2015 長谷川慶太郎の大局を読む (一般書)

  • 李白社
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  • Amazon.co.jp ・本 (219ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198638481

作品紹介・あらすじ

毎年恒例の「大局を読む」シリーズ。2014年大胆にも朝鮮・中国の崩壊を予測した著者がその後の最新の朝鮮(韓国、北朝鮮)・中国情勢に加え金融緩和縮小を解除したアメリカ経済の今後、2015年の2回目の消費税上げを狙う安倍政権のアベノミクスの行方、デフレに陥ってゆくユーロの動向、そして巷間ささやかれ始めた国債暴落によるハイパーインフレについて詳細に解析する。

感想・レビュー・書評

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  • 2015/01/16:読了
    北朝鮮は終わり。
    中国は、7軍区と台湾で連邦制に。
    サムソンは、中国企業に追いかけられ、ソニーやパナソニックと同じ運命。
    アメリカは絶好調。ドイツと日本もOK。

  • 長谷川慶太郎氏は毎年10月頃に「大局を読むシリーズ」というタイトルで来年の経済状況を予測した本を出版されます。もう5年間位は毎年読んでいて楽しみにしています。

    株式投資家のためのアドバイスもされていて、かなり前から「今後は重厚長大企業が繁栄する」と言われていましたが、その通りになっています。国際貿易や軍事関連に関する内容は独自の情報源をお持ちのようですね。

    ただ一点気になるのは、シェールガスに対する見方が、私が愛読している副島氏の最新本との記述と異なっていたことでした。お二人ともご自身で得られた情報を元に書かれているので、私が判断することはできませんが、あと数年もすれば白黒がつくと思われますので、今後とも注目していきたいものです。

    今年中に日銀の金融緩和が終わる予定です、最近、銀行が国債を売っていることを憂慮している方もいますが、この本でその解答(欧州優良企業が欧州銀行から借りることができないので日本の銀行に借りに来ている)が得られて良かったです。

    以下は気になったポイントです。

    ・都市銀行(3メガバンク)が国債を売って得た資金を住宅ローンに回している、さらに、欧米の優良企業に3.7%程度の金利で貸し付けているので儲かる(p21)

    ・国債を担保にすれば日銀が有利な条件でお金を貸してくれる。90%の掛け目で日銀貸出を受けることができる、株の掛け目が70%なので国債のほうがかなり儲かる(p23)

    ・日本円を外貨準備としてもつ外国の中央銀行で日本国債運用をする。日本預金の金利よりも高い0.5%のほうが有利(p24)

    ・日銀が2014.12に国債買取をやめても国債市場が崩壊しないのは、日本では長期資金がだぶついているから(p25)

    ・日本がTPP交渉に加わったのは2013.7マレーシア会合から、日本は重要5品目を例外にしようとしたが、無理だとわかった(p40)

    ・アベノミクス第三の矢である「国家戦略特区」として6地域を指定した。東京圏、関西圏、新潟市、兵庫県養父(やぶ)市(オリックス)、福岡市、沖縄県(p43)

    ・大阪都構想が動かなくなった最大の原因は、大阪市職員労働組合の強い抵抗にあって、赤字根源の交通局を民営化できなかったから(p48)

    ・太陽光発電の調達価格は当初40円から、2014年度には32円となる。これで採算とれる太陽光発電所は日本にないので、これからの増設(更には送電線の敷設)は無理だろう。現在では認可発電所の5%しか稼働していない(p53)

    ・従業員平均年齢が38歳以上の企業の株を買うのは避けるべき、研究開発投資が売り上げ%以上、CF良い会社が推奨(p61)

    ・ソニー、シャープなどの軽薄短小はダメ、三菱重工や東芝が良い、航空機なら川崎重工も有望(p96)

    ・3Dプリンターは、三次元設計データを基に、樹脂や金属粉末を積み重ねて立体物をつくることができ、金型・型枠を用いずに成形できる、多品種少量生産に向いている(p99)

    ・アメリカでの新築住宅の売行きが鈍っているのは、中古住宅との販売競争と、建築労働者の不足であり、経済の落ち込みではない(p108)

    ・シェールガス革命の進行により起きる現象は、1)燃料費下がり電気料金差が下がる、2)地方経済がよくなる、3)製造業の復権、国内回帰が進む(p113)

    ・連邦債務上限は2015.315までは無条件で引き上げるという法案が通った(p115)

    ・アメリカでは貧困層に自分たちの税金を使わせないために、州の行政単位である「郡」から独立した「市」をつくっている。殆どの業務を民間企業に委託して、運営コストを半分以下にして、富裕層を対象とする減税策を実施している(p116)

    ・中国は朝鮮戦争以来、毎年50万トンの原油を北朝鮮に無償で輸出していて、2013.1-6も、25万トンを輸出していたが、それがなくなった。そのため2014年は田植えがろくにできなかった(p126)

    ・中国は2013.11までは脱北者を捕まえて北朝鮮へ送還する努力をしていたが、12月以降は停止されている。現在、中国は脱北者天国になっている。これは中国が北朝鮮を見捨てた一つの有力な証拠(p132)

    ・水兵の練度は、手旗信号の速度を見ただけでわかる。中国海軍は海上自衛隊にもかなわない(p149)

    ・もはや国同士の戦争は起きないので、金価格は長期的には必ず下がるので、金への投資はけっして奨められない(p153)

    ・今後ますます技術の進歩は情報化を加速させる、これは世界平和も加速させる。同時に戦争のない時代はデフレが長期化する(p169)

    ・中国の北京から南南西に250キロ離れた河北省石家荘では、爆発音が絶えない。PM2.5を排出している工場を爆破している。鉄鋼・セメント・発電・石油化学・石油精製の中小メーカが対象(p178)

    ・韓国でおきたフェリー船事故の原因は高速道路の渋滞である、現在韓国には第二高速道路を造る建設資金がないのでつくれない。このような事故が起きても不思議でない(p194)

    ・重電機では新興国がいくら頑張っても日本には追い付けない。重厚長大の製品をつくるための設備、技術者がいないばかりか資本もない。これらは一朝一夕にはできない(p197)

    ・ドイツ企業の好調な理由は、ドイツ経済力比較で安いユーロによる輸出であるが、この背景にはドイツの労使関係(リストラができる)にある(p216)

    ・イギリスでもシェールガス開発に積極的で2015年にも生産開始する、デンマーク、ルーマニアも積極的。しかしフランスは開発中止、ドイツも同様、ドイツはポーランドからシェールガスを買えばいいと思っている(p219)

    2014年11月29日作成

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著者プロフィール

国際エコノミスト。1927年京都生まれ。1953年大阪大学工学部卒業。新聞記者、雑誌編集者、証券アナリストを経て、1963年に独立。1983年に出版した『世界が日本を見倣う日』(東洋経済新報社)で、第3回石橋湛山賞を受賞した。

「2020年 『中国は民主化する』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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