異形の大国を操る習近平の真意

  • 李白社 (2018年6月12日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784198646462

作品紹介・あらすじ

なぜ習近平は独裁政治の道を選択したのか?なぜ北朝鮮の金正恩の電撃訪問を受け入れたのか?そして習近平にとって焦眉の急であるアメリカとの関係をどうするのか?北朝鮮の非核化にどのような態度をとるのか?風雲急を告げる東アジアで異形の大国中国を習近平はどのようなビジョンで導いていくのだろうか。・習近平VS金正恩<極秘会談>の舞台裏・中国最大の難問「戸籍差別撤廃」&「人民解放軍大改造」・一かバチの勝負に出た国営企業改革他。

みんなの感想まとめ

中国の政治体制と経済の実態を深く掘り下げた本書は、習近平のリーダーシップの背景にある複雑な要因を明らかにします。著者は独自の視点から、中国の権力基盤や施策の意図を具体的なデータとともに解説し、読みやす...

感想・レビュー・書評

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  • 国際エコノミストが2018年に書いた本。中国の政治体制や経済の実態を具体的に挙げながら根拠立てて解説している。データよりも体制の解説が多く、私は非常に読みやすかった。「こういう仕組みだからこうなるなるのが自然」という解説に説得力がある。

    筆者はこの本を執筆した時90歳を越えていたはずだが、実にエネルギッシュな文章なのが印象的だ。

    中国の施策には、何かと「体制維持」が付きまとっている。体制維持、権力基盤の確保が、資本主義経済の導入の動機付けにすらなっている。直近ではコロナ禍の封じ込めにいち早く成功した(と言われている)ように、トップダウンの体制によるメリットがあるように見せている。筆者が結びに書いているように、今後の中国の施策が成功していくのかどうか。前例のない政治体制だけに注目していきたい。

  • 著者はかつて中国崩壊論者だったが考えを改めたようだ。飛ぶ鳥を落とす勢いだった日本は中国に追い越され二度と追いつきそうにない。日本から希望や活力が失われた一方で、かつて世界を制覇した中国が再び破竹の勢いで覇権を握ろうとしている。問題はどこまで共産主義と資本主義が並存可能かということと、アメリカがどこまで中国の覇権を許すかだ。民主主義が優れていると日本人は確信しているが、もしかしたら中国は民主主義より洗練されてより進化させた新共産主義を構築するかもしれない。国民一人一人の意見が国家に届いてしっかり生かされるのなら別にどんな政府でもいいのだ、と久しぶりに中国に肯定的になった。

  • 2018/10/19:特にコメントすべきことなし

  • 今年(2018)6月頃に出版されて、夏頃に読み終わった本です。レビューを書く機会を失っていて、読み終わってから時間がかなり経過してしまいましたが、せっかく読んだ本でもありますので、当時気になった点をアップしておきたいと思います。

    以下は気になったポイントです。

    ・2007.3に金正恩は訪中したが、北朝鮮を切り捨てる路線を選択したことを、習近平主席が直接宣言した、これはかつてソ連が東ドイツを切り捨てたのと同じ(p17、18)

    ・朝鮮人民軍は中央委員会総会の決定に従わざるを得ない、兵器を動かすだけの石油がないから(p25)
    ・北朝鮮は中国に切り捨てられた以上、アメリカから制裁を解除してもらわなくてはならないが、そのためには核兵器放棄および南北統一を前提とすることが不可欠(p27)

    ・朝鮮戦争の死傷者は、アメリカの推定によれば、中国人民志願軍90万人、朝鮮人民軍45万人、国連軍・韓国軍あわせて40万人とされる(p37)

    ・1965年に日韓基本条約が結ばれて国交樹立したが、総額8憶ドルの援助資金(無償3億、政府借款2憶、民間借款3億)を出すことと引き換えに、韓国は請求権を放棄した(p43)

    ・2017年末時点で、中国の都市部居住人口は8.1憶人、農村部は5.7憶人となっているが、農民戸籍9.7憶人、都市戸籍4.2憶人、農民戸籍を持ちながら都市で仕事している人は農民工という(p47、49)

    ・中国の軍制は、七軍区から五戦区(北部、中部、東部、南部、西部)になった、今回の改革では陸軍、海軍、空軍を組織上並列の扱いとして、陸軍を特別扱いすることを是正した、軍区との違いは、軍事作戦とそのための訓練・演習のみに任務が特化され行政管理業務はなくなった(p60、61)

    ・ゾンビ企業となっているのは国有企業、1100万社の企業のうち、16.7万社が国有企業、中央政府所有が5.6万ある(p71)

    ・2012,2013年の中国のセメント生産量(45憶トン)は、アメリカの20世紀全体のセメント生産量(44憶トン)を超えた(p72)

    ・シャドーバンキングの理財商品残高は2016年末には690兆円をこえた、これは日本の銀行が持つ預金総額である(p82)

    ・天津市爆発事故(2015.8)の復興工事がなかなか進まなかったのは、当時の人民解放軍の北京軍区にしか存在しない除毒部隊が天津市に出動しなかったから、習近平総書記が許可しなかったので(p85)

    ・2016年7月、仲裁裁判所は、中国が南シナ海で設けた九段線には国際法上の根拠がない、と判決を下した(p95

    ・中国には、北海艦隊・東海艦隊・南海艦隊の3つがあるが、これらは統一演習をしたこともなくお互いにライバル心剥き出しで張り合っている(p101)

    ・中国の高速鉄道が日本の新幹線に勝てないのは、1)車両技術(車両の揺れや振動)、2)時間の正確性、3)収益性(p111)

    ・米中の貿易摩擦が貿易戦争に発展しても勝つのはアメリカ、最大の理由は基軸通貨がドルだから(p119)

    ・鄧小平は、党主席を廃止して総書記を筆頭とする集団指導制で共産党を運営するように変えた、政治局の中に常務委員会を設けて、そのメンバーを構成する常務委員たちの協議により党の方針を決定する(p124)

    ・店舗が印刷したQRコードを消費者が自分のスマホで読みこむのが静的コード、消費者のスマホ画面に自分のQRコードを表示してもらい、店舗がそれをQRコードリーダで読み込むのが動的コードである(p165)

    ・中国人民銀行は、2018年4月から、静的コードのモバイル決済の利用額に、一人一日あたり500元という上限を設定した(p168)

    ・中国国民はだれでも16歳になると持たされるのが、ICチップ内蔵の身分証である(p182)

    ・中国は今回の党大会においても、約200人の中央委員のなかに多数の資本家が選ばれた、これは共産党が革命政党から国民政党へ変わりつつあることをである、全人代3000人の約35%が資本家であり、資本主義的な経営者である(p213)

    2018年10月8日作成

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著者プロフィール

国際エコノミスト。1927年京都生まれ。1953年大阪大学工学部卒業。新聞記者、雑誌編集者、証券アナリストを経て、1963年に独立。1983年に出版した『世界が日本を見倣う日』(東洋経済新報社)で、第3回石橋湛山賞を受賞した。

「2020年 『中国は民主化する』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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