誰も語らなかったジブリを語ろう (TOKYO NEWS BOOKS)

著者 :
  • 東京ニュース通信社
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198645021

作品紹介・あらすじ

世界のアニメーションに影響を与えた“スタジオジブリ”を、これまた世界中からリスペクトされる監督・押井守が語り尽くす。スタジオジブリの劇場公開作を振り返りつつ、「これまでのジブリ、これからのアニメーション」まで縦横無尽に語った痛快&ディープなインタビュー。<目次>第一章 矛盾を抱えた天才 宮崎駿/第二章 リアリズムの鬼 高畑勲/第三章 ジブリ第三の監督たち/第四章 小さな巨人――スタジオジブリ カバーイラスト/湯浅政明

感想・レビュー・書評

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  • 流し読みでしたが、ジブリ作品について新しい見方ができるようになったと思います。

    この本を読むまで知らなかったのですが、押井守と宮崎駿は仲が悪い(けんかばかりしている)のですね。

    もはや、巨匠として批判の対象にはならなくなった宮崎駿の作品ですが、押井守の目からすればツッコミどころ満載です。映画の構造やストーリー展開などについて、歯に衣着せぬ物言いで批判・分析を続けます。

    ただ、そんな押井守の目から見ても、宮崎駿のアニメーターとしての技量は称賛されるべきものであり、そういった「ほめるべきところは褒める、なぜなら、本当にすごいから」という姿勢には好感が持てます。

    自分の好きな作品をけちょんけちょんに言われても嫌な気がしないのは、押井守がその作品について(あるいは宮崎駿に対して)敬意を持っていることが伝わってくるからかもしれません。
    むしろ、押井が絶賛していた場面の作画を確認したい、という思いと相まって、再度作品を観なおしたいと思わされます。

    いずれにしても、宮崎駿が日本/世界のアニメーション作品に対して多大な影響を与えたことは事実です。
    この本を読んでから作品を観ると、また新しい発見があるかもしれません。

  • ジブリは好きだけど、いつもなんとなく消化不良なんだよねという人におすすめ。
    一番なるほどと思ったのは、宮崎駿はシーン作りの名手だがストーリーは作れないということ。たしかに本書にも書いてある通り、ジブリ作品で印象に残っているのはストーリーやラストではない。千と千尋の神隠しでハクの呪いが解けるところであったり、ハウルの動く城でハウルがカルシファーと契約する場面、などシーンばかりだ。

    監督によってラストから理論立てて作ったり、このシーンが描きたい!を繋ぎあわせて無理やりストーリー立てたりと、言われてみればたしかにその通りなのだが人によって話の作り方も違うものなのだなあと改めて。
    押井守の良いものは良い、悪いものは悪いというハッキリした性格も相まって批判ばかりなのに楽しく読めた。

    でもやっぱりジブリって見ちゃうんだよな

  • 押井守監督が語るジブリ評。目からウロコの指摘の数々で、積年の謎が色々解けた感じ!しかも、宮崎作品だけでなく、ジブリ全作品について語る、という、たまらない企画です。

    押井監督は、本著の意図として下記の2つをあげています。

    なぜジブリ作品は絶賛されつづけるのかを明らかにする
    ジブリの歴史的背景を検証する
    歴史的背景も大変興味深かったですが、本著はやはり「スタジオジブリを批判的にみる」初の試みとして大変意義があると思います。しかも、宮崎駿、鈴木敏夫、高畑勲全員の性格や仕事ぶり、アニメ界の状況、そしてアニメ映画そのものを深く知る押井監督が語る、ということで面白くないはずがない!まさに、ページを繰る手が止まらない、一気読み必至です!

    自分がジブリになぜ惹かれるのか、ちゃんと理解できていない感じは常にありました。とにかく気になる存在なので、ジブリ関連の本は見かけると読んでますが、これだけ愛されてるのに、驚くほどに客観的な文章が少ないな、とは思ってきたのです。目立つのは、鈴木敏夫プロデューサーの著作(想い出話)で、あとは公式設定本だったりで、、、その謎について、本著で一つの解を得ることができました。それが「思考停止」です。

    続きはブログへ
    https://hana-87.jp/2018/11/07/daremoghibli/

  • ジブリ、特に宮崎監督をこんなにディスりまくっているのに結局、見直さなくっちゃと思っている。
    押井さんのこと何も知らないけど、毒があって面白くて可愛い人だなあ。

  • 19.10.19

  • 桃山学院大学附属図書館蔵書検索OPACへ↓
    https://indus.andrew.ac.jp/opac/book/610082

  • 巨匠の作品は否定しづらい、そこをあえて、友情?を交え、尊敬を匂わせ?
    絵から、ストーリーから、構成に至るまでダメ出ししまくってある。
    ざーっとナナメ読み。
    ほたるの墓、最近はテレビであってもしんどくて見てなかったけど、違う視点でもう1回見たくなったな。
    なんだかんだほぼ見たことあるってやっぱり巨匠。

  • 『押井 ツッこみどころ満載にもかかわらず、なぜメガヒットしたか――その「なぜ」の部分の答えは簡単に出る。「ジブリ映画が大成功しているから」。日本人って、大成功したものにはツッこみを入れないんですよ。黒澤明だってそうでしょ。
     昔、シンちゃん(樋口真嗣)が言っていたけど、シンちゃんの発明した”椅子理論”によれば「黒澤明の椅子には誰が座るのか」という問いの答えは「宮崎駿」になるわけ。誰も批判できない椅子で、最初から巨匠であると決まっちゃってるわけだ。巨匠の場合、日本では批判の対象外ですから。
    ――それは判りやすいですね。
    押井 ついでにもうひとつ、シンちゃんの”パンツ理論”をあげると、「監督というのは、自分のパンツをいかに下ろすかで、その資質が問われる」というやつ。意外なことに、これはあらゆる監督に適用できる。宮さんの場合は「(パンツを)下ろしかけて、実は下ろさない天才」。だからこそのエンタテイナーなんだと。庵野の場合はすぐに下ろすんだけれど、問題なのはそこにあったのモノはヘンなカタチをしていた」。
    ――それは言いえて妙ですね。で、押井さんは?
    押井 シンちゃんに言わせれば「確かにいつもパンツは下ろすんだが、そこに付いていたものはニセモノだった」って。――P.103』

    押井守からしばらく離れていた。離れた理由は不明だが『スカイ・クロラ』は見ていたので、嫌いになったわけではないと思う。せいぜい用心していたという程度だろう。
    引用したパンツ理論を個人的に押井守に適用すると「犬がでてくることがある」で、個人的にはそれはハズレ。よくて生暖かい目で見てやらねばならない。

    ルパンで脚本参加すると聞いて再燃するくらいだから好きではあるに違いない。
    『ダイナーの殺し屋たち』は自身による創作が元ネタだそうで、既視感があるので、覚えはないが読んでいるのだろう。
    『ダーウィンの鳥』の始祖鳥の化石ネタも既視感ありまくりで、どこからそれがきているのかわからない。『天使のたまご』ではない。

    再燃して、いろいろ読んだり見たりしはじめた。作品はあたりハズレがあって、ハズレを引くととても凹む。
    読み物とか語り物は、面白くてハズレがない感じでとてもよい。いまのところ。

  • 対談形式であるために、内容の粒度が荒くなっているように感じた。評論として押井守さんの見てきたジブリを読んでみたかったと思う。ただ、宮崎駿と押井守は同じ時期に映画を製作しているので、ある意味ライバルと括ることもできるはずなのに、自分には全くそう感じなかった理由は何なのか、疑問が少し解消したようには思えた。

  • 厨二病、押井守のジブリ論評

    宮崎・高畑以外の作品も取り上げていますが結論は劣化コピーですから、ジブリ論評と言うよりは宮崎・高畑論評かな?

    高畑勲に対する(複雑な)思いなんて、宮崎駿と同じ!
    そう言った意味では凄く面白いw

    本物は絶対に否定するだろうけど、要するに同属嫌悪なんだろうなぁ…

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著者プロフィール

映画監督、作家。1951年、東京都大田区生まれ。
竜の子プロダクション、スタジオぴえろを経てフリーに。主な監督作品に『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』(84)『天使のたまご』(85)『機動警察パトレイバー the Movie』(89)『機動警察パトレイバー2 the Movie』(93)『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』(95)。『イノセンス』(04)がカンヌ国際映画祭、『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』(08)がヴェネチア国際映画祭のコンペティション部門に出品。実写映画も多数監督し、著書多数。2016年、ウィンザー・マッケイ賞を受賞。

「2024年 『鈴木敏夫×押井守 対談集 されどわれらが日々』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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