ゼロワン (文芸書)

  • 徳間書店 (2015年12月8日発売)
3.84
  • (5)
  • (13)
  • (5)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 70
感想 : 14
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (336ページ) / ISBN・EAN: 9784198640606

作品紹介・あらすじ

王串ミドロ、三十三歳。無名のお笑い芸人。だが年末のマンザイ・グランプリで優勝すれば、どんなに無名でもキャリアがなくても、一夜にしてスターになれる! こうして漫才コンビ、“ゼロワン”は、マングラの頂点を目指し、悩みながらも奮闘を開始。頼りなくも熱心な若き相方零、圧倒的な実力を誇るライバル“クロエ”、自由奔放な恋人マドカらの存在を糧に、芸人・王串は自分の笑いを形づくろうとする。笑って泣けて元気の出る、青春小説の傑作!

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

無名のお笑い芸人がマンザイ・グランプリの頂点を目指す姿を描いた作品で、主人公・王串は、頼りない若き相方の零やライバルのクロエ、恋人マドカと共に成長していきます。彼らとの関係性が物語に深みを与え、特に零...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 性格は全く異なるが、主人公のライバルコンビ『クロエ』の黒江兄弟とグラスハートに登場する藤谷兄弟のイメージがかぶる。
    こちらも異母兄弟であることを匂わせるような描写あり。
    お笑いがテーマなのだが、全体的に雰囲気は重め。エンタメ業界の舞台裏が描かれているからというよりも、主人公の親友の死が通奏低音になっている作品だからだろう。
    あとがきを読んでその理由を察した。
    この数年とても辛かったろうし、この傷が完全に癒えることは無いだろうが、悲しみすらバネにするクリエイターの業を期待して、いちファンとしてこれからも発表される作品を待っている。

  • 作者の初の一般文芸書だけど、良い意味でラノベと変わらず(そもそもラノベとの差は挿絵があるかどうかくらいだと思ってるが)、まあ、つまり、おっさん版の「AGE」だなあ、と。文庫化して、みんなに読んでほしいな。
    (後書きが重いのは置いておいて……)

  • 久々の若木さんと身構えて暫く放置してた。読んでみたらわりとさくさく読めた。お笑い方面のとてもシリアスな話。こんな命削るような世界で生まれる笑いって、しんどいね。しかも見てる側はそんな裏事情知りたくないし知らないままでただ笑いを消費したいだけなんだよな。・・・てなことを、あとがきまで含めて思った。安全圏にいると思ってた消費者を巻き込んで毒を含ませられた感覚。冷たいかもしれないけどそんなことは本編で出し尽くしてほしいんですよね・・・。大串のBL声優お仕事を詳しく、って思ってたのになぁ。

  • 亡くなった壱への渇望が凄い。
    色々な感情が綯い交ぜになった、凄い熱量の想いが伝わってヒリヒリする。
    あまり漫才という感じはないのだけど、重なるセリフのテンポとセンスが良く、勢いがあるので掛け合いが面白い。
    零と王串の仲が良いのが可愛くて嬉しい。

  • 117関東の芸人の焦りと苦悩がなんとなく感じられる。ひさしぶりに寄席でお笑い見たくなった。

  • 決しておもしろくなかったわけではないけど・・・
    あとがきが重い・・・

  • 2016年2月3日読了。
    すごい。
    すごい。
    揺さぶられた。
    人を笑わせるためにどれだけの狂気が必要なのか。

  • 久し振りに先生の、シリーズの続刊待ちではなくて
    新刊かつ読み切りの話を読んだ。
    とても新鮮で、しかし若木節がしっかりと生きていて小気味良く
    あっという間に読んでしまった。

    比較している方がちらほらいらっしゃったようだが
    自分もグラスハートを思い出しながら読んだ。

    主人公が三十路というのが魅力のひとつかと思う。
    夢を追いかけることに疑問を感じ
    周囲の目も冷たい中で感じる自分への不甲斐なさ。

    グラハーのテンブランクにオーヴァークロームがいたように、
    ゼロワンではクロエがいる。
    このクロエが自分としては非常に魅力的なライバルとして感じられた。

    相変わらず、ぽつぽつとぐさりとくる描写があり、心がやられてしまう。
    『考えたら答えに行き着いてしまうから
    よく考えては駄目。楽しいことばっかりやろう』

    "さみしかったから、断れなかった。
    ひとりぼっちになって行き場がなかったから、零を巻きこんだ。"

    最近やる気だねと言われた時に
    穿った捉え方なのだが、
    最近の自分を肯定されたと思えずに、
    以前の自分を責められたように思ってしまう、

    "どうして俺たちは、日の当たる大通りを安全に歩かないのかな"

    などが特に心に残った描写だった。

    これは分類としてはラノベでは無いようだ。
    若木先生の他作品を知っているので大丈夫だが
    普通の文学本として手にとった人の中では
    文体やおたくネタに違和感がある人もいたのではと思う。


    それから、芸人を目指す話だと自分は
    森田まさのり先生の『べしゃり暮らし』が大好きで
    これのすごいところは人間ドラマなど展開だけでなく
    たくさん出てくる芸人さんのどれもがきっちり面白いまたはきっちりつまらないところだった。
    面白いネタとして描かれているネタは読みながら声を出して笑ってしまうほどで
    本当にこういうネタで一気に売れる芸人がいそうだと思わされ
    非常に説得力があった。
    森田先生も西側の人だし、身に沁みついたものがあるのかもしれない。

    残念ながらゼロワンのネタは、自分の好みからするとそこまでの説得力はないものが多かった。
    若木先生らしい小難しくべらべら喋る感じのキャラで、ファンとしてはにやっとしてしまうところだが
    芸人のネタだとちょっとどうかなと思うセリフに対して
    会場大爆笑、みたいな描写があるとちょっとあれっと思ってしまう。
    少なくとも、東京のお笑いだなと感じたので
    その辺りは少し残念だった気もする。

  •  王串ミドロは売れない芸人。死んだ同級生の弟と組んだ漫才コンビ「ゼロワン」は鳴かず飛ばず。33歳にして貯金なし。女の家に居候するヒモ暮らし。どこからどう見てもダメな大人の見本だ。はい上がるには、マンザイ・グランプリで優勝するしかない。立ちはだかるのは圧倒的な人気を誇る兄弟コンビ「クロエ」。ヤツらの目指している笑いは、おそろしく常識外れ。そこに王串は、自分と同じにおいを感じてしまう。〈普通の、及第点の漫才では足りない。熱く危険な、噴火するマグマの塊のような笑いでなければ〉。ヘビーなドラマを軽快に描く佳作。(産経新聞)

  • (私にとっては)「グラスハート」シリーズ(ライトノベル)の著者の若木未生さんの、初の一般文芸作品です。
    漫才には詳しくありませんが、楽しく読めました。

  • 私のDNA若木先生の文芸書です。漫才コンビの話です。
    後半ちょっとネタバレ。

    「漫才!?何故!?」と思いながらも、最近の若木作品は特にティーンズ文庫(昔から書いてきたフィールドでずっとやっている間にレーベルを取り巻く環境が大幅に変化しただけだとはいえ)の領域からは逸脱していると思うので、文芸書なのはまぁ別にいい。しかし結構硬派なものが好みだと思っていたので、漫才というのは意外。落語とかだったらわかるけどなぁと思ったけれど、よくよく考えてみれば源流は近しいわけで、そう考えればアリなのかと。

    今までの作品はどちらかというと心理描写が印象的で、全体的に見れば比較的その分量もそれなりに多く取られていたような気がするんですが、こちらは会話文も多くポンポンとテンポよく最後まで話が進む。
    若木作品たらしめる一因である、会話によってその人の為人をよく表す、その独特のリズムと流れは、その分勢いがつきすぎてキャラクターの個性が強くなりすぎることもあるので、なかなか現実に寄り添うような舞台では違和感がある…かとおもいきや、頭の回転が早くて口が達者な「漫才師」という設定のお陰で、それが日常会話の中でも浮くことがない。これは上手いなぁと。

    他の作品で最も現実世界に近い舞台なのは、やっぱりグラハーなので、それと比べて見てしまうことが多くなるけれど、グラハーはどちらかというと「憧れ」になるような人たちも必死で、立ち止まったりグルグルモヤモヤ生きていて、それに対して共感するような部分もあるけど、スポットライトの逆光を見るような感覚があった。
    ゼロワンも秀でたセンスの持ち主たちだけれど、多少なりとも凡人に近く、それでももがく様はより地に足の着いた「共感」ができる。

    惜しむらくは、気持ちよく読み進めて、帯にも「マンザイ・グランプリの頂点を目指す!」とかいうからてっきり頂点になるかならないかは別としてもその頂きくらいまでは見せてくれると思っていたのに、八合目くらいで「後は想像にお任せします」みたいに終わって「えええええ!!!!!」と(苦笑)。おもわずめくったページに「あとがき」って出てきた時は落丁かと思ったよ!クロエとの対決見たかったよ!
    そこでようやく、あぁこれは壱を昇華させるのが主題だったのかと気付く。でも、でもね、若干なりともエンターテイメントを踏まえた小説としてはね、昇華した後のゼロワンが見たかったんですよ…そこまで書いたら普通じゃんって言われればそれまでなんですけども。
    ただ、他の作品でもそうだけれど「もっと彼らを書きたい」という意志があるのなら一度書ききってほしいとも思う。「いつか」は明日なくなってしまうかもしれないという危機感は、先生も読者も切実に感じているはずだから。出がらしも出ないくらい吐き出して、空っぽになった後にじわりと湧き出す水ならば喜んで溜まるのを待つのだけど、滲み出す前に世界がなくなってしまうかもしれないんだよ…。
    そんないきなりハシゴを外されたような気もしたんですが、あとがきを見るに、毎回ボロボロになっている度を更新している気がする若木先生が、いつもの10割増しくらいボロボロになっていたので、この瞬間はこれで書ききっているのだろうし、このラストはこれで若木作品らしいかもなと納得してしまうDNAなので、大した問題では無いんですが。

    それにしても毎度若木先生は何か苦難の宿業を負われているとしか思えない…。しがない一読者としては、20年以上前に刻まれたDNAが果てるまでついて行くことしかできません。
    とにかく発売おめでとうございます。お疲れ様でした。

全11件中 1 - 11件を表示

著者プロフィール

1968年生まれ。早稲田大学文学部中退。89年、大学在学中に第13回コバルト・ノベル大賞佳作入選。同年のデビュー作、『天使はうまく踊れない』に始まる《ハイスクール・オーラバスター》シリーズは、昨2021年、完結した。同シリーズを筆頭に、《イズミ幻戦記》、《グラスハート》など、多くの人気作を持つ。近作に、『われ清盛にあらず』『ハイスクール・オーラバスター・リファインド 最果てに訣す』、『ゼロワン』、『永劫回帰ステルス』などがある。

「2022年 『戦をせんとや生まれけむ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

若木未生の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×