日本戦後史論

  • 徳間書店 (2015年2月28日発売)
3.98
  • (30)
  • (41)
  • (24)
  • (1)
  • (2)
本棚登録 : 367
感想 : 52
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (248ページ) / ISBN・EAN: 9784198639068

作品紹介・あらすじ

右傾化する日本と世界、新米保守という矛盾、領土問題の本質、反知性主義ともいえる現状……。この国が来た道、行く道を、『日本辺境論』『街場の戦争論』などの内田樹氏と『永続敗戦論』で大注目の論客、白井聡氏が縦横無尽に語りつくす。「敗戦の否認」という呪縛や日本人に眠る「自己破壊衝動」など、現代日本に根深く潜む戦後史の問題の本質をえぐりだす。戦後70年、集団的自衛権や憲法改正の問題を考える前に、ぜひ読んでほしい一冊。

みんなの感想まとめ

現代日本の危機的状況を深く掘り下げた対談集で、著者たちは日本が抱えるさまざまな問題に光を当てています。特に、原発事故や戦後70年の平和を捨てる危険性、さらには「敗戦の否認」が現在の政治に与える影響につ...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ところどころ、というか、要所要所で「ん?」となりがち。今の政治の出鱈目ぶりは保守の自己解体願望でーみたいな話が繰り返し語られるが、「無意識下で」といえば何でも言えてしまうので、こういう文系インテリ仕草はちょっとついていけない。

  • この本が出てから2年ほど間が空いているので、今頃読んで話題が古くなっているのではと危惧したのですが、私のそんな心配は全く当らず大変面白く読みました。
    安倍政権も長期になっているため、安倍首相がニュースに登場するのは毎度のこと、野党という勢力も殆ど機能せず、自民党中心とした一党支配体制の下、最近は憲法改正にも意欲を見せる言動ありの最中に読む価値ありです。
    今時マルクス、レーニン主義を言う人に30年ぶりに出会ったと内田先生に言わしめた白井さん、「永続敗戦論」の著者です。構造主義の見方から世の中を論ずる内田先生との対談形式のこの本は、予想に反してとても読み易く眼から鱗の話ばかりです。
    戦後日本の国家戦略は、対米従属を通じて対米自立を果たすこと。これを内田先生はのれん分け戦略と評しています。徹底的にアメリカに負けて、アメリカに従属する姿勢しか考えられない日本の戦後社会。とても主権国家と言えない国の成り立ち。負けた原因を精査しないまま、社会の中枢に居座った支配層。その後、冷戦構造の中でアメリカ陣営に立ち同盟関係を結び70年。うやむやにした戦争責任が隣国の人たちから突きつけられる昨今。この本が出た後ですが、とうとうアメリカは本音を言う自国第一主義を唱えるトランプ大統領になり、今までのスタイルが通用せず、右往左往しているのでしょうが、ある意味これも日本にとっては良かったのかも?とも考えました。いつまでも何処までもついて行きますじゃあねえ…
    最近は奥さんまで政治の舞台に出てくる安倍首相、心理的には親米を装いつつ反米のねじれた感情を持つ、多分人格が乖離しているのだろうと解説されている安倍さんの心理構造が特に面白かったです。また、歴史を顧みると、明治時代に遡る戊辰戦争以来のつけ、恨みが高じて自滅的な戦争に走ったこと。最近話題になった「忖度する」ことが大事であるために生み出される無責任な組織構造。無意識に破局を求めるカタストロフ願望、方丈記にあるような無常感が日本人の伝統的な感情であるが故の社会構造であること等々、表現は過激ですが、本質を突いているので、今の日本がどうしてこんな成り立ちであるのかよくわかりました。

  • 言ってることは面白かったけど、ところどころ疑問に思うところあり

  • なかなか良かった。戦後史が学校であっという間に終わってしまったり、事実の羅列だけで深い解説がなかったりするのも、日本が「敗戦を否認」しているからなのかなと思った。ちゃんと勉強したい。日本人として。

  •  白井聡氏の著作「国体論」に興味をもったものの、専門的な内容のため断念。本書は内田樹との対談形式で読み易くなっている。戦後日本を貫く呪縛。「対米従属を通じての対米自立」「敗戦の否認」「永続敗戦の構造は戦後の国体」 もちろん、いずれの敗戦国も敗戦の否認を行ってきたのであるが、日本とフランスは戦後の症状が重い。日本では戦争を指導していた人たちが戦後、ふたたび支配的な地位に留まり続けたことが歪みを生んでいる。親米的雰囲気は、かなり人為的に作られていった部分が多い。戦中派は明言しないものの、アメリカに勝つ!という目的を共有しており、代替戦争としての経済競争があった。戦後生まれが支配的となった現在、目的を失い倒錯した経済成長戦略を続けている。尊敬できるブルジョアジーがいない。「カタストロフ願望」 無謀な戦争は、実は日本人が日本を憎んでいたから、と述べたのは興味深かった。近代日本のトラウマは150年経ってもいまだに言語化されない。現代でも不合理な選択をし続けており、破局願望から逃れられていない。

  • うーん、期待して読んだのだが、イマイチだった。。。

  • 「二〇二〇年の東京オリンピックって、もし何とか開催できればその後一〇年国はもつ。もし開催できないというところまで追い込まれると、もう五年しかもたない。そういう嫌な感じがするんです。」
    なんていうヒリヒリするような発言が続出する。

    日本は戦後、「対米従属を通じた対米自立を目指す」という捻れた形で政策を作ってきた。しかし、アメリカはもちろん自国の国益を優先するので、いつまで経っても対米自立ができない。
    また、敗戦の否認をしており、どこか韓国・中国という近隣諸国を見下しているところがある。
    仮に中国が尖閣諸島に攻め込んだとしても、アメリカは日本の防衛をしないだろう。アメリカはそのような事態にならない程度に日中関係を維持したい。
    日本はそのような状況の中、アメリカの利益にも国益にもならない政策を進めており、自滅を望んでいるように見える。
    といった内容の対談。対談形式の本には珍しく、盛り上がっていることがわかる。

  • 強烈な本であった。知的に刺激を受ける。
    特にアメリカで、木材産業の自立に向けた話をした後では。
    補助金のことをたくさん言われたけれど、その歴史性などを明らかにする必要があるなぁ。
    林業が自立できない背景には、日本社会の構造的な課題があるように思えて仕方がない。

  •  ぼくには合わないような・・・
     時間を置いて読み直してみよう。

  • まったく自分の中になかった考え方
    物事を見る新しい視点を教えてもらったような気がする。

  • 「なんで日本だけが悪く言われるんだ、英米なんかもっとひどいじゃないか」という叫びに一片の真実はある。しかしそれを言えないことが敗戦したという意味であり、そのことを理解して飲み込むしかない、というところからしか、始まらない。
    原発、「どっちかといえばやめた方がいい」、程度の意思でやめられるはずがない。それがわかってないのが日本国民のダメなところです。

  • 戦後日本の政治的論考を、ウチダ先生と『永続敗戦論』の白井聡先生が対談形式で行った、非常に刺激的な本。近年表面化している様々な政治的な問題は、ここ何年かの文脈で読もうとすると誤読してしまい、きちんと1945年(あるいは、それよりももっと昔)から丁寧に経過を追って読んでいかないと読み解くことは難しいのでは、ということを本書を読むと痛感させられる。戦後史の「語られていない部分」をきちんと正視しないと、真の意味での対米自立は難しいのではないか、と思ってしまうのです。

  • 「忖度する文化」がたいへんにおもしろかった。
    確かに、「忖度する小物」による悪影響は、この国の至るところに綻びをもたらしているのであろう。
    『永続敗戦論』を読んでみたくなった。

  • 第1章 なぜ今、戦後史を見直すべきなのか
    第2章 鈍化していく永続敗戦レジーム
    第3章 否認の呪縛
    第4章 日本人の中にある自滅衝動
    「経済成長のためならどんな不幸になってもいいという倒錯した心情」「忖度システム」「敗戦の否認」「カタストロフ願望」などなど。
    「否認」が昂じている現状は明白に病的だが、まずはそれを認めることからしか話は始まらない。幼稚で最大のリスクファクターである「彼」の存在が、なんとも不穏なのだが‥。

  • 日本人の多くがそうだよねと心の中では思いながら、普段あまり公に語られる事のない話を言葉を尽くして話していて共感した。全てに納得してる訳じゃないけれど。永続敗戦論も読んでみようかな。

  • 2015.12.28
    60年代、70年代のアメリカの西海岸を中心とするロックなどカウンターカルチャーの日本への流入が日本の反米意識を弱める効果があった。というかそのために輸出されたというのが大変興味深い。アメリカってホントにすごい国だよ。

  • 日本戦後史論

    今回の対談のテーマは「カタストロフィー」である。日本人は心のどこかで「全て壊れてなくなってしまえばいい」という願望を持っているのではないか。そうでなければ、この地震国家に原発を54基も作らないし、首都直下型地震が起きたら首都機能が麻痺するとわかっているのに一極集中を進めている。「こんなのもの全部滅びてしまえばいい。そうすれば人間が本当にあるべき形が見えてくる」という感情は日本人なら誰にもあるのではないか。
    シェイクスピアの「リヤ王」の台詞に、「今は末世だ。気違いが目くらの手を引く」というものがある。末世的状況はありふれたものだった。人間の尊厳や誇りがあるとすれば、そうした末世に抗うことのうちに存在するのだ。
    徳洲会病院には共産党から右翼まで何でもござれで多数の元政治活動家が入っていた。今の徳洲会へのバッシングは、そうしたものを受け入れる度量が社会になくなったということを現している。
    オリバーストーンが日本はアメリカの政策に追随する以外に、国際社会に向けて発信するいかなる構想も持っていない国だと言い切ったが、これを日本のメディアは黙殺した。そんな侮辱を受けたのならきちんと反論すべきだったが、無視した。日本は都合の悪いことは何でも「なかったこと」にしようとする。世界中が日本はアメリカの属国だと思っていて、日本だけが主権国家だと思っているのは、敗戦の総括が出来ていないからだ。
    日本ではアメリカはいつか自分たちを暖簾わけしてくれて、「自立していいよ」と言ってくれると思っている。「株を守る」の故事にあるように、ひたすら待って「待ちぼうけ」されている。アメリカに従属していたらサンフランシスコ平和条約を結んでもらえた。沖縄も返してもらえた。このまま続けていればまた何かもらえるだろうと、何もしないで座って待っている。アメリカが昭和天皇のように慈悲深い存在だと妄想している。
    アメリカを仮想敵国だと言おうものならすぐに排除されてしまうが、韓国の陸軍士官大学の卒業生たちのアンケートでは仮想敵国の1位はアメリカで、75%がアメリカに不快感を持っているとあった。朝鮮戦争が再発したら韓国軍の指揮権はアメリカにあるので、軍略的にはアメリカと同盟関係にあるほうが良い。信用もしていないし嫌いでもある相手と手を結ぶ。それが主権国家としての態度である。
    太平洋戦争での戦死者300万人のうち、200万人は最後の一年で死んだ。国体護持というと荘重な響きがあるように聞こえるが、内実は支配層の自己保身を言い換えたに過ぎない。日本の支配層は、自分たちの保身のために自国民、それも前途ある若者を中心に200万人も見殺しにした。今回のTPPでも同じで、彼らは自己保身のために日本の有形無形の富を、最後の一片に至るまで切り売りするつもりなのだ。
    戦前の陸軍の暴走は、戊辰戦争で敗北した「賊軍のルサンチマン」があった。陸軍には長州藩のキャリアパスがあったが、山縣有朋が死に、田中義一が死んで長州閥が終わる。そこに東北からの賊軍であった藩出身者がのし上がってくる。この人たちは、薩長が作った明治の体制を一度壊さなければならないと思っていたのではないか。満州事変を起こし、昭和維新を呼号して2.26事件を起こし、日中戦争、対米戦争を始めた。日本軍国主義というのは、のぼせ上がった軍人たちが権力欲と愚鈍さゆえに国を滅ぼしたというよりも、彼らの心の中に「こんな国、滅びたっていい」という底なしのニヒリズムを抱えていたのではないか。口には出さなかったけれど、昭和維新を目指した人びとは天皇を憎んでいたのではないか。彼らの父兄は、半世紀前に「朝敵」の汚名を着せられ、天皇の名の下に殺されていたからだ。天皇に見捨てられたトラウマを抱えた旧賊軍の陸軍軍人たちが天皇に素朴な敬愛の念を寄せていたとは到底思えない。
    民主主義は時間のかかる効率の悪いシステムなので、金儲けには向かない。日本をシンガポールのようにしようという人がいるが、シンガポールは食料もエネルギーも水さえ自給できないから、まず金という選択はある意味正しい。日本は豊かな自然やインフラもあり、全く条件が違う。日本は今ある国民資源を丁寧に保持していくだけであだやかに暮らしていけるが、それでは経済成長しない。グローバリストたちは国民資源をゼロにして、国民の逃げ場をなくそうとしているのではないか。自分の労働力を売って賃金を稼ぎ、生きるために必要なもの全てを市場から購入しなければならなくなる。そうすればGDPも経済成長率も跳ね上がるからだ。原発をたくさん作って国土を汚し、TPPで小規模自営農業の存立を不可能にするのは、国民が最後に逃れる先である「山紫水明の山河」をもうそこには戻ることができない場所に変えるための政策であり、非情なまでに合理的な選択である。
    1940年に開催できなかった東京オリンピックと2020年は80年で切のいい数字だが、そのちょうど間の1980年はモスクワオリンピックで、日米などがボイコットしてケチがついた。そしてその10年後に国がつぶれた。1940年は開催すらできなくて、その5年後に国がつぶれた。2020年のオリンピックは、開催できれば10年は国がもつが、開催できないと5年で国がつぶれるのではないか。
    55年体制は、自民党はアメリカの傀儡だったが、社会党もソ連寄りの政党になっていって、アメリカのエージェントとソ連のエージェントがやり合っていた。自民党はアメリカが無茶な要求をしてくると「社会党がうるさいんで…」と言い訳することができたし、政治かも面従腹背で対応していた。それで主権や自立性が確保されていた。傀儡が二つ合わさると自立になるという面白い構造ができていた。それが冷戦の終結で崩れてしまった。
    地方で若者が活性化させるような活動を始めると、老舗の旅館の二、三代目などが邪魔してくる。彼らは自分が始めたわけでもない重いものを背負わされていて、地域ごと店がつぶれることを望んでいる。店だけ潰れると自分の責任になるから、全て壊れてしまえばいいと思っている。地域活性化プロジェクトがうっかり成功してしまうと店が潰れないから、その邪魔をする。
    安倍首相の強硬なイデオロギーは外付けの甲冑であるので、本人だって重くて苦しくておろしたい。脱ぐにはどうしたらいいかというと、とにかく全部チャラになるような事態を招き寄せればいい。国ごとつぶれてしまえば、自分のせいにはされない。選挙の候補者の選定を見ても、イエスマンばかりで長く政権を担当できるような人材がいない。遠からず潰れていくのは目に見えている。
    今では考えられないことだが、日中国交回復のときは国中が親中派であふれていた。中曽根首相が85年に靖国神社の参拝を取りやめたのも、それに配慮してのことだった。中国とアメリカの両方にいい顔をして、その勢力均衡を利用してプレゼンスを高めていくという戦略はかなりの支持者がいた。しこにも対米自立のチャンスがあった。
    フランスにも歴史修正主義者がいて、最大のタブーが戦時中のドイツの傀儡政権であるヴィシー政府についてである。フランスは戦勝国ではなく枢軸国であり、ドイツに協力してレジスタンスを抹殺した人物たちがそのまま戦後も権力を担当したのである。最大の問題はレジスタンスで、それまでドイツに協力していた極右勢力などが「勝ち馬に乗って」ドイツを攻撃したものが多い。レジスタンスは地下組織なのでほとんど史料がない。初期からのレジスタンスと勝ち馬に乗っただけの者たちに感情のしこりがあるが、それについて公に言える者はいない。カミュは初期からのレジスタンスだったが、「真のレジスタンスは全て死んだ」としか言えなかった。

  • [請求記号]3000:1598

  • 内田樹さん、白井聡さんの対談。まだ『永続敗戦論』を読んでないのですが、これも話題になってることと、内田さんとの対談ということで読みやすいかと思い、読んでみた。とにかく、気持ちが暗くなる。日本人が、気持ちのどこかで破滅を願っているとか。そういうひとが確かにいるのかどうか、数はどれくらいいるのかとかはわからへんけど、それでも時代の雰囲気とかを見てるとけっこう頷けてしまうねんな、これが。「時代を見つめる」習慣がこれからますますなくなっていくやろうと思うと、こういう作業をしてくれるひとの存在は本当に貴重やと思う。

  •  『永続敗戦論』の白井聡が内田樹と対談。

     日本の政治や社会は無意識的に敗戦を否認していたのではないかという『永続敗戦論』のテーマを引き続いた対談。さらにこの対談では否認だけでなく破滅願望的な側面にもふれている。
     政治を無意識から見るという視点は重要だと思う。

全38件中 1 - 20件を表示

この本が好きな人におすすめの本

著者プロフィール

1950年東京都生まれ。神戸女学院大学名誉教授、神戸市で武道と哲学研究のための学塾凱風館を主催、合気道凱風館師範(合気道七段)。東京大学文学部仏文科卒、東京都立大学人文科学研究科博士課程中退。専門は20世紀フランス文学・哲学、武道論、教育論。 主著に『ためらいの倫理学』、『レヴィナスと愛の現象学』、『寝ながら学べる構造主義』、『先生はえらい』など。第六回小林秀雄賞(『私家版・ユダヤ文化論』)、2010年度新書大賞(『日本辺境論』)、第三回伊丹十三賞を受賞。近著に『日本型コミューン主義の擁護と顕彰──権藤成卿の人と思想』、『沈む祖国を救うには』、『知性について』など。

「2025年 『新版 映画の構造分析』 で使われていた紹介文から引用しています。」

内田樹の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×