苦縁 東日本大震災 寄り添う宗教者たち

  • 徳間書店 (2013年3月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784198635732

感想・レビュー・書評

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  • 何度も涙が流れた。文章では音、映像、臭いが伝わらないが、ひどい状況だったろう。宗教の力がすごいのか?信仰していなくても同じことができるか?少なくとも弔いの儀式は無理。お坊さんに葬式を挙げてもらってけじめがつくのだと思う。一番印象に残ってるのは子供が泥の中から遺体で見つかり、体をきれいに拭いて、目は自分の舌できれいにしてあげた母親の話。

  •  数ある宗教メディアの中で、宗教者による被災地の活動を宗派・地域を問わず網羅的に報じたのは、おそらく「中外日報」で2年間にわたり連載された「いのち寄り添う 大震災 苦の現場から」だといって間違いはない。

     115回にわたった連載記事に加筆修正してまとめ直し、待望の書籍化が実現した。さまざまな形で全国から集まり繰り広げられた被災者を支える活動、宗教者たちが自身の行いと信仰、宗教との関係はどのようなものだったかを模索する姿などを、現地で見聞きした数々のエピソードとインタビューでつづる。

     1年半の期間を費やした南北約290キロという広範囲にわたる、まさに地を這うような取材。日本の宗教界がいかに苦難に寄り添ったのかを記録する資料的価値もさることながら、今後の宗教界を考察する上でのヒントが多々提示されている点も見逃せない。キリスト教界からは、カトリック釜石教会の舟山亨神父、東八幡キリスト教会の奥田知志牧師、フランシスコ会の本田哲郎神父、「東北ヘルプ」の川上直哉牧師らが登場する。

     著者は「あとがき」で、「困っている人を助けるのに理由がいるのですか。助けない言い訳は必要ない」との宗教者の声に応え、喝破する。「ここが『被災地』だ、ここで跳べ!」(松ちゃん)

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著者プロフィール

ジャーナリスト。元・全国紙編集局部長、元・宗教精神文化専門紙特別編集委員、編集局長。
 1951年大阪市生まれ。75年京都大学卒業、読売新聞大阪本社入社。京都総局や社会部記者、本社デスク、京都総局長などを経て編集局部長に。2011年に定年退職後はフリージャーナリストとして執筆、企画、講演活動。同年8月に創刊120年の宗教専門紙『中外日報』特別編集委員に招聘され、その後に取締役編集局長に就任。2020年5月に契約満了で退社し、再びフリーになった。
 この間、幅広い取材報道活動に加え、現代社会における「いのち・心」、宗教の社会的役割、終活エンディング問題、東日本大震災と原発事故といったテーマに特に力を入れて活動。読売新聞では「こころのページ」デスクも務めた。同じテーマで京都や大阪の各大学などで連続講義や講演も多数行った。
 著書『苦縁――東日本大震災 寄り添う宗教者たち』(徳間書店刊)

「2020年 『揺らぐいのち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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