神去なあなあ夜話

著者 :
  • 徳間書店
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レビュー : 622
  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198635060

感想・レビュー・書評

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  • 子供の頃訪れた事のある父の田舎は
    今考えてみると、
    何もない辺鄙な山村であった。

    でも、
    当時の私には、不思議と
    何もかもあった(いた)という嬉しい記憶しかない。

    この矛盾は一体何??
    ここ神去村にて、しばらくの~んびり過ごしてみたら、
    何かその謎が、解けた様な気がした。

    何もない、といえば、
    この神去村にも、便利なコンビニ、スーパー、娯楽施設や病院、
    便利な施設はなにもない。

    でも、山はある。
    木々や緑なら溢れんばかりにある。
    だから
    (ここは居心地いいね。)と、神ならば居つくのかも。

    (神が去った村、とは言うが、
     その辺りの事情は、話術巧みなおばあが話してくださる。)

    神と共に
    緑と共に
    あと、少ない住人だからこそ、関わりの深くなる村人達と共に
    生きる時間の
    やぁ、
    面白き事♪
    たくましき事♪
    ときめく事♪

    読書中は村の綺麗な空気をすぅすぅ吸っていたので、
    読後は酸素カプセルから出てきたような清々しさ。

    夏休みを終えての帰宅後、久し振りに会った友人達から
    「何か、MOTOちゃん変わったね。」
    と、言われた。
    何故そう言われたのかが、今頃になってわかった様な気がした。

  • 全く予想もしていなかった三浦しをん「神去なあなあ」の続編が出たのでビックリするやら嬉しいやら。まさかこの日本初の「林業」小説がシリーズになると期待していなかったし、三浦しをんの唯一のシリーズものと言えばお笑い「まほろ駅前」シリーズだけだと思っていたので年末を前に望外のプレゼントだ。

    と、言うわけで買ってから即読破。舞台は三重県の奥深くの山に囲まれた神去村だ。前作では家族に騙されて林業見習いに出された平野勇気が神去村で仕事を学ぶ経緯が描かれる。そして諏訪の御柱祭を彷彿とさせる祭の場面では現実と幻想が一体化したような形でクライマックスが描かれていたのでちょっとばかりファンタジー系の香りもやや交えたものだったが、其処で好き嫌いが分かれるという感じであった。

    本作でも自然を相手にする仕事と云うことで当然のごとく自然を敬う気持ちや何気ない信仰心というものが物語の随所にも出てはくるものの、決してファンタジーでは無い。勇気も村での生活が一年を越え、晴れて正社員に採用されたと言うわけでは無かろうが、神去村の日常生活に根差したというか地に足を付けた形で描かれており「林業物語」から林業を背景にした「青春物語」という形に変貌を遂げより魅力的な小説になっている気がする。

    そしてそれ以上に勇気の周りの登場人物が勝手に動き出したとでも言いたくなるような活躍を始めた感が強い。勇気が居候する林業の先輩ヨギの繁ばあちゃんは特筆物だ。足も歯も悪いと言いながら地獄耳でなぜか勇気のPCのパスワードまで破って中の日記を読んだりするキャラクターが良い。勿論、がさつで愛すべきキャラクターのヨギも思う存分に暴れ回っているし、それ以外の登場人物も個性的な性格で本当に良い味が出ている。

    三浦しをんの最大のウリは男性描写・男性の会話を書かせても男の作家以上に言い回しが自然で上手い。山の仕事に携わる汗臭い男達を描かせても全く違和感を感じさせない上に口調には巧みなユーモアも混ぜ込んでいるのだから「まほろ駅前」のお笑い度数を超えそうな絶賛お勧め本になっている。こうなったら是が非で神去のシリーズ化をお願いしたいものだ。

    一方で、林業で飯が食えるのか、生活として成り立つのか、小説として無理があるのでは無いか?というのは最もな疑問ではあるが「日本の林業を立て直す-速水林業の挑戦」(速水亨、日経新聞社、2012/08)を読むと本当にあるのだ。家業として林業を継いで村人を雇用し(ナント東大卒も居る!)百年単位で仕事の成果を考えている商売だ。「神去なあなあ」を読んでいるとこの速水林業が舞台ではないかとまで勝手に想像してしまうのだが、こちらも併せて読んでもらうと嬉しい。三浦しをんが勝手に創作した世界ではないことが分かるであろう。

  • 『神去なあなあ日常』の続編。

    前作でスッカリ神去村の虜になったので、読むのを楽しみにしていました。専門的知識豊富に書く三浦しをんさんですが、今回は林業のノウハウというより登場人物に比重を置いています。18歳で林業デビューした都会っ子で現代っ子の平野勇気が、20歳となり増々神去村で骨を埋めたいとまで心を奪われていました。

    素朴だけど暖かい三重の方言。野生的な面もある男衆。飾り気がないけど、男気溢れるとこに土地の内外の女性も惚れ惚れ。よくモテルというのにも頷けます。

    霊験あらたかで、日本昔話顔負けの神話も満載の村。そうしたものを信じ大切にしているところにも日本人ならではの伝承を感じ、どこかで懐かしく思いました。

  • 続編。今回も面白かった。映画が楽しみ。でも、直紀と付き合うとは思わなかったなぁ(笑)。

  • 安定のおもしろさ。安心の空気感いいなぁ。こんな暮らしがしたいなぁ。
    みきさんとか理想の暮らしだと思う。村に実家があって、大学だけちょっと都会に出るんだけどまた村に戻って専業主婦!いいないいなー
    最近自分的にホットな 愛 が的確に表現されていてさすが三浦さん!と膝を打つ。自分がもうすぐ死ぬとして、できるかぎりのことをその人にしてあげたいと思うこと。今回は全体を通して愛のはなしだったなぁ。あと神様の役割。みんなが信じているという空気を作ることで、それが本当になる。むかしのにほんは、よくできていたんだぬぁ。ほんとにいい、なあなあな空気感!

  • あいもかわらず、勇気はめんこい。
    「なあなあ」の村の人々の、温かさも読んでいて気持ちが良い。

    今作は、林業に奮闘する勇気の話というより、タイトル通り「夜話」なので、村のルーツに、村の人のお話が読めて、神去村ワールド満載。特に、村の名前のお話には、ほろりと来てしまった。よくもまあ、こういった想像ができるものです、しをん女史。

    続編としてはとても面白い出来!今後もシリーズ化希望作品。

  • 三重県の山奥で、林業に取り組む平野勇気、二十歳。神去村の起源、住人の暮らし、もちろん恋にも、ぐいぐい迫ります。お仕事小説の旗手が贈る、林業エンタテインメント小説の傑作。
    「BOOK」データベース

    「BOOK」データベースのレビューはあっさりした感じだが、私的には静かに熱い!
    これこそ映画化してほしい.

  • 今回は夜話なだけに、ちょっと“あだると”な感じ(*^^*)どの話も神去村の“なあなあ”感が◎(^^)♪神去村の人達はみんな好きだけど、やっぱり繁婆ちゃんが一番!できれば繁婆ちゃんの小説読みたい!!

  • この話の素晴らしい所は「なぁなぁ」だと思う。
    ゆるい話の小説はいっぱいあるけど、ゆるくて心に残るのは少ないと思う。あと主人公目線の一人称がいいのかも。
    普通にエッセイを読んでる気分になってくる。
    本当に日常のささいな事件とか出来事の話なんだけど、それでも生きてる様がすっごく伝わってくる。
    このシリーズ好きです!そして、装丁、好み過ぎる!!!一目惚れ♪

  • 神去なあなあ日常の続編。
    勇気の恋愛あり、神去の秘密あり、神去の更なる日常が奥深く語られていました。
    夜話なので、秘めた話も多め。
    もっと神去を知り、好きになりました。

    勇気がどんどん素敵で魅力的になりました。
    この先直紀と結婚して、神去で子孫を残して行ったらいいなと思います。

    この先の続編もあったらいいのに、と思っています。
    またみんなに会えますように。

著者プロフィール

三浦 しをん(みうら しをん)。
1976年、東京生まれの小説家。出版社の就職活動中、早川書房入社試験の作文を読んだ担当面接者の編集者・村上達朗が執筆の才を見出し、それが執筆活動のきっかけになった。小説家の専業になるまで、外資系出版社の事務、町田駅前の古書店高原書店でアルバイトを経験。
2006年『まほろ駅前多田便利軒』で直木賞受賞。2012年『舟を編む』が本屋大賞に選ばれ、翌年映画化された。2015年『あの家に暮らす四人の女』が織田作之助賞受賞。また、『風が強く吹いている』が第一回ブクログ大賞の文庫部門大賞を、2018年『ののはな通信』が第8回新井賞を受賞している。
Cobalt短編小説賞、太宰治賞、手塚治虫文化賞、R-18文学賞の選考委員を務める。最新刊に、『愛なき世界』。

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