黙過 (文芸書)

著者 :
  • 徳間書店
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本棚登録 : 195
レビュー : 42
  • Amazon.co.jp ・本 (315ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198646080

作品紹介・あらすじ

“移植手術”は誰かの死によって人を生かすのが本質だ――新米医師の葛藤からはじまる「優先順位」。生きる権利と、死ぬ権利――“安楽死”を願う父を前に逡巡する息子を描いた「詐病」。過激な動物愛護団体がつきつけたある命題――「命の天秤」など、“生命”の現場を舞台にしたミステリー。あなたは4回騙される――話題作『闇に香る嘘』を超える衝撃!注目の江戸川乱歩賞作家、渾身の書下し。一気読みをおすすめします!

感想・レビュー・書評

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  • 下村作品2作目。
    これは微妙なところを突かれたと言うか、善悪で割り切れない問題だなぁ。

    始めは関連のない短編だと思ったのですが、最後の章で全てが繋がりました。
    心の内に密かに持っている後ろめたさみたいなものを、こんな風に言葉にできるって凄い。

  • それぞれ登場人物が異なり、5作の短編を収録した短編集と思いきや、最終章の扉に「前知識が必要なので必ず他の四篇の読了後にお読みください」と、ある。
    移植医療、詐病、動物愛護、不正疑惑等、医療を巡る個々ばらばらとも思える、事件ともいえないほどの出来事の積み重ねが、最後に集約し一つの長編ミステリーとなっている。
    作者の巧みな仕掛けに脱帽せざるを得ない!
    医療最前線のテーマ(ネタバレになるので書きません)に、果敢に取り組み、読者にもその課題への選択を迫る意欲作。
    終盤、ある准教授が語る。
    「先生は一人の命でより多くの命を救おうとしています。私は、人の命を使わずにより多くの命を救おうとしています。医者として私も先生も目的は同じです。手段が違うだけです」

  • 様々な観点から社会問題を取り上げたミステリを書く著者だが、今作は医療分野のミステリ。
    構成が素晴らしい。第一話から第四話までの独立した短編が、最終の第五話を読むと長編に変わる。まるっきり接点の無い短編だと思ったので、思わず唸った。
    短編の方にやや物足りなさを感じていたが、この構成の妙で全て帳消し。これは傑作。

  • 移植医療を巡る医療ミステリー。

    短編と思って読んではダメな作品。
    各章ごとにストーリーの要となる人達が、各方面から登場し、最後にそれが全て繋がります。

    5章の『究極の選択』の扉裏に*必ず他の4篇の読了後にお読みください、との注釈があり、思わず笑ってしまいました。
    親切心なんですよね。

    テーマは重いです。
    他人事としては、異種移植なんて有り得ないと思ってしまいましたが、自分の身内にその機会があり、永らえると言うのであれば望んでしまうかも。
    その場にならないと考えられない話ではあると思います。

    命のために研究を進める医学の道を極めた医師たちに救われる命もあるとは思いますが、ホントに難しい問題だと思いました。

  • 途中まで読んでどこがミステリーなんだと思ってしまいましたが
    最後の章で全てが繋がりました。

    今まで深く考えてこなかったのですが、人にとって避けられない、避けてはならない問題を考えさせてくれるきっかけとなりました。私も母とこの問題について討論しましたが、結局解決策は出せませんでした。

    この本の読者に意見を聞いて回りたくなる、そんな本でした。

  • 人間の命と他の動物の命、命1つの価値は同じなのかを問われる一冊。

  • 何も知らずに借りて読んだ。
    短編もの?
    それにしては歯切れの悪い中途半端なないようだなぁとこれが話題作?とテンション下げながら読み進めた。
    ああ、これは!
    こういうつながりか!
    なるほどこれは黙過だわ!
    下村さんの本は2冊目だけど、相変わらず後半の盛り上がりが半端ない

  • 各短編が最終的に繋がるという展開で、それぞれが考えさせる問題だったように思う。が、それぞれが独立した話題すぎて、どういう内容にしたいのか最後まで掴めないのは読んでて少し疲れた。

  • 9月-3。3.0点。
    連作短編。前半の短編は、意外とあっさりした終わり方。
    最後の短編で、伏線を回収し考えさせられるラストに。

    上手いんだけど、イマイチインパクトに欠けるというか。
    扱うテーマが意外にも重すぎたという感じ。

  • 豚を使った異種移植。
    パーキンソン病治療のため、豚の脳細胞を注入する元厚生事務次官。
    独善的な正義を振りかざす動物愛護団体、環境テロリスト。
    恋人の獣医師を救うために、実家の豚の肝臓を「繋ぎ」にする女性。
    「種差別」って何だ。「愛は地球を救う」「命は地球より重い」。牛豚鳥は良くて、クジラ・イルカはダメ、犬はペットか。「(命を)いただきます」か。
    人間の命と動物の命。天秤にかけることを意識するのか、黙して過ごすのか。「生きたい」と思うことは罪なのか。誰にも動物にも迷惑をかけずに生きることができるのか。
    ディベートのネタとしては適材かもしれないが、いざ自分の身に、家族の身に降りかかったら。なりふり構わないか。高潔を通して、死を選ぶか。
    悩みが尽きない状態になった。作者の思惑通り。

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著者プロフィール

1981年京都府生まれ。2014年に『闇に香る嘘』で第60回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。同作は「週刊文春ミステリーベスト10 2014年」国内部門2位、「このミステリーがすごい! 2015年版」国内編3位と高い評価を受ける。同年に発表した短編「死は朝、羽ばたく」が第68回日本推理作家協会賞短編部門候補に、『生還者』が第69回日本推理作家協会賞の長編及び連作短編集部門の候補となった。他の作品に『難民調査官』『サイレント・マイノリティ 難民調査官』の「難民調査官」シリーズ、『真実の檻』『失踪者』『告白の余白』『緑の窓口 樹木トラブル解決します』『サハラの薔薇』『黙過』がある。

「2018年 『失踪者』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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