- Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
- / ISBN・EAN: 9784198639112
作品紹介・あらすじ
伊豆の地に独り流された頼朝は、まだ10代前半の少年だった。地元の豪族にうとまれ、命を狙われる日々に、生きる希望も失いがちな頼朝のもとへ、ある日、意外な客が訪れる…かつて頼朝の命を不思議な方法でつなぎとめた笛の名手・草十郎と妻の舞姫糸世の運命もまた、この地に引き寄せられていたのだった。土地神である地底の竜と闘い、伊豆の地に根を下ろしていく少年頼朝の姿を描く、荻原規子の待望の新作。徳間書店の子どもの本・20周年記念作品。
感想・レビュー・書評
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風神秘抄の続きを頼朝視点で描いた物語。なのだけれど、本書の表紙にもそでにも扉部分にもそれが明記されていないのは不親切だなあと思った。前作を読まなくても楽しめるといえば楽しめるけど、草十郎や糸世、万寿姫関連のことが???となると思う。
物語自体はさすが荻原規子さん、和風ファンタジーを書かせれば右に出るものはいないなあという感じ。季節の草花とかの描写がいちいちちゃんとあるせいか、和風ファンタジーの空気感づくりが素晴らしい。ところどころで挟まれる今様もいい雰囲気出してる。空色勾玉時代からそうですが、古歌を上手く使う作者さんです。
荻原さん作品には珍しく、主人公は恋愛しません。なのでそういう要素を求める人にとっては物足りないかも。草十郎と糸世のいちゃいちゃはちゃんとありますが、ここを楽しめるのも前作ありきだと…うん、やっぱり表紙に風神秘抄の続きだって書くべきだ。
あとがきを読むと、著者の入念な下調べのもとにこの物語が作られたことがわかる。実際にその土地で伝わる言い伝えや様々な説を土台にしているから、しっかりした骨太ファンタジーが書けるんだなあとつくづく思った。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「風神秘抄」の続編。
主人公は初陣だった平治の乱で敗れて伊豆に流された源頼朝、当時14,5歳。
糸世と草十郎が夫婦となって再登場します。
土地神の神竜や蛇や舞...と荻原ワールド全開ですが、伊豆での頼朝の幽閉生活は割と史実通りのよう。
はじめは弱き少年として描かれている頼朝が自分と向き合い神竜と対峙し蛇のくびきを解き未来を切り開いていきます。
なんだか頼朝の印象がかなりよくなりました。 -
続編だからか、いつもの喪失の切なさというか世界の理の無情さというかがなく、やや物足りない。
この作家さんの真骨頂、運命の半身に出会って全てを捧げる感じがないというか。 -
『風神秘抄』読まずに読むともったいないですよー!作者ブログを読む限りでは『風神秘抄』の主人公二人はちらっと登場するくらいかと思っていましたが、実際はしっかりメインキャストで、物語に深く関わっていました。
『風神秘抄』の細かいところは忘れていたのですが、読んでいくうちにいろいろ思い出しました。これから再読しようと思います。
この作者の作品はいつも情景描写が瑞々しくて、読んでいて心地よいのですが、今作も伊豆の自然の描写がとても鮮やかで、伊豆に行きたくなりました。
源頼朝にはあんまり良いイメージがなかったのですが、この作品の主人公である頼朝は好感持てます。この後どうやって鎌倉幕府を開くまでになるのか、義経との出会いや別れは…と想像が広がります。 -
あら、「風神秘抄」を読んでないです!!
こちらが先になっちゃったけどまずかったかしら((+_+))
源頼朝の後の強い武将に成長する前の
ナイーブで華奢な少年時代という設定。
今まで持っていたイメージと全然違うのでとっても新鮮だった。
ある程度知っている歴史上の人物がちらちら出てきて
今までのシリーズとは違った面白さがあった。
「風神秘抄」の主人公2人とのかかわりもよかったけど
もしかしたら、先に読んでいたらもっと楽しめたかも。
少しだけ置いてけぼりでした(笑) -
まさかの風神秘抄の続編だった
読んだの昔すぎて内容覚えてないw
本作は源頼朝の少年時代のお話で、所々勾玉の要素が含まれてて楽しかった
権現あたりのお話が特に好き -
風神秘抄の続編にあたる本作。萩原さんの物語を読み始めると、時が時代を遡り、なんだか自分もその時の人になったような、神々しさに触れられるような気持ちがしてきて、入り込むように一気に読んでしまった。そして、単純に草十郎と糸世が出てきて嬉しかった!
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日本の歴史ファンタジーYAの旗手、荻原規子が平家隆盛の時代に材をとった『風神秘抄』の続編というべき作品。『風神秘抄』で草十郎と糸世が救った頼朝のその後の話。
これ単体で楽しめないわけではないが、前作を知らないと、意味がわからなくてもやもやすること必至。冒頭から地名と人名のオンパレードで物覚えが悪くなった頭には負担だったが、それもまた歴史物の醍醐味であり、相変わらず、文章も美しい。ファンタジーとしても、異界と交わった人間がどうやってこの世に根を下ろすにいたったかというところが丁寧に描写されていて説得力がある。さらに、出てくる登場人物がみな魅力的。とくに嘉丙のとらえどころのない軽さがすばらしい。キャラクター個人の面白さが、暗くなりがちな物語全体に明るさをもたらしている。
もうひとつ、あとがきの最後の文章はぐっとくるものがあった。 -
伊豆の地にひとり流された源頼朝は、まだ十代前半の少年だった。土地の豪族にうとまれ、命さえ狙われる日々に、生きる希望も失いがちな頼朝のもとへ、ある日意外な客が訪れる。かつて頼朝の命を不思議な方法でつなぎとめた笛の名手草十郎と、妻の舞姫糸世の運命もまた、この地に引き寄せられていたのだった。
初読だとおもったけど、読んでいたわ。むしろ風神のほうが読んだはずのに内容全く覚えていない。神仏やあちらとこちらの話がふわふわと行き来する割に、さっぱりと分かりやすい話ではあった。壮大なのかこじんまりしているのかわからなかったけど。相変わらず女が強い。