世界の99%を貧困にする経済

  • 徳間書店 (2012年7月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784198634353

みんなの感想まとめ

社会の不平等と経済政策の影響を深く掘り下げた本書は、特にアメリカにおける貧困層と富裕層の格差を鋭く分析しています。著者は、2007年以降の世界金融危機を予見した数少ない経済学者の一人で、行動するエコノ...

感想・レビュー・書評

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  • 世界金融危機 (2007年-)を予測できた数少ない経済学者の一人。
    ウォールストリート占拠デモにも参加した行動するエコノミスト。
    この本では、99%の貧困層と1%の富裕層という、アメリカの歪んだ社会構造を分析している。
    「第9章 上位1%による上位1%のためのマクロ経済政策と中央銀行」の中の「現代のマクロ経済学と通貨政策がどのようして下位99%を痛めつけたか」は、アホノミクス以後の日銀の通貨政策が、オレにとって、具体的にはどのように作用するんだろう?と考えながら読んでいた。

    「ほとんどの人々にとって、賃金は最も重要な収入源だ。結果として高い失業率をもたらすマクロ経済学と通貨政策は、現在のアメリカ社会における不平等の主な源だ。過去4世紀の間、マクロ経済学と通貨政策は安定を生み出してこなかった。維持可能な成長を生み出さなかったし、最も重要なことに、アメリカ社会のほとんどの成員に恩恵をもたらす成長を生み出さなかった。」

    「真相を言えば、マクロ経済学の諸モデルは、不平等と配分政策のもたらす帰結にあまりにも不注意だった。これら欠陥のあるモデルにもとづく政策は、危機の発生を助長する一方で、危機に対処する能力を欠いていることが証明された。たとえ経済が回復しても、それが雇用なき回復になるという絶望的な展開にも、これらの政策が寄与していたものと思われる。」

    スティグリッツのことが好きなのは、やっぱりそこに、数式だけじゃなくて、モラルがあるから。
    経済学はモラル・サイエンスだと言ったアダム・スミスの言葉は、ケインズでさえ受け継いでいるんだから。

  • 上位1%の富裕層が政府へ働きかけ、自らに有利な仕組みを作り上げて、残りの99%から搾取を行う=レントシーキングについて問題提起した本。著者はノーベル経済学賞受賞の御大らしい。

    ・よかった点
    著書はアメリカ経済について語ってるけど、強きを助け弱きを挫くことに注力する、まさに近々の日本の構造を初出2012年の時点で明らかにして見せたこと。薄々分かっちゃいましたが、やっぱ隅から隅まで上位1%が攻略済み!と見せつけられるとあちゃーと思う。

    ・よくなかった点
    長い&内容の重複が多い気がする。途中でここもう読んだかなーと眠くなっちゃうくらい。半分くらいにカットしてもよかったんではなかろうかと。
    あと対応策が最終1章しかなくて、しかも香港みたいにデモ参加とか別にすれば、個人で速攻できることって折々選挙に行って金持ち優遇策に数の力で歯止めをかけることくらい?と思うと萎える。敵はカネ・コネ・アタマの3拍子そろった華麗なる超難敵なのに、それじゃ間に合わないよー。

    総評
    何もしなければ今後もっと搾取され、でも社会全体としては沈んでいくだろう未来予想図を見せつけられ、今自分がどの位置にいるのか意識させられたことは、ためになったとは思う。上位1%と接点ないので彼らの考えが分からないけど、多分自分たち以外は養分の認識で、世界が滅びようが自分たちだけは生き残る気でいるんだろうなあと。暗い。

  • 一回通読しただけでは、完璧に理解するのは難しいが、思った以上にアメリカは深刻な貧困に陥っている。貧困層では6人に一人は仕事に就けない。まともな医療も受けられない。住宅も多額の負債を抱えて失いかけている人が多い。上位1%が富を独占し、政界を金の力で牛耳っている。このままでは、富裕層と貧困層に全く接点のない二重世界になってしまうのではないか・・。

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    世界金融危機を引き起こしたのは、ヘッジファンド業界ではなく銀行業界だ。そして、銀行家はほとんど全員が自由の身になっている。

    説明責任を果たす者がひとりもいないのなら、そして、特定の個人に金融危機の責任を負わせられないなら、政治・経済制度の内部に問題があることになる。22
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    もしも市場が約束を果たし、大多数の市民の生活水準を向上させていれば、企業の罪と、社会の不正義と、地球環境の汚染と、貧困層の搾取は、すべてゆるさせていたかもしれない。

    資本主義は約束したことではなく、約束していないこと――不平等、公害、失業、そして最も重要な価値観の劣化――を実現させている。25
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    全スカンジナビア諸国は、すべての国民に教育と医療を無償で提供している。

    ある国の元財務大臣はわたしに「これだけの急成長と好結果を残せたのは、高い税率のおかげだよ」と打ち明けてくれた。

    もちろん、税金そのものが高成長をもたらしたと言いたいわけではない。税金が公共支出――教育と技術とインフラ――の原資となり、公共投資が高成長を支え、高成長の好影響が高税率の悪影響を凌駕したのだ。64
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    不平等を生み出してきたのは、昔から権力であった。

    とりわけ厄介なのは、現行システムを搾取とみなすマルクスのような批判者の存在だった。73
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    アダム・スミスの仮説どおりに市場が機能するのは、個人と社会の利益が同一線上にそろっているとき。78
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    成功をもたらしてくれる真の秘訣は、まったく競争が起こらない環境を確立すること。90
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    王朝の継承を防ぐことも課税の目的にふくまれている。次の世代へ富を受けわたす能力が高まれば、生活機会をめぐる競争条件には傾きが生じる。

    アメリカは世襲財閥の国になっていく潜在性を持っていると言っていい。129
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    今回の危機と十九二九年の世界大恐慌が、どちらも大幅な不平等拡大のあとに起こったのは、ひょっとすると偶然ではないのかもしれない。上流層に金が集中すれば、何らかの人為的な支えがないかぎり、平均的な人たちの消費は抑えられる。

    現時点では、プラス要因になりうるのは政府支出だけだ。144

    世界の総需要が不足する原因は、ある程度、過剰な不平等水準に求めることができる。145
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    ソビエト連邦が崩壊したあと、ロシアは産出量の激減を経験した。この現象は大多数の経済学者を当惑させた。

    七四年間にわたる共産党支配と、市民団体に対する弾圧が、どれほど社会資本を劣化させてきたかという点を、経済学者たちは分析できなかった。192
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    集団行動には妥協が欠かせず、妥協は信頼にもとづいていなければならない。190

    社会資本が多ければ多いほど、経済の生産性は高くなる。191
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    アメリカ型モデルはいまや輝きを失いつつある。資本主義のモデルが持続的成長を提供できなくなったわけではない。大多数の市民が成長の恩恵にあずかれず、アメリカ型モデルが政治的魅力に乏しいことを、ほかの人々が理解しはじめたのだ。218
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    過去によく練られた規制が数十年にわたってアメリカの金融システムの安定性を現実に守ってきたのだから、規制には効果がある。

    このようにきびしい規制が課されてた期間は、急速な経済成長を遂げた期間であり(…)自由化が失敗に終わった理由は簡単だ。社会的利益と私的報酬が一致しないときは、イノベーションをふくめて、すべての経済活動がゆがめられる。266
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    権力を持っている者たちは、民主主義社会では自分たちのルールを他人にそのまま押しつけることはできないのに気づいて、自分たちの利益になるようなやりかたで討論の枠組みを作ろうとする。277
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    雇用を守るために、労働や資本に対するゆがんだ補助金を維持すべきだと示唆する経済学者はいないだろう。

    経済を完全雇用状態に維持する責務は、別の政策で果たすべきだ――貨幣政策と財政政策で。281
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    通貨政策は、FRBの七人のメンバーと十二名の地区連銀総裁で構成される委員会で定められる。しかし、地区連銀総裁を選ぶプロセスは不透明で、一般大衆にはほとんど発言権がなく、(連銀統制下にあるはずの)銀行の影響力があまりにも大きすぎる。364

    ニューヨーク連銀総裁が(FRB議長、財務長官とともに)三人組のひとりとして救済措置の形をまとめ(…)ニューヨーク連銀総裁を選定したのは、まさに最も有利な条件で救済された会社を経営する銀行家たちとCEOから成る委員会だった。365
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    最上層の税率引き下げ、赤字の削減、政府規模の縮小――は誰にとっても好ましいものであると、すべての人に信じ込ませようとする試みがなされてきたということだ。370
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    支配的企業は競争抑圧のためのツールを持っており、多くの場合、イノベ-ションの抑圧さえ可能だ。389
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  • ノーベル経済学賞受賞されているそうです(経済オンチの猫です)。

    徳間書店のPR
    「大衆を食いものにして、何の責任もとらず、富をむさぼる上流層。
    その手口は、政治・経済のルールを自分たちに都合よく作り上げ、それがすべての人々の利益になると大衆に信じ込ませるものだった。
    アメリカ、ヨーロッパ、そして日本で拡大しつつある「不平等」の仕組みを解き明かし、万人に報いる経済システムの構築を提言する。

    「21世紀のケインズ」の異名をとるノーベル賞作家が書き下ろす世界同時恐慌時代の行方。ウォール街占拠デモにも参加、99%の貧困層と1%の富裕層という歪な社会構造を生み出してしまったアメリカ経済の暗部を追及する。日米同時刊行。 」

  • 10年前のアメリカ経済の現状と提案がまとめられた一冊。
    リスクの高い金融商品を貧困層に売り込むことで発生したサブプライムローンと、その後拡大した富裕層と貧困層の拡大、そして中流階級の減少。
    当時の政府、経済、金融の状況、特に富裕層や企業に対する実質的な減税を行う一方で利益の拡大のためだけに全体の経済拡大を行わず、中流階級や貧困層への過剰な金融商品の売込を行い、実質的な経済力の衰退を助長させている現状を指摘。
    さらに、本状況は単なるパイの取り合いでしか無いことの指摘や、1%の富裕層がより有利になるためだけに行われている癒着や投資の実情と危険性を説明している。
    最後の章では、現状維持の危険性と打開策を打ち出し、全世代に平等な政策、そしてフェアな取引によってアメリカ経済全体が活性化され、最終的に富裕層も貧困層も豊かになれる事を記載している。
    本件は10年前の提言となるが、現状の日本経済についても参考になる点が多々あると感じることが多かった。
    日本については往々にしてアメリカ経済のトレースをしていると言われがちだが、本書を読むことで納得できてしまう点もあったことは事実である。
    今後の経済の生末を読み取る中で、無視できない一冊。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/58340

  • 2010年頃の米国の経済的な不平等を指摘する本。
    タイトルは「世界の〜」となっているが、ほぼ米国の内容になっている。
    第1章と最終章をさらっとしか読んでいないが、米国の上位1%の金持ちだけが更に金持ちになっていき、
    中層は下層へと転落を続け、下層は世代を変えてもなかなか這い上がれないらしい。
    健康保険についても任意加入なので、下層の人々はろくに医療も受けられないとか。
    米国に住んでいる、もしくは住もうとしている人におすすめです。

  • 日経新聞2019525掲載

  • via Twitter​ http://ift.tt/​1qGfxyH
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【メモ】世界の99​%を貧​困にする経済((ハードカバ​ー))ジョセフ・E・スティク​゙リッツ (​著), 楡​井浩一 峯村利哉​ (翻​訳) 価​格: \2,052★★​★★☆(29)発送:http:​/...

  • アメリカは上位の1%が支配するための経済。では公平性の確保はほんとうにできるのであろうか。

  • ・アメリカはもはや機会均等の地ではない。
    ・金融部門の抑制
    ・税制の抜け穴を減らす
    ・グローバル化の緩和
    ・機会均等の平等の拡大

  • 1%の上位が99%の下位から富を吸い上げる構造の解消には、効果のないトリクルダウンに期待せず、富裕層以外の人々を支援する制度の充実が必要。

  • 市場経済と政府の役割について丁寧に解説されている良本
    シカゴ学派に対しては批判的

  • ◆米国のここ30年の政策決定過程に影響を与えたのが極少数の富裕層で、彼らへの富の集中を新自由主義経済理論が後押しし、税制・法制(新規参入の禁止・資本取引の自由化他)が彼らに有利な政策を確立。一方、その尻拭いは、公共サービス(教育・医療等)低下、不利な税制、議員への影響力の低下という形で圧倒的多数の非富裕層に科された状況を解説。◆確かに本書に問題点はある。種々のセンセーショナルな事実の適示につき、その情報の依拠する元ネタが開陳されていない点。が、米の実態暴露や批判書と被る内容が大半で眉唾とは言えないだろう。
    ◆ストックオプションの隠された意味。株価と役員報酬を連動させることの危険(公開情報の歪曲化・簿外取引への誘引)。◇税の逆進性に起因する社会全体の生産性・効率性の低下。◇グローバル化による資本収益性の増加は、労働者の移動の自由による収益性上昇に劣る。◇政策決定者による情報操作における認知心理学の成果の活用。◇レントシーキングの危険(回避のための独占禁止法の活用方法の模索)。◇減税は、消費増⇒利益増⇒税収増の連鎖をもたらさない。◇人種非差別主義者雇用主が安価な労働力として差別忍従者を雇用。
    彼の利益拡大させる結果、差別主義者も差別忍従者を雇いだす。こんな経済学的説明は、実像と乖離大(結局、経済学の枠組みは個別事情を捨象しすぎ。地球の、時に宇宙のどこででも、誰でも妥当する物理学なら捨象できても、人間と社会を扱う経済学では、そんな雑な捨象の仕方は誤謬を拡大させるのだろう)。といった気付き大の書。◆2012年刊。著者は米コロンビア大学教授(元世界銀行副総裁兼チーフエコノミスト)。◆なお、橋下徹府政が残した高校授業料無償化範囲拡大は、実施者の本音は兎も角、公共性の下支えという面で評価すべきか

  • アメリカ中心であったが、1%に奉仕するアメリカ政府とさらにそれを利用する金融ということがよくわかる本であった。

  • 1%の上位が99%の下位から富を吸い上げると作者は言う。現在の経済状況を見るとそんなシステムに成りつつあるように思う。誰がこんなシステムを構築してきたのか?それについては曖昧にしているが、おぼろげながら正体は見えてきている。
    それはとにかくとしても、貧富の格差は大きすぎる。能力の差はあるとしても格差のさほど大きくはないはずだ。今の内にこの格差の幅を縮小する政治に戻さなければ格差が固定されてしまうだろう。政治家の言う規制緩和は疑って見ることが大事だ。

  • タイトルに惹かれ読んでみた。決められたパイを取り合うのではなく、取るパイを拡げていくことが重要という考察には賛同。そのためには一部の富裕層が肥える現在の仕組みだと経済成長は見込めず、累進課税の徹底や社会福祉の充実等の国民全体を幸福にするシステム作りが必要。ただ、それによりどのように経済成長が見込めるのかと、それを実現するプロセスに関して、もう少し具体案が欲しい。

  • 資本主義経済じゃない何かを生み出す必要がある。

  • 「貧困者が日々の生き残りのために、”認知資源”を使い果たす一方、富裕者は資源を使う必要さえないという事実は、とても単調な調査でわかる。」

    弱者は保護されるべきだとする本。
    私は面白いとは感じなかったが、最初の一文を知れただけでも読んだ価値はあった。

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著者プロフィール

翻訳家。1951年生まれ。北海道大学卒業。英米のノンフィクションを中心に手がける。訳書に『タートル流投資の魔術』、『なぜか、「仕事がうまく行く人」の習慣』など多数。

「2018年 『バビロンの大金持ち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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