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- / ISBN・EAN: 9784198635022
感想・レビュー・書評
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聊斎志異の「商人の子」の再話。お母さんがきつねに憑りつかれているのに気づいた男の子が、計略を巡らしてきつねたちをやっつける。黒を基調とした綺麗な絵がいい。民話ぽい絵。
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中国で古くから親しまれてきた短編怪奇小説集『聊斎志異(りょうさいしい)』の中の「商人の子(原題:賈児)」をもとにした絵本とのこと。
●あらすじ
古いお屋敷で、両親とともに暮らす男の子パオアル。父親は商人で、普段から留守がちだ。
父親が留守のある晩のこと、パオアルの屋敷に怪しい人影が入ってきた。そして、その翌朝から、パオアルの母親の様子がおかしくなった。口がきけなくなり、夜中になると髪を振り乱して布団の中で甲高く笑ったり、泣いたりするのだ。
母親が何かに取り憑かれていると確信したパオアルは、母親を助けるために策を練る。まずは屋敷を一晩見張ろうと隠れて待っていたところ、現れたのは……
大好きなお母さんを守るために1人で奮闘するパオアルの胆力が素晴らしく、ページ数文字数のわりに読みごたえがある絵本だ。
娘がずいぶんこの話を気に入ったようで、図書館で借りてきてから毎晩読んでいる。
お母さんが病気でただ寝込んでしまうだけでなく、夜中になると髪を振り乱して笑ったり泣いたり錯乱している様は、子どもにとっては大きなインパクトなのだと思う。
まだ小さな男の子がよく研いだ包丁を持って真夜中に敵を待ったり、毒薬入りの酒を使って敵のなわばりまで入り込んでいったりと、独特の迫力や妖しさもあるお話だ。
キツネがなぜパオアルの母親に取り憑いたかといった詳細は、もとになったお話ではもう少し明らかになるのだろうか?
中国や韓国の絵本を最近ちょこちょこ借りて読んでいるが、どれもとても面白い。これからもどんどん読んでいきたいのに、近所の図書館での取り扱いが少ないのが悩ましい。
ところで、黒がずいぶん多用されている絵本だと思ったら、やはり意図があったようで、作者によると「黒は中国では玄色(シュエン ソー)ともいわれ、測り知れないほど深い色と考えられていて、それが『聊斎志異』の深い内容とぴったりするから」だそう。こうなると『聊斎志異』も気になって調べてみたら、各出版社から色々出ていた。日本でも人気のある古典小説集だったみたい。知らなかった。
とりあえず岩波少年文庫で試してみようかなんて思っていたら、ついうっかり諸星大二郎『諸怪志異』という好みど真ん中そうな漫画まで見つけてしまった!あーあ、また積ん読本が増えそう…… -
狐に取り憑かれるとは、日本も中国も同じね
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母にとりついたキツネをやっつけるためにキツネをだますパオアル。中国のお話。
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成長譚でもなんでもなく代書から利発なパオアル君が狐憑きになったお母さんを助けるために奸計を弄す話。
お父さんの存在感のなさに涙を禁じえない。っていうかあんた冒頭でいなくなったときになにしにどこいってたんだ。
古い話のようだから語り継がれるうちに最初はちゃんと意味のあった箇所が変化してしまったのかな。