番神の梅

  • 徳間書店 (2015年10月9日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (280ページ) / ISBN・EAN: 9784198640293

作品紹介・あらすじ

桑名藩から越後の柏崎陣屋へ! 夫の渡部鉄之助を支え、子供を産み、育て、貧しい暮らしを強いられた、下級武士の妻の紀久。おんな盛りにもかかわらず、古着一枚の着物も買えず生活に困窮する紀久を支えたのは一本の梅の苗木だった。「この梅が花をつける頃、桑名に戻れる」紀久は桑名へ戻れるのか?望郷の念が胸を衝く、珠玉の時代小説!

みんなの感想まとめ

辛抱と希望が織りなす物語が描かれた作品は、江戸時代の雪国に生きる下級武士の家庭生活をリアルに描写しています。主人公の妻、紀久は、夫と子供を支えながら貧しい生活に耐え、桑名から持参した梅の苗木に希望を託...

感想・レビュー・書評

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  • 桃栗三年柿八年、梅はすいすい13年、ていうじゃねえか。辛抱だよ。辛抱。辛抱して待つしかねえんだ

  • 史実が元になっている事は読み進めていくうちにぼんやりと感じていた。
    下級武士で且つ清廉潔白を貫けばどんな生活が待ち受けるのか。
    その過酷な日々に立ち向かうのはどちらかといえば普通の感覚の女性。故郷へ帰りたい、新しい着物が欲しいと夫に詰る様子は本当に普通の人。そんな女性がこれでもかと言わんばかりな試練に耐え、知恵を絞り、身体を酷使し何とか越え、次第に強さを身に付けて行く。とは言え元々の強さもあり人に清廉と褒められた際、喜ぶどころか「いやいや私はそうではない」と違和感を持つ場面に根っこにある強さを感じた。
    とかく主人公には憧れを持つような立派さを求めがちだが、この物語は少し違う。でもだからこそ終盤の同情は止められなかった。

    周りを取り囲む人々の人柄の良さも物語を読みやすくする要因の一つ。
    とりわけ夫の献身ぶりには驚く。仕事も頼りにされ百姓にも信頼を得る程の人格。立派としか言いようがない。立派過ぎて心配になる程。

    切なさややるせなさはあるものの、読後感は悪くない。
    いい物語だったと思う。

  • 歴史小説としては、時代、環境の設定が特異で、雪国の貧しい下級武士の家庭生活が描かれている。描写がうまく、いい小説でした。

  • 幕末の桑名藩勘定人 渡部勝之助 という実際の存在した
    武士の日記から、物語を作った作品。
    江戸時代、藩の領には、飛び地があることが多く
    渡部勝之助は当時辺境の飛び地へ夫婦と幼子で
    転勤したのだった。
    そこでの暮らしぶりは、貧しく米はあったものの、
    野菜も魚もとても足りず、自分たちの着物さえ
    着た切り雀に等しかった。

    武士の暮らしというと、テレビのドラマくらいしか
    想像できないが、江戸ならまだしも、
    田舎の暮らしは、思う以上に苦しく貧しかった。
    医療もなかなか受けられない、薬も高価。
    隣近所の付き合いも、大変だった。

    時代が江戸時代というだけで、その悩みは
    現代にも酷似するところも多く、
    この清貧な家族に応援する言葉をかけずにいられない。

    桑名から持ってきた梅の苗。
    花を見ずに、産後の肥立悪く、幼子を亡くした悲しみに
    妻はとうとうなくなってしまうのだが。。。。

    実際にあった日記を元に描かれた作品とは
    知らずに読んだが、とてもいい作品だった。
    そこに生きた証が深く心にしみてゆくのを感じた。

    最近、江戸時代の膨大な文書を読み解く作業を
    できる人材が増え、ますます江戸の映像が
    見れるようになった。
    そろばん武士の話や
    料理番の話、
    そして、こうして中心都市から離れて
    貧しいながらも家族で支えあって生きた人々の
    日記が作品となって、世に出たのだ。

  • 2017.3.15.

  • L

    現存する柏崎日記(渡部勝之助)と桑名日記(勝之助の養父、平太夫)のパロディ? 渡部鉄之助と久太夫の交換日記を挟みながら、柏崎陣屋詰で困窮に喘ぎながら役目を果たす鉄之助と、そんな生活に耐え忍ぶ妻、紀久の物語。
    夫を支える良妻賢母話かと思いきや、鉄之助に貧乏をなじったりと普通の奥さんだった。鉄之助は、そんな妻を支え家事をやり、お役目も潔癖なまでにやり通すスーパーマン。紀久が己の境遇を嘆かず受け入れるまでには鉄之助の姿勢があってこそ。柏崎日記と桑名日記はかなり砕けた文だったみたいなのでそこから垣間見れる生活から柏崎の暮らしを書いたのかね。武士で貧乏は辛すぎるなぁ。

  • こういう結末が昔はもっと多かったような気がする。書きぶりも今の時代小説としてはゆったりとしてうつくしい。

  • 長男を置いて、遠く離れた勤務地にやってきた夫婦。
    温暖な郷里と違い、寒さ厳しいその地での暮らしは、真面目な夫の稼ぎだけでは、どんどん貧しい生活へと陥ってしまう。
    そんな夫を支え、子どもたちの世話に追われ、家族の暮らしはますます苦しくなってくる。

  • 2015年10月刊。書下ろし。貧しい下級武士の暮らしをストレートに描いてあり、最後まで読んでも、救いがなく、悲しいだけでした。史実に重きを置いたということなのでしょうが、読後に残る楽しみがもう少しあれば、良かったです。

  • 柏崎が三重の桑名藩の飛地領だったとは知らなかった。それはさておき、藤原さんの話はやっぱりシリーズ物が好きだなあ~ ちとこういう話は苦手

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著者プロフィール

藤原緋沙子(ふじわらひさこ)
高知県生まれ。立命館大学文学部史学科卒。シナリオライターとして活躍する傍ら、小松左京主催の「創翔塾」で小説を志す。2013年に「隅田川御用帳」シリーズで第2回歴史時代作家クラブ賞シリーズ賞を受賞。本書は土佐の絵師として人々の幸せを願い描き続けた金蔵の生涯を温かい眼差しで活写した渾身の時代小説。著者の作家生活20周年記念作品である。著書に「橋廻り同心・平七郎控」シリーズ(祥伝社文庫)他多数。

「2023年 『絵師金蔵 赤色浄土』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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