煌 (文芸書)

著者 :
  • 徳間書店
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本棚登録 : 73
レビュー : 6
  • Amazon.co.jp ・本 (332ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198644352

作品紹介・あらすじ

「祝言は挙げられない」簪職人のおりよは、突然許婚の新之助にそう告げられた。理由はなんとなく思い当たる。新之助は形がよく、おりよは目が見えないから。二人で歩いていると耳の後ろが熱くなる。女たちの視線が痛い。どうして私だけこんなことに――。悔しさを押し殺し、手に残る感覚を頼りに仕事に没頭するおりよだったが……(「闇に咲く」)。遊女、船問屋、紙問屋、簪職人、花火師、旅籠屋……市井の人情を掬い取る、珠玉の時代小説。

感想・レビュー・書評

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  • 『耳がきいんと鳴っている。
    煙が切れて、源兵衛の目に夜空が映った。
    片瀬さま、ごらんいただけましたか。
    訊ねかける声は、そのまま天へ吸い込まれていく。
    深い闇が、ただ広がっている。
    返ってくる声がなくても、己はこれからも声を送り続けることだろうと源兵衛は思った。
    そうやって、この先も歩いていくのだ。胸に生きる、友とともに。
                              
                       文 安政二年(1855)』
    花火に纏わる時代小説短編集。
    冒頭の一編からぐるっと最後につながっていく。
    東北大震災の被災者への思いが書かせたのだろう。泣けた。

  • じんわりと心にしみる作品の数々。

  • 短編の時代小説集。女性の描写が絶妙で、どの作品にも花火がキーアイテムとして出てくる。
    楽しく読めた。

  • 共通の小道具は花火。江戸初期から後期までを時系列に、舞台も豊橋から日本のあらゆるところを巡ってまた豊橋に戻ってくるような短編集。

    ベタな市井人情ものの器をしているが、行間を読ませるというか、心の機微を探らせるような文章が良い。ざっと流して「あぁエエ話やねぇ」では終わらせないのだ。

    例えば、長崎の出島を舞台にした「山の灯」。主人公は阿蘭陀行と言われる遊女。出島のオランダ人相手に現地妻となる遊女が長く滞在すればするほど遊郭は儲かる仕組みなんだが、何故か遊女は最低限の滞在期間2泊3日で遊郭に帰ってくる。決して相手に嫌われている様子はないのに何故なのか?その辺の機微が良い。さらにその微妙な心の描写が苦味が残るラストに響いてくる。切ないよなぁ~

    単純なハッピーエンドはない。でも何故か後味は悪くない。エグ味の強い山菜を上手に調理して爽やかな味に仕立てたような、そんな短編を集めた作品集である。

  • 1971年、島根県生まれ、志川節子さん「煌(きらり)」、2017.7発行です。天地一転、椀の底、山の灯(ひ)、闇に咲く、雪の花道、文 の短編6話。江戸時代の人間模様を、著者がしっとりと描いています。雨の日とか、深夜に読むと一層心に響きそうな作品です。今後の活躍を大いに期待しています。

  • 「花火で織りなす人間模様」(帯より)

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著者プロフィール

1971年、島根県生まれ。早稲田大学第一文学部を卒業後、会社勤務を経て、2003(平成15)年「七転び」で第83回オール讀物新人賞を受賞。2013年『春はそこまで 風待ち小路の人々』が第148回直木三十五賞候補に。清廉な人物描写、江戸の気配を情感豊かに伝える文章に定評がある。その他の著書に『手のひら、ひらひら 江戸吉原七色彩』『煌』『花鳥茶屋せせらぎ』『ご縁の糸 芽吹長屋仕合せ帖』がある。

「2020年 『かんばん娘 居酒屋ともえ繁盛記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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