさらいをすると、ああ、そういうことかだったのか!とさらに切ない余韻に浸れる物語でした。

  • <鮮>
    僕のジャンルの中では「妖怪もの」ですが,今まで読んできた夢枕とも京極とも荒俣とも違う,初めて出会う感じの作品です。僕はこういうの割と好きです。
    題名は「せんねんき」と読むみたいですが,僕は「せんねんおに」と読むほうが良いと想う。

  • 千年の間、人の中に生まれ成長する鬼の芽を摘み取る鬼の話。
    鬼の目が成長しきり弾ければ、その人は人鬼となり、世に混乱と殺戮の嵐を産む。
    一般に人間が言う“鬼“とはこれのこと。
    という設定が面白いと思います。

    個人的に好きな話は鬼姫さまですかね。
    狂気であるようで冷静な目を持つ姫様がなんとも凄い。

    ところで女の子に民なんて名前をつけないで欲しかったなと思う次第。
    人の名前だとは思わず、自分の元にある人間と言う意味の民かと思って混乱しました。

    まあそれはともかくとして、1000年経った頃が維新付近だとすると、そもそも出会った頃はどの年代なのだろうか。
    800年頃だと思うけど、ええと、何時時代?

  • 無垢な心のままに罪を犯すと、鬼の芽が生じる。それがはじけると人鬼になる。小鬼と友達になった人の子。小鬼が過去を見せ、自分の罪に耐えられず、怒りと憎しみと後悔で人鬼になり、地獄へおちてしまいそうになる友達を助けようと、小鬼は過去見の力で、人の世に降り、千年かけて人々の鬼の芽を摘んでいく。
    この「鬼の芽」という表現、過去を見る原理で光の原理を使ってるのが面白い。
    話はきれいだけど悲しい。残酷など因果応報。でも、希望を残しているのが不思議。

  •  小鬼は通常は鬼の姿が見えないはずなのに見える少女民(たみ)と出会い、禁忌を犯してしまう。民に新たな生が得られるよう命をかけた千年の旅に出る。

     表紙や挿し絵がよかった。赤鬼が健気でかわいく、黒鬼のチャラい感じが物語を明るくしている気がしました。字も大きめでさくさく読めます。天女様が意外と厳しいと感じました。

  • ・黒鬼、かっこいいよ、黒鬼
    ・簡潔で小説の一つ一つが短めだからこそ、心に迫る描写がある。
    ・「地獄は人間が作り出したもの」「罪悪感は人間のみが持つもの」などという一説がよかった
    ・ほのかに漂うメリバ臭……。

  • 2013/7/16 start → 2013/7/19 fin
    きっかけ:書店の平積みで絵とタイトルに魅かれて。

    世界観にひかれた。
    人と鬼の成り立ち、関係。
    死後の世界の決まり。

    作者の別の作品も読みたくなった。

    短編集かと思いきや、小鬼と少女の出会いがきっかけに
    始まった千年に渡る物語だった。
    時系列があえてばらばらに載っているが、
    物語の全貌を理解して、時系列に並べてまたそれぞれの短編を
    読んでみると、小鬼と同行者の黒鬼の言動や心情がまた変わって
    読める。それがまた楽しかった。

    ふと読み返してみたくなる良い物語でした。

  • 童話のような雰囲気ですが、重い内容、可愛らしくて、可哀想で。切ない。

  • 表紙がかわいい~~~!
    色合いがやさしくてあったくて楽しそう。
    しかも千年鬼、タイトル、かっこい~。
    どストライクだ~っと思って手に取る。
    西條さん好きだし。

    で、読み終わって、涙。
    せつない~~~~!!
    うう、小鬼も民もせつなすぎる~~~~!

    鬼の芽ってなんなんじゃ~。
    2人はなんにも悪くないのに~。

    無垢な者が知らず犯した罪が鬼の芽となり、やがて破裂し人鬼となる。

    哀しい、哀しい、摂理だ。
    でもそれを小鬼は打ち砕いた。割れ砕かれた、鬼の角。
    どうか、どうか千年の後、民と小鬼が笑って再会できますように。
    そう祈らずにはいられない。


    で、結局彼らは皆民の生まれ変わりだった、とゆーことだったのね。
    どーして彼らが鬼の芽を集めているのか、結構後の方に分かったので、
    読み終わって、ぐるりと一周まわって納得した感じ。
    ひとつひとつのお話は、みんないい話。
    鬼姫の話は結構弟が話すまで全く予想してない展開だった。
    なるほど、そーゆーことか、と。
    最後の姫のセリフがなんか、いい。

    で、話の前に歌の文句のような文が数行あるんだが、
    これがまた雰囲気があって素敵だ。
    そうそうブリーチのコミックの最初のページにいっつも素敵な詩のような
    文があるんだか、あーゆー感じ。メッチャ好きです。

    さて、黒鬼の望みがかなえられる日はくるのか?
    意外といい奴で、小鬼のために望みを変えてくるかと思いきや、
    そこはなかった、な。
    まあ、らしい、といえばらしい。

    隻腕の鬼の話は結構衝撃的で、
    その覚悟に頭が下がる。

    諦めてはだめなんだ、諦めたら鬼の芽に流されてしまう。
    でも鬼の芽はきっと誰の心にもあるものだ。
    それを一生芽吹かせずに生きられるか、
    人鬼となるか。
    なにも角を生やし人を殺すだけが人鬼ではないだろう。
    誰かを踏みつけ、傷つけ心を殺す鬼が、それを楽しいと思ってしまうような
    鬼の心がきっと誰の中にもある。

    千年、誰かを想うこと。
    そんなことが本当に、できるだろうか?

  • 読み終わって、思わずため息が出た。
    小鬼と民のいじらしさが堪らない。
    一見粗雑そうな黒鬼の優しさも滲み出てくる。
    無駄やよどみのない、柔らかくて物悲しい文章。
    物語の流れもよくて、希望と悲しみの調和がすごい。
    子供にも大人にもおすすめしたい。

  • 面白かったけど、少し子供向けかなと。

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著者プロフィール

1964年北海道生まれ。2005年『金春屋ゴメス』で第17回日本ファンタジーノベル大賞を受賞し、デビュー。12年『涅槃の雪』で第18回中山義秀文学賞、15年『まるまるの毬』で第36回吉川英治文学新人賞、21年『心淋し川』で第164回直木賞を受賞。著書に『九十九藤』『ごんたくれ』『猫の傀儡』『銀杏手ならい』『無暁の鈴』『曲亭の家』『秋葉原先留交番ゆうれい付き』『隠居すごろく』など多数。

「2023年 『隠居おてだま』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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