- Amazon.co.jp ・本 (211ページ)
- / ISBN・EAN: 9784198635213
感想・レビュー・書評
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現在の日本における対中国観に、少なからず影響与える2人による著作。些か、一方的な見方ながら、共産党の人事に対する考察は、二人の意見が一致しておらず、面白い。さて、習近平はこの国のラストエンペラーになるのか。
新帝国主義という言葉を最近よく耳にする。これは、江沢民がベトナムへの謝罪要求を、未来志向という詭弁で断り、一方で日本に反省と未来はセットだとする、二重論法に通ずる。つまり、新帝国主義とは、ご都合主義である。そもそも、歴史観など、民衆や相手国への感情論的措置を期待して、利用しているに過ぎない。実利を求めて、どんな手段も利用する。しかし、その実利は、自らを中心とした血縁に限定される。この追求に、容赦が無く、他者はどうでも良い。死んでも良いし、絶滅しても良い。というスタンスが今の中国の怖さである。そして、権力者が警察機能まで掌握してしまっている事も最大の恐怖だ。
振り返って日本はどうか。他国批判ばかりしてられず、日本が良しとしてきた価値観を外交面では否定しながら、お人好しから脱却しなければならない。この国土に、中国人が増えてますよ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
中国、台湾出身者が対談形式で中国を語っている本。
これが本当なら、中国崩壊はすぐそこ。 -
ここ数年(2011年位から)中国の経済成長率が下がってきたのに呼応して、中国が分裂するとか崩壊するということを予想した本が出回っています。私は両方の意見をできるだけ聞くように心がけているのですが、中国を礼讃する本は最近では見かけなくなりました。
今でも思い出すのは私が高校生だった1980年頃に「ソ連邦は崩壊する」という本です。結果的には、崩壊という意味では正解だったが、分裂しても「ロシア連邦」としてメイン部分は残っているという事実です。
私は、中国も20年程度経過してみれば、それに近い形になっている可能性があると思っています。中国は歴史をみると今までに、いくつもの国に分かれてきているので、たとえ、10か国に分かれたとしても、中国に暮らしている人々の意識はそれほど変わらないな気がします。
もっとも国を動かしている1億人に満たない共産党員と、数億人の都市戸籍を持っている人は少なからず影響を受けるかもしれませんが。この本をよんで、以上のようなことを思いました。これからも中国の経済発展はアジアにとっては重要なので、中国の実情を理解するために、このような本を読み続けたいと思いました。
以下は気になったポイントです。
・黄文雄と石平という、中国を良く知る論者二人が対談し、意見が一致したのは、日本人の中国観、とくに「これからは中国の時代だ」といった幻想を抱いている人達の中国観がいかに間違っているかということ(p2)
・不動産投資の減少により、鉄鋼産業は 2012上半期において、連盟に加盟しているメーカの利益は、前年同月比で 95.8%減少した(p18)
・文化大革命以後は、技術及び資本蓄積ができていないので、脆弱な経済、海外資本が引き揚げてしまえば、あっというまに経済が崩壊する(p21)
・毛沢東は5%の人々を革命への反逆者として「社会の敵=黒五類」と位置付けた、昔の地主とか、資産家等、普通の庶民以下の貧乏になった(P23)
・天安門事件(1989.6)以降は、誰も中国共産党の革命理念を信じなくなった、そして共産党がとったのは経済を成長させることによって自分たちの政権の正統性を主張した(P24)
・中国では毎年、新たな労働人口が900万人生まれ、定年退職者が100万人、1%の経済成長で100万人の雇用創出なので、8%成長が必要、それはハイテク産業で、伝統産業ならその数倍(P33)
・中国政府がこれまで「保八」を維持できたのは、外資の取り込み、輸出の拡大以外に、公共投資を行ったから(P34)
・中国政府はこの数十年間で経済規模が約100倍になった、それに対してお金の流通量は800倍になった(P38)
・ベネチアが没落したのは、地中海貿易から大航海時代という時代の変化があったこと、1618年から北方ドイツで宗教戦争が起きて、ドイツ地方でベネチア商品が売れなくなったから(P41)
・日本はGDPに占める個人消費の割合が60%、それに対して中国では34%、しかもその割合は年々減少(p43)
・中国では富が大金持ちに集中している上に、中国の80%の富裕層が、中国製のものは基本的に買わないと答えている、富裕層の67%が海外で不動産購入している(p44)
・中国共産党は誰も世襲をしていない、後継者となっていた一番の側近から消えていく(p73)
・南巡講和以前に、一度、鄧小平の権力は落ちた、北京では誰も聞かなくなったので、南の深セン等に行って講和をした(p85)
・現在の中国は、清の時代の最大版図を、中国の伝統的な固有領土と主張している、万里の長城の外側で起きた歴史まで自国に都合のよいように利用している(p114)
・反日暴動のどさくさで、公安関係者とヤクザに経理室を襲われた台湾企業が多かった、彼らは帳簿を持っていく、使途不明金等の弱みもあるので訴えられない(p121)
・中華王朝の皇帝がローマ皇帝と異なるのは、ローマ皇帝は法は超越できないが、中華王朝ではできた(p135)
・清国が1761-64年にかけて編纂した「皇清職貢図」によれば、イギリスもオランダもスペインも、バチカン法王庁も、中国の朝貢国と書かれている(p146)
・日本語は漢字とかな、が交じり合う、つまり、視覚文化と聴覚文化が調和している。日本語は物事を総合的に見ることができる言語(p169)
・中国国内では、農村から都会へ流れ込む国内盲流(民工)が年間2億人いるが、その2-3%が国外へ流れる(p182)
・クリントン国務長官が、20年後に中国は最貧国に転落すると発言したのは、50万ドルを投資すれば無条件で移民として受け入れるというのに対して富裕層がどんどん流出していることを知っているから(p184)
2013年9月8日作成 -
まあ、参考程度に読んでおくのもいいかも。
中国の経済と歴史と国民性に関する本ですが、かなり日本びいきな主張です。
と言っても、中国を捨てた人なので説得力はありますが。
著者は、 習近平は10年もたないと言っています。(というか経済次第だと)
他にも
・共産党の権力維持や、反乱を防ぐには反日しかない。
・エリートの海外逃亡が増えている。
・中国の経済発展と共に人件費も上がり、デモによってリスクもあることが発覚した現在、外資の引き上げが加速している。
まー、最近よく見る感じですね。
最近の円安も逆風だと思うので、どうなるか見守りましょう。
私にはこの本が正しいかどうかはわからないので、
ご自身で中国寄りの本と見比べて判断して下さい。
これからは中国!と言っていた既存メディアが信用出来ない人にオススメ。 -
対話形式。買ってまで読むまでもないか!?
習近平は二人が予言するように10年もたないかもなあ。
ソ連崩壊のようになるんじゃないか。 -
この二人が書くからこそ説得力がある。中国の歴史から現在の中国がどのような行動を起こし,今後どのようになっていくのかがよく分かる。
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1000円ということもあり、気軽に買った。対談形式だが読みやすい。
「習近平政権は通常の任期10年持たずに崩壊する」というのが趣旨。中国は経済の停滞が始まっており、浙江省では実に4000社ある製造業の60%が操業停止状態。
中国は市場と見られがちだが、実体は輸出国家。市場になれないのは中間層がないことと、富裕層が財産を海外にシフトし、また主に輸入品しか買わないから。つまり内需拡大のエンジンがない。(なお年間300万人が外国に流出)
習近平は八方美人で、これまでの共産党幹部の蓄財メソッドを一掃する力はない。
通商国家(輸出)として日本やアメリカと仲良くして商売を拡大しなくてはならないが、親日となると内紛の火種となる。結局どっち付かずの政治にならざるを得ない。
結局、難局に直面をしたら習近平は反日を使って民衆の気持ちを統一するしか手がなくなる。それは矛盾を生み内部分裂の可能性がある。
良いシナリオは旧ソビエトのように民族ごとに分裂してそれぞれが民主化に向かう事。
中国には宗教がない。あえて言えば儒教だが、これは宗教というより倫理。その中国人が「世界の中心」と信じている。中国人が謝らないのは有名だが、人対人でも国対国でも同じ。悪いのは相手だ、と信じている。これでは安定した国際関係が築けない。
腐敗政治を始めたのは江沢民。幹部とその子弟をもうけさせ、自分の人気を高めた。その江沢民が結果的に八方美人の習近平を選んだ形。結局乱世に一番ふさわしくない妥協なのだ。
尖閣諸島問題もおかしい。尖閣諸島は元々は台湾が中国より近く虜度を主張していた。中国の論理は「台湾は中国のものだ、だから尖閣諸島も中国のもの」という無茶苦茶な理由。
ちなみに各国の分析では海での戦争となった場合、中国海軍は日本の海上自衛隊に勝てない、というのがもっぱらの評価。
まぁともかく中国生まれのの石氏と台湾生まれの黄氏が手厳しい論理展開をしている。日本への対応を見ても、中国にとって何も良い事を生み出せない。もう中華思想を捨てて、世界と協調する戦略を取らないと未来はないと感じた。
信頼できるのはお金だけ。お金で家族を守らないとならない。(国は守ってくれないという意識)
いやはや怖い話です。