孤独論 逃げよ、生きよ

著者 :
  • 徳間書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (184ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198643492

作品紹介・あらすじ

仕事、人間関係、因習などにより、多くの現代人は「奴隷」になってしまっている。「奴隷」とは有形無形の外圧によって思考停止に立たされた人のこと。あなたも奴隷になっていないだろうか。自分の人生を失ってはいないだろうか。奴隷状態から抜け出す方法はひとつ。それはいまいる場所からとにかく逃げること。逃げて、孤独の中に身をおくことが、自分を取り戻す唯一の手段であり、成功の最短ルートだ。孤高の芥川賞作家による、窮地からの人生論。

感想・レビュー・書評

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  • 「共喰い」の作家さん。
    働かず、ひきこもって
    ひたすら小説を読む&書くということを「生きる」ことにした作家さん。そのストイックさと生き方を「孤独論」としてまとめた本。
    小説家になるまでの話がおもしろかった~
    そうか…こんな生き方もある…

    「奴隷になるな…」

    深い言葉だ~

    でもってラストの「棚ぼた」の話
    好きだわ。

    ひと握りの天才は餅を待つのではなく自分で棚に登ってひったくる…
    この表現好きだわ~
    わかる気がする~。

  •  「共喰い」で芥川賞を受賞した田中慎弥の人生論。「共喰い」の著者とは思えないほど、その筆致は強烈さなどとはほど遠く丁寧である。
     一つにある仕事に対して、思考停止状態の奴隷状態であれば、そこから「逃げる」ことを推奨する。単純に逃げろというても、色々と難しくはあろうが、実際に自身が高校卒業から大学受験に失敗して、約15年引きこもりになった実体験から、滲み出た苦心さがあるからこそ自然と説得力がある。
     そして逃げた先に、自身を見つめ直し、思考を回復して、本来何を求めていたのかを問うことは、惰性的に生活している者にも警鐘であり、自身を再燃させてくれる意外な優しさを感知させられた。
     まるで坂口安吾の堕落論を思い起こしたのは自分だけでなかろう。
     そして著者にとって、生きていくこと=作家となることしかないと辿り着き、未だ作家の業と向き合い、身悶えながら書き続けていることに真剣さがあろう。

  • 田中慎弥さんの2作品目のエッセィ。
    本書は、著者自身初の口述筆記で上梓されている。
    高校卒業後、新潮新人賞を受賞するまで無職を貫き通し、その中で得た見識が綴られている。
    PC・携帯電話を持たないだけあり、昨今の情報社会から懸念される問題を、アナログ視点で本質を見ることは著書ならではだと感じる。
    ただ、孤独になれない状況をもう少し受け入れて欲しかった。どうしても、仕事や社会から抜け出せなく、頼れる人もいない方もいらっしゃることを認識して頂きたかった。

  • あなたは孤独であり孤独ではない。
    現役であるかぎり、能力に磨きを書い続けなければ、たちまち錆びつく
    本の奴隷になってはいけない
    主体的に生きろ
    1日1回机の前に座る
    最初に応募したのは29歳のとき
    持ち上げられてもそういう状態に慣れるのはよくない
    人生は棚からぼたもち


    すごく面白かった。

  • 図書館借り出し

    田中慎弥の人生論
    心ではずっと思ってたけど、頭の中で整理したら良いか、どう解釈したら良いか、どんな言葉にしたら良いかをいくつか発見することができた

  • 仕事や世間の奴隷にならず、くだらない流行から逃れそして、孤独に耐えるために本を読む

    思考停止になってはいけない、考える必要がある
    考える為には何が必要か?
    言葉が必要になる、そのためには本を読み言葉に触れていく必要がある

    そもそも本には自分の望む答えはない
    そこから自分で考えて結論を出していくことが重要

  • うまく文章が書けなくてもねちっこくしがみつき、10年かけて賞を獲得した。できることを毎日ちょっとでいいから続ければ。ねちっこく。

    ねちっこく続けること。棚からぼたもちが落ちてくるところで待つ。

  • 組織や集団のなかで思考停止状態になっているなら、それは奴隷だからその場から逃げ出すべき。かつて思い描いた夢に向かっていけ。

    インターネットは便利だけれども、思考停止になるのはよくない。使われるな、使っていけ。

    自分の思考や発想とは別の価値観と出会うために本を読め。思考するためには言葉が必要。言葉を吸収するためには読書が必要。

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    力強く、一貫した理論だった。
    自分の頭で考えなくちゃダメだぞ、と何度も言われて、何度も納得した。そうやって田中さんの考えを鵜呑みにしている自分こそ、思考停止しているような気もして笑えてくる。

    田中さんは読書についてこう語っている。
    本を読んだとき、一から十まで納得することはありえないし、あってはいけない。1行でも引っかかる部分があれば幸運。本をつまらないと思えることも、立派な能力。

    これはなんとなく読書を続けている自分にとって、勇気付けてくれる考え方だった。つまらない、わからない、と感じてもいいんだな。その理由を考えてみることが有意義なんだな、と思えた。

    田中さんの生い立ちは自分からしてみればちょっと現実的でない、到底真似できない生き方だった。高校卒業後、ずっと実家で引きこもりのように本を読みながら小説を書く生活をしてきたらしい。自分だったら気が狂ってしまうかもしれない。すごいのか、すごくないのかわからない人生スタイル。

    口述筆記で作られたこの本はとても読みやすかった。なんていうか、田中さんはもっと怖いイメージだったけど、すごく肯定的で優しい感じがした。小説も読んでみよう。

  • 大切なのは、逃げたら、そこからは能動的な思考を継続していくということ。

    主体性、能動性、そういったものを取り返すための逃避。

    面倒なことを避けると、実態を見失いかねない。

  • 共喰いの作者、と思って読み始めた割にはものすごく健全で、明るくて希望に満ちている。思考停止に陥った奴隷になるくらいなら、今いるところから逃げて孤独に自分と向き合い自分が好きなことから始めよう。本は自分の視野を広げてくれる。人生の全てが無駄ではなく、何か得るものがある。といった、とにかく明るい本。装丁とのギャップ。

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著者プロフィール

小説家

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

田中慎弥の作品

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