千鳥舞う

  • 徳間書店 (2012年7月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784198634322

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

心の美しさと人とのつながりがテーマの物語は、女絵師・春香が描く博多八景を背景に、愛や哀しみを織り交ぜながら展開されます。各短編は、主人公たちの切ない感情や人々の物語を通じて、心の死がもたらす無明の闇と...

感想・レビュー・書評

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  • 女が待ち続ける。絵師とはなんとも心を削る商売かな。

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    心が死ねばこの世のすべては無明長夜の闇に落ちる。この世を美しいと思うひとがいて、初めてこの世は美しくなる。そう思うひとがいなくなれば、この世はただの土塊となるしかない。死なせてはならない心とは、人を愛おしむ心や、この世を美しいと感じる心。ひとはひとに愛しまれてこそ生きる力が湧くもの。涙と感動を呼ぶラスト。女絵師・春香が描く博多八景にまつわる哀切で感動的な物語。

    平成31年3月12日~16日

  • 期待を持ちつつ読んだのに・・・、切ない。
    「○髪」という文字が目に入った途端、ぶわっと来た。
    主人公二人の気持ちも切ないが、絵を描くたびに繰り広げられる人々のお話も切ない。
    読後感は悪くない。

  • 博多八景にちなんだ連作短編とそれをつなぐ女絵師の里緒の外記との愛,それぞれの絵に伴う女と男の愛憎や哀しみがしみじみと心に迫ってきた.

  • 港は待つ者の所へ戻る船と明日へ出航する船とが出入りする場所。岬から眺めれば港を横ぎる千鳥と共に想いをのせた風が吹きぬける。待つ身とそれぞれの人生を見つめる一冊。

  • 心願、祈りの八話は…出会った人すべての思いが籠った"博多八景図屏風"。そして、比翼の千鳥を舞わせる始終章での起結にはグッときた♪。

  • 女絵師の恋と仕事。外記と結ばれたら良かったけど、さすが一筋縄ではいかない。でも叶いそうでかなわない恋を常に気にかけながら、軸になるのは博多八景を描くお仕事。
    それぞれの景色に、それぞれの人のドラマがあって、春香は皆の悲しみや痛み、切なさを受け止めながら描いていく。とても丁寧で、優しい人情ストーリーだと思う。
    「この世を美しいと思う人がいて、初めてこの世は美しくなる。
    心が死ねばこの世は無明長夜の闇に落ちる。」

    読み進めるにつれて、それぞれの絵が脳内で鮮やかに完成されていく。
    とても丁寧で、美しいイメージの湧く作品。

  • 凜とした佇まいの女絵師・春香が描く博多八景にまつわる哀切で感動的な物語。男と女はなぜ離ればなれになるしかないのか?

  • 2011年下期の直木賞作家、葉室麟の時代小説。
    自分にとっては今まで全く縁のなかった小説家だが、日経の書評欄でベタボメだったので、手にとってみた。
    福岡藩お抱えの狩野門の絵師、衣笠春崖の弟子の女絵師、里緒(号は春香)を主人公に、彼女が博多の大店に依頼されて描くこととなった「博多八景」をめぐる、10篇の短編連作集。
    里緒の情念と、絵師としての矜持の、その2つが織りなす綾を中心に、里緒をめぐる人々の人生模様も交え、生きることの無常さと希望を、淡々と、しかし力強く描き上げた、極めて良質な時代小説である。
    無知を晒すが、その文体の凛とした感じから、女流作家かと思ったほどで、読後すぐググったらオッサンの画像が並んだので、少しがっかりした(笑)
    かって松本清張賞受賞時に「藤沢周平を思わせる正攻法の歴史小説」と評されたそうだが、実に時代小説の良さを感じさせる、絶妙の味と抜群の上手さを感じる。
    いい作家と巡り会える喜びを、また感じることが出来た.......小説は面白い!

  • 主人公の絵師が、里緒(りお)という名前なので、始め舞台は現代かと思ったが、江戸であった。
    博多織で財をなした亀屋籐兵衛の依頼で「博多八景」の屏風絵を書くことになる。
    その八景それぞれに登場人物が出てくる。
    里緒の師匠春崖、そして兄弟子春楼、江戸から来た狩野派の杉岡外記。
    博多の豪商、加瀬茂作。里緒の身の回りの世話をするお文。

    最初はそれぞれ主人公が異なる別々の話をつなぎ合わせるのかなと思っていると、しだいに絡み合ってくる。
    このあたりがうまくできている。

    それにしても、途中の唄とか、和歌はどうやって出てくるのだろうと思ってしまう。
    入念な調査・準備の結果だろう。

    最後に仙崖和尚登場。死生観を述べる。
    春崖が亡くなったときには、
    「されど、なにゆえ、ひとが葬式を行うかと言えば、亡くなったものが親しき者を道連れにせず、ひとりで成仏してもらうためじゃ。ひとりで成仏するのは寂しかろうゆえ、皆でにぎやかに見送ってやるのが葬式じゃ。親しい者が逝ったからというて、自らの生きる力を失うては亡くなった者がこの世へ未練を残して成仏の障りになろうぞ」
    外記のときは、
    「思い切り泣くがよい。悼む涙は、亡き者の心を潤そう。そして、亡き者に言い聞かせるのじゃ。いまは行けぬが、いずれはそちらへ参る。この世の美しきものをたんと見て、土産話を聞かせようほどに、楽しみに待っていてくれとな」

    もしも大切な人が先に亡くなったときのよすがとなるやもしれぬ(相変わらず影響されやすいな)。

  • 博多八景を描く女絵師、春香の身の上とそれにまつわる物語八話。道ならぬ恋をし処罰をも受け絵師として生きていこうとする春香。

    ー帯よりー
    この世を美しいと思う人がいて初めてこの世は美しくなる。死なない心とは、人を愛おしむ心やこの世を美しいと感じる心。

    凛とした人の心の美しさを感じる。

  • 江戸時代?女性絵師が博多八景の屏風を描いていく小説です。一つ一つの下絵に 関係する人達の運命や愛情が描かれていきます。少し物悲しい雰囲気の時代小説でした。

  • 葉室麟5冊目は「千鳥舞う」

    女絵師・理緒が博多八景図屏風を仕上げていく。完成したそれぞれの景色には、そこに生きる様々な人の思いが籠っていた…

  • 博多八景の屏風絵を依頼された女絵師・春香。叶わない思いを秘めつつ、一枚一枚風景と向き合い絵を描いていくたびにさまざまな人々の哀しい思いと出会い・・・・。
    江戸の町とは違う、博多の景色と人々の風景がじんわり染みました。

  • 連作短編集。悪くないけど一つ一つの話はちょっとあっさりしすぎてるかな。 他の作品の方が自分には合ってたかな。

  • 主人公の女絵師・春香(里緒)と狩野派の絵師・守英(外記)の悲恋の果てを縦軸に、春香が「博多八景」に投影した人々の悲哀を横軸に。ひとがひとを愛おしむ心の美しさを描きながら、悲哀を芸術へと昇華させる絵師の誇り高い生きざまを映し出す。確かな筆致に支えられた文章の力は圧巻。頁をめくるのがもったいなく感じられ、丁寧に、ゆったりと読み進めた一冊。

    春香と守英が想いを遂げられないのは不義密通の罪のためではなく、絵師としてのお互いの才能をもまた愛するがゆえである。人生のすべてが芸術の道に通ずるという禁欲的な姿勢は気高くすらある。彼らは罪を許されるために芸術の道を歩んでいるのではなく、芸術の道を歩むことすなわち罪の中で生きることなのである。そこまでの覚悟が試されるのが芸事の道なのである。

    「博多八景」とは主人公春香が請け負った屏風絵の題材。

    濡衣夜雨
    長橋春潮
    箱崎晴嵐
    奈多落雁
    名島夕照
    香椎暮雪
    横岳晩鐘
    博多帰帆

    これらひとつひとつの名勝地にまつわる物語により作品のうち八章を構成する。さらに序章として春香と守英の恋の証たる「比翼屏風」の章、終章としてここまでの物語のすべてを受けた春香の心に息づく「挙哀女図」の章が全編を包括する。「香椎暮雪」の二人の尼の背負ってきた女人の悲哀がとりわけ印象に残った。

  • 夢(願い)は思い続ければ叶う・・・いや、叶わない時もある、切ないお話。それでもうちこめる何かがあれば人は生きていかれるんだな。

  • 福岡でなければなー

  • 博多の女絵師「春香」の恋がメインテーマの連作短編10編。切ないです。「海賊とよばれた男」にも登場した仙厓和尚が良い味出してます。

  • 「問題小説」に連載した8章と、その後「読楽」に連載した2章を改稿し単行本化した作品。

    博多の女絵師春香こと箭内里緒が描いた博多八景を章題に、里緒と出会った人々の人生を巧みに描き出していて、葉室麟の真骨頂と思える。

    里緒は師春崖の指示で江戸から来た狩野派の絵師杉岡外記を手伝い、千鳥の屏風を描くうちに外記と身も心も一つになり、密通の咎で引き裂かれ二人とも破門されていた。
    3年たって許され、博多八景を描くよう求められる。

    濡衣夜雨 兄弟子春楼が惚れた遊女と恋人の心中
    長橋春潮 御救奉行の妻が昔の思い人を看取る
    箱崎晴嵐 新内の師匠から妻を奪った幇間与三兵衛
    奈多落雁 博多に流れて来た若い元役者が團十郎に会って芝居に戻る
    名島夕照 里緒の世話をする女中を昔捨てた母が会いにくる
    香椎暮雪 昔師と相思だった元武家の奥方の尼を探し出して看取ってもらう
    横岳晩鐘 里緒に横恋慕した若い僧による幽霊騒ぎ
    博多帰帆 離縁を切り出して妻に毒を盛られて死んだ外記の遺髪が届く

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著者プロフィール

1951年、北九州市小倉生まれ。西南学院大学卒業後、地方紙記者などを経て、2005年、「乾山晩愁」で歴史文学賞を受賞しデビュー。07年『銀漢の賦』で松本清張賞を受賞し絶賛を浴びる。09年『いのちなりけり』と『秋月記』で、10年『花や散るらん』で、11年『恋しぐれ』で、それぞれ直木賞候補となり、12年『蜩ノ記』で直木賞を受賞。著書は他に『実朝の首』『橘花抄』『川あかり』『散り椿』『さわらびの譜』『風花帖』『峠しぐれ』『春雷』『蒼天見ゆ』『天翔ける』『青嵐の坂』など。2017年12月、惜しまれつつ逝去。

「2023年 『神剣 人斬り彦斎』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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