恋形見

  • 徳間書店 (2015年1月16日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (288ページ) / ISBN・EAN: 9784198638979

作品紹介・あらすじ

あたしは巴屋を江戸一番の大店にしてみせる! 度胸と才覚を武器に、ちっぽけな太物問屋から有数の大店に成り上がった女、おけい。江戸中の人々を驚かせ、女たちの注目を集め、新しい反物を流行らせた”人でなしのおけい”は仮の姿。遣り手、強面のかげには、一途な純愛があった。号泣必至の一代記!「食堂のおばちゃん」として話題となった松本清張賞作家が贈る、書下し時代小説。

みんなの感想まとめ

一人の女性の商売と愛の物語が描かれています。主人公のおけいは、太物問屋「巴屋」の総領娘として、江戸一番の大店を目指し、数々の困難を乗り越えていきます。母に疎まれながらも、父から商いの知恵を学び、強い意...

感想・レビュー・書評

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  • 一軒の太物問屋「巴屋」。その総領娘おけいの夢は店を江戸で有数の大店にする事。
    実の母には疎まれたが父に商いを仕込まれ、やがて歳をとるほどにその落ち着いた商いぶり、思い切った大取引などでやがて巴屋は越後屋、白木屋、大丸屋と並ぶほどの大店となっていった。
    そんなおけいにはただ一つ、心の拠り所としているものがあった。それは幼い頃別れた幼馴染がくれた櫛だった。
    ひとりのおんなの一代記。婿ですら気に入らないところがあると3ヶ月で離縁するような気の強いおけい。あきないも強気で気を逃さず突き進む。
    だが最後は愛するもののために店さえ手放しても構わないという気持ちになる。
    読んでいておけいの強さが怖いくらいだった。
    そしてその強さのかげで泣いていた人たちがいることもわかる。

  • 読み始めてから、高田郁氏の
    「あきない正傳 金と銀」を思い出した。
    やはり、反物をどのようにして、町の女たちに、流行らして行くか……

    辛い道のりを、越えるには、並大抵の努力が大切であり、その上に、家庭内の非協力的な人物の登場に、心をかき乱させる。

    この本は、螺鈿の櫛をくれた人物 仙次を一途に慕うおけい。
    いつか 自分の所に戻って来てくれると信じて、店を大きくして行く。

    大きくさせるのには、それ相当の覚悟がいる。

    そんな中、下渡藩の長坂修理が、お家騒動に巻き込まれ 切腹の沙汰が……

    そんな悲しい事や美人の妹の不始末等、頭の痛い事が、多い。
    自分の愚痴や味方になってくれる相手が、いるのだろうか?と、思ってしまう程である。

    一癖あると思っていた橘屋の正五郎。

    養女の娘と三次と一緒にさせたい為に、盗賊の冬霞の親分に自分の店を渡す覚悟。
    その為に、正五郎に、お金の融通を頼むのだが、………

    正五郎の思いを、おけいは、自分の肌に、橘の花を刺青する。
    命短い正五郎の為に、その恩を自分の身体に刻み込ませた。

    四十になり、戻って来てくれると信じて待っていたおけい。
    若き日に貰った櫛を 大事に、これからどう生きて行くのだろうか?

    三次の息子と養女が、いつか、又おけいの所に戻って来て、平和な日を送って欲しいと思いながら、本を閉じた。

  • 時代や設定が、「あきない正傳」に似ていてる(あちらも大ファン、どっちが先かは不明)が、好きだなあ、こんな感じで江戸時代の女性が活躍する話。

  • 誰しも辛い時、帰路に立った時は何かにすがり付きたくなる。物であれ人であれ。安易にすがり付いたら騙されたりもする。何かと世の中は世知辛い。それでも、そのすがり付く対象と自分との間にある繋がり、繋がりの質量によっては、それが大きな力となる。その力の大きさは自分自身の覚悟の質量に比例するのかも。

  • 「あたしは巴屋を江戸一番の大店にしてみせる!」
    江戸中の人々を驚かせ、女たちの注目を集め、
    新しい反物を流行らせた"人でなしのおけい"は
    仮の姿。遣り手、強面のかげには秘めた恋が…。
    一途な女の一代記。

  • 江戸を舞台にした女一代社長奮戦記…、とはいえ良くある立身出世モノとはちょっと違って、女の生き様多種を描いているところがポイント。

    多様な人物が出てきて、その工夫を凝らしたキャラの個性造型を楽しめる。特に主人公、その母、その妹という3人の女性(物語を回していく中心となる)が話の中で際立ってくる。
    それ以外にも魅力的…というか気になるキャラクターが大勢出てくるのだが、特に男勢はこの3人を際立たせる脇役(脇というにはひでぇヤツもおるが)にすぎない。ともかく、この小説は3人の女性を読むのが醍醐味。

    親のDV、実の子を愛せない親…現代病とも思えるこうした問題、実は江戸の昔からあった(あってもおかしくない)、人間の根底に根差す問題なのかもしれない。

  • 「おばちゃん街道」で自伝的エッセイを、「あしたの朝子」では母親をモデルにした小説を書いて、現在乗りに乗ってる感じの山口恵以子さん。「恋形見」、本格的な時代小説といってもいいでしょうか・・・。2015.1発行です。呉服の巴屋の長女として生まれたおけいの波乱万丈の生涯。11歳から42歳まで、お店を継ぎ、「人でなしのおけい」と言われながらも、11歳からずっと抱き続けてきた純情一途な恋心を描いた力作だと思います。「真心」がテーマでしょうか・・・。

  • 面白かったけど、主人公以外の人物の書き込みがが薄っぺらいのが一寸気になった......(´・ω・`)

  • やっぱり作家は凄い。話しの落とし所が決まってる。
    ラジオで、この本の内容がインスピレーションでポンと落ちて来たと聞き、興味を抱いた。或る一場面が画像として現れ、それを意味あるものとするように、ストーリーが産まれてくると作者は話していた。
    読後なるほど得心した。

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著者プロフィール

1958年、東京都江戸川区生まれ。早稲田大学文学部卒業。松竹シナリオ研究所で学び、脚本家を目指し、プロットライターとして活動。その後、丸の内新聞事業協同組合の社員食堂に勤務しながら、小説の執筆に取り組む。2007年、『邪剣始末』で作家デビュー。2013年、『月下上海』で第20回松本清張賞を受賞。その他の著書に「婚活食堂」「食堂のおばちゃん」「ゆうれい居酒屋」シリーズや、『風待心中』『ゆうれい居酒屋』『恋形見』『いつでも母と』、共著に『猿と猿回し』などがある。

「2023年 『婚活食堂9』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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