- Amazon.co.jp ・本 (226ページ)
- / ISBN・EAN: 9784198634414
感想・レビュー・書評
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感受性で生きる大人にとって鬱はたしなみ。
「サブカル人は40代過ぎに鬱になる」というテーマのもと
吉田豪さんがサブカル人にインタビューを行なう対談集。
いわゆるファッション的なサブカルでなく
がっつり濃厚にサブカルなメンバー。
中でもいつも飄々としているイメージがあったリリーフランキーさんにも
鬱々とした時期があったのには驚いた。
「感受性だけは持っていようよ」「鬱は大人のたしなみ」「正常に生きる方が難しい」という言葉が胸に残った。
この本は男性へのインタビューばかりだが
個人的に女性の場合は30代過ぎが危ないような気がする。
悩みの数は若い頃の方が多いかもしれないけど
年を重ねるほどにその重さや深さは増していくように思った1冊。 -
プロインタビュアーの著者が、「サブカル男は40歳を超えると鬱になる」というテーマに沿って、11人の「サブカル者」に話を聞いたインタビュー集。『クイック・ジャパン』誌上で「不惑のサブカルロード」と題して連載されたものの単行本化だ。
最後の香山リカへのインタビューだけが語り下ろし。精神科医にして筋金入りのサブカル者である彼女に、ほかの10人へのインタビューを総括してもらう内容である。
インタビューイとして自らの鬱体験を語る10人は、リリー・フランキー、大槻ケンヂ、みうらじゅん、松尾スズキ、川勝正幸(故人)、杉作J太郎、菊地成孔、ECD、枡野浩一、唐沢俊一というラインナップ。
テーマがテーマだけに、吉田のほかのインタビュー集――『人間コク宝』シリーズなど――のような突き抜けた面白さはない(いつもの「ダハハハハ!」もやや少なめ)。むしろ身につまされる部分が多い。私自身が40代の物書きで、広義の同業者も多く登場するから、なおさらだ。
幸い私は鬱体験がなく、眠れなくて困ったこともない(いつなんどき、どこででも熟睡できるw)。しかし、今後ならないとは当然かぎらない。その意味で、鬱になった場合の抜け出し方のコツを知っておくためにも有益な本であった。
すべてのインタビューに共通する印象は、「みんなサービス精神旺盛だなあ」というもの。つらい鬱体験を語るというのに、インタビューが面白くなるようにがんばってサービスしている感じなのである。こんなに「気ィ遣いィ」だから鬱になってしまうのではないか。
まあ、サブカルにかぎらず、40代の男性自由業者が鬱になりやすいというのはよくわかる。
ただでさえ「中年クライシス」に陥りやすい時期なのに、40代に入ると原稿依頼が急に減ったりするのもありがちだし、体力・気力も落ち、いろんな病気にもかかりやすくなってくるし……。
くわえて、サブカル・ジャンルで生きている人には、やはり繊細で傷つきやすいタイプが多いのだろう。
あとがき代わりの著者インタビューには、次のような一節がある。
《――こうやってまとめて読むと、「サブカル」っていうジャンルの斜陽についても感じざるを得ないというか……。
吉田 もはや「サブカル」を名乗ることになんのメリットもないですからね。》
出版界全体が斜陽であるうえ、サブカル界隈はとくに斜陽度合いがハンパない(たとえば、本書で枡野浩一は「いまバイトもしようと思ってますね」とマジメに語っている)から、未来が見えず、鬱傾向にいっそう拍車がかかるわけだ。
もっとも、リリー・フランキーのように超売れっ子になってから鬱になったケースもあるから、一概に斜陽が原因とも言いきれないのだが……。 -
40代文化系(サブカル)男子の心理が知りたくて。
女性版も読みたいかなぁ。うーん、鬱って伝染しそうだしやめといた方がいいかなぁ。
ともあれ、日光浴びながら運動しようと思いましたよ! -
出発点が「サブカル男は40歳を超えると鬱になる」、インタビュイーたちの鬱の状況はどれも似ている。細部をつつけば違うのだけれど、やはり男性ならではというところが多い。では女性だったら? というところにむしろ興味が湧く。ただし、サブカル女で、ここに登場したようなクラスの人を探すのが困難かもしれないですね。サブカルに群がる女はいても、主体的にサブカルを表現している人は少ないので。
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『サブカル系男子は40歳前後で鬱になる?』吉田豪氏が、そんなテーマに沿ってサブカルにおける先達にしたインタビュー記事を収録した物です。それぞれの立場から語られる『サブカルと鬱』の関係は参考になります。
『サブカル系の男は40歳あたりで鬱になる?』
そういったテーマで自身もサブカル系のフィールドで活躍する筆者が11人の当事者(内一人は女性)にインタビューで迫るというものです。登場する人物はリリー・フランキー氏をはじめ、大槻ケンヂ氏、サブカルといえばこの人を指し、一時代を築いたパイオニアであるみうらじゅん氏、劇団『大人計画』を主催し、脚本家、宮藤官九郎氏の師匠である松尾スズキ氏やそのほかにも、川勝正幸氏(故人)、杉作J太郎氏、菊地成孔氏、ECD氏、枡野浩一氏、唐沢俊一氏。そして単行本刊行に当たり、精神科医である香山リカ女史にもインタビューを行っております。
これを読みながら自分の位置が改めてサブカルよりであるということを確認したと言うことや、大槻氏のインタビューでは打ち上げで出される料理を食べ過ぎると痛風になるという話や、ロックの楽屋で話される話題は20代だとどこでも女の話で、40代以降になると健康の話になるというのは本当に笑えました。やはり、彼らも体を張っているのだなと。
さらに、唐沢俊一氏は自分の仕事と家族との関係に戻り、仕事の資料である死体の映像が収録されたビデオを食事をしながら見たすぐ後で、母親や親戚などと接するために『常識的社会人』になる…。そのスイッチングが本当に大変だと語っていたのは、とても印象に残っております。
僕自身が体育会系の人間のように『喰う、寝る、やる』を忠実に行うことが自分の人生でできなかった分、サブカル的な部分を発展させていかざるをえなかったわけで…。彼らの言葉に共鳴する自分がいつつ、社会的には『こんなんじゃダメだ!』と反発する自分がいる…。そのせめぎあいに耐えられるなくなる年齢が大体40あたりでくるのかなと、そんな読後感を持ってしまいました。少し怖い話ではありますが…。 -
お気楽読書をしようと思って何の気なしに読み始めたのだけど、読んでいくうちになんだかモヤモヤしてきて、いろんなことを考えてしまった。
「サブカルは四十越えると鬱になる」という仮説を立てた吉田豪さんが、体験者である人たちにインタビューしているのだが、その顔ぶれが、リリー・フランキー、みうらじゅん、大槻ケンジ、松尾スズキなどなどでいかにも面白そうなのだ。でも、みんな男性なんだよね。まずそこがひっかかる。大方の人が離婚経験者だ。ある人が鬱々としていた頃のことを振り返って、こんなに仕事を頑張ってるのに家に帰ってもメシも出てこない、オレの人生って何なのかと思った、というようなことを語っていて、ちょっとガックリした。
キツイ言い方に聞こえるだろうが、皆さんコドモです。既成の社会的価値観に回収されまいと、オトナの牛耳るメインカルチャーに対抗する若者はかっこいい。難しいのは、歳をとったり、社会的に認知されちゃって、気がついたらオトナの側にいたときの身の処し方なんだろう。するっとそっち側に移行して平然としている人は、ウツにはならないわけだ。ここに登場している方たちは、その点不器用というか、誠実というか…。
女性の場合は(なんてひとくくりにする言い方はできたらしたくないのだが)子どもの頃から、方向性の違ういろんな期待や要求にさらされていて、その時々でそれに合わせた顔をすることを否応なく覚えていく。自分が社会のメインラインだという意識がそもそもあまりない。事改めて「サブカル」なんて自己認識するのは、そうしないとメインに組み込まれていく男性だからこそだろう。
最後に総括的な立場で香山リカさんが語っていて、これがたいそう腑に落ちる内容だ。確かに皆さんある種の罪悪感を抱えているように見える。色々言いながらもどこか共感してしまうのはそこなんだろうな。-
吉田豪さんも読んだことないし、サブカルに詳しくなくて、インタビューされてる方たちも名前は知っているって感じなのですが、なんだかものすごくおも...吉田豪さんも読んだことないし、サブカルに詳しくなくて、インタビューされてる方たちも名前は知っているって感じなのですが、なんだかものすごくおもしろそうに思えます!わたしもいい歳してすごく未熟なコドモだと自覚しているせいかもしれません。香山リカさんの語っていることがすごく読みたいです。
2013/10/02 -
この本は、上にも書いてるとおりなんか釈然としない思いで読んできて、最後の香山リカさんでそれがだいぶ整理された感じでした。香山さんの若い頃の話...この本は、上にも書いてるとおりなんか釈然としない思いで読んできて、最後の香山リカさんでそれがだいぶ整理された感じでした。香山さんの若い頃の話も面白かったですよ。
自分の中では常々「コドモのままでいいじゃん!」と言い張るワタシと、「オトナとしての成熟を目指しなさい」と諭すワタシが争っております。まあ、皆さんそうなんでしょうが。2013/10/02
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できれば女性芸能人の話も聞きたかったなぁ。
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これはなかなか冷静には読めない本で、もちろん彼らはスーパースターだしアイドルだが、同時に近しい存在でもあり、やはり他人事ではなくなってくるのだ。結局女性問題でしょ、ってとこもなんだか…
火事で亡くなった川勝さん以外はみなさん御存命でご活躍?中なのは不幸中の幸いか。
こういう感性たちの消滅にしたがって鬱も減少とはならず、別の世界(普通の方々)に勃発ということは、やはり彼らはカナリアだったんでしょうか。
いつまでたっても「俺ってこれでいいのかな???」