ふたり女房 京都鷹ヶ峰御薬園日録

著者 :
  • 徳間書店
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本棚登録 : 91
感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (291ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198636074

作品紹介・あらすじ

吉田山で紅葉を楽しんでいた元岡真葛は、侍同士の喧嘩の仲裁に入ろうとして足を止めた。喧嘩をしているのは武士ではなく、なんとその妻女。相手の武士がおろおろする中、金切り声でまくしたて、あげく夫を置いて去っていったのだ。妻を咎めるどころか、肩を落として見送る夫。真葛は、御典医を務める義兄の匡とともに、残された夫・広之進から話を聞くことに…(表題作)。持ち前の聡明さと豊富な薬草の知識で、女薬師・真葛が、人のしがらみをときほぐす。

感想・レビュー・書評

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  • そんな自分を定次郎が複雑な顔で眺めていることなど、気づくよしもなかった。

  • 2011年12月号から2013年2月号「読楽」掲載、シリーズ六つの話。今後も続くようなので、主要登場人物と、ついでに薬草のことをメモしながら読んだ。

    澤田瞳子さんは専門の歴史の他、薬草園や京都の四季や行事、薬草の知識も幅広いなあ。衒学的にならず面白い、骨太さそうと感じさせない「骨太さ」が魅力のひとつだと感じた。

    「粥杖打ち」では藤林匡に江戸への採薬の旅を反対された真葛であったが、シリーズ第二弾ではどうやら念願が叶ったよう。
    男村社会で頑張るジェンダー系の話でも女目線意趣返し的にならず、読後感は心地よい。

  • (借.新宿区立図書館)
    京都の薬園が舞台ということで毛色の変わった作品。なかなかシビアな話も多く、一般受けするかは別として時代小説としてのレベルはかなりのものだと思う。

  • 薬草園

  • 2017.4.18

  • わたしの生きる道はここにある。

    面白い。題材が面白い。鷹ヶ峯に薬草園があったとは。歴史にあったかもしれない物語を紡ぐ。澤田瞳子さんの小説は、歴史から大幅に外れるわけでもなく、「ありえたかもしれない」ところを突いてきて、ツボにハマる。

    主人公は元岡真葛。母を亡くし、旅に出たまま帰らぬ父・元岡玄已に代わり、藤林家当主・匡やその妻初音、それからの薬草園の荒子たちと、薬草の世話をしながら鷹ヶ峯御薬園に暮らす。

    女であること。医師という仕事の重み。帰らぬ父への思い。道を切り開く心。やはり、時代が違っていても人の心はなかなか変わらないもので、真葛の葛藤は、自分にもよくわかること。先達のいない道を歩く人は、勇気がいる。それは自分の失敗が後輩たちの道を閉ざすかもしれないという責任。でも、誰かが歩き始めないと。この続きがあるのかどうかわからないが、真葛が歩き始めた道が、平坦ではなくても祝福された道であるように。

    亀甲屋の定次郎はなかなか報われなさそうですね。

  • 問題小説2011年12月号、読楽2012年5、8、11月号、2013年2月号掲載の5編に書下ろし1編を加えた6編の連作短編。2013年5月刊。幕府直轄の鷹ヶ峰御薬園支配の藤林家に身を置く真葛は女性ながら、薬草の知識だけでなく事件解決の手腕も並外れていた。登場人物や起こる事件は、興味深い設定ですが、面白いと思える展開は無く、あまり楽しめなかったです。

  • 江戸時代、薬草に知見のある女性をめぐるミステリー。
    個人的に、この作家は古代の話のほうが好み。江戸時代なのに名前がなんとなく現代的に思えて違和感がある。

    なにかに似てるなと思ったら、チャングムの誓いか、確かに。

    表題作は気弱な婿養子の話、好きじゃない。
    当時の医学薬学という科学と、民間信仰やおまじないという非科学との対立で、主人公がわが苦悩する、という話が多かった。お気に入りは、仏像と、病気の子どもに着せる寝巻の話。

    ミステリーだが、途中で謎があっさり見えるので、あまり完成度は高くない。
    最終話のは、女性は学問をするな、という男性への反発かな。

    主人公の行方知れずの父がなんらか関与するかと期待したが、まったく出てこない。無駄設定に終わったのが残念。

  • 周辺で起こる不可解な事件を、迷信と科学(医学・薬学)のはざまで真葛が解決していくというような連作。江戸ミステリ?に近いかんじかな?
    話のオチのひねりとベタさとの頃合いが良い感じで、また、画的に躍動感があったりユニークだったりするシーンが多いので、普通に映像化向きだなとも思う。

  • 幕府直轄の薬草園に幼い頃、養女となった真葛。チャングムの誓い 医女編を思い出したけれど、真葛の方が薬や医術を極める環境に恵まれている(^^)薬草の事だけでなく、謎解きやラブ要素も盛り込まれていて楽しめた♪ただ、真葛が決意を新たにしたところで終わっているし、真葛の実父の行方が気になるので、是非とも続編を出して欲しい!

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著者プロフィール

1977年京都府生まれ。2011年デビュー作『孤鷹の天』で中山義秀文学賞、’13年『満つる月の如し 仏師・定朝』で本屋が選ぶ時代小説大賞、新田次郎文学賞、’16年『若冲』で親鸞賞、歴史時代作家クラブ賞作品賞、’20年『駆け入りの寺』で舟橋聖一文学賞、’21年『星落ちて、なお』で直木賞を受賞。近著に『漆花ひとつ』『恋ふらむ鳥は』『吼えろ道真 大宰府の詩』がある。

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