- 本 ・本 (544ページ)
- / ISBN・EAN: 9784198646554
作品紹介・あらすじ
加能鉄平は妻・夏代の驚きの秘密を知る。今から30年前、夏代は伯母の巨額の遺産を相続、そしてそれは今日まで手つかずのまま無利息口座に預けられているというのだ。結婚して20年。なぜ妻はひた隠しにしていたのか。
そこから日常が静かに狂いはじめていく。もう誰も信じられない――。鉄平はひとつの決断をする。人生を取り戻すための大きな決断を。
夫婦とは?お金とは?仕事とは? 今を生き抜く大人達に贈る、極上の娯楽小説
感想・レビュー・書評
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父親の白石一郎の海洋シリーズ、十時半睡シリーズ等多数読んだが、息子の一文は初読み。
謎の多い家族の話しと左遷されてヤル気の無い主人公の言動に気が重くなり、読み進めるペースが遅くなる。
貧乏な親の元に生まれ、自分もリストラや親の介護、息子の進学と金の掛かる事で色々と諦めた生活を送る主人公。体調不良で会社を休んでいる時に掛かってきた弁護士からの電話。妻が48億円の財産がある事を知る。妻以外にも息子、娘と次々と出てくる家族の秘密。また、自分がリストラされた理由も。不審を持って妻との話し合い。妻から1億貰って、その上に会社で大事件。ついでに妻への更なる不審な事実の判明。話し合いもせずに家を出て福岡から金沢に。持っていた1億円のお金で新しい事業を始めると成功する。それでも連絡のない妻。もう二人はどうしようも無いのか?
バラバラになっている家族、その上に周辺でも同様の家族が次々と出てくる。登場人物達が主人公含めて身勝手過ぎて呆れてしまうほど。
とうとう、最後の1ページでドンデン返しが起きる。小説とは言え、色々な事を詰めすぎた感じがする。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
装丁がかっこよく、長年連れ添った妻が実は巨額の隠し資産を有していた、というテーマにかなり期待してしまったけれど、やたら長く、不要だったのではと思える登場人物やエピソードや食べ物や街や車の長ったらしい説明などもあり、思っていたより面白くなかった。
鉄平がどれだけ優秀かというか経営者に相応しいのかも実は具体的には明示されていなかったし、何度も鉄平を邪悪な人間、邪悪な人間と書いているがそれらしいと思えるシーンもあのシーンがそうなのかもしれないけれど、実際なかった。実際そうでないならそれを殊更に繰り返す必要もないのでは。
具体的に説明は出来ないがなんとなく女性の立場で読んでいて終始不快だったし、よくある昔のオッサンがいやはや女には敵わないですな、という例の実は女性をやはり男性より下に見ているいつものあの感じにしか思えなかった。なによりなんだか気持ち悪い。ある一定の年齢以上の女性に対し「女の子、女の子」という表現も好きではない。
これが50代以上の男性の理想とか夢とか言うならほんとやめて欲しい。
ラストはそれなりに面白くはあったけど、女の人の描写やストーリー展開についてはご都合主義、色々な人や内容が出てきては描きっぱなし、個人的には散らかりすぎていて、もっとコンパクトにスピード感を持って仕上げたストーリーなら良かった気がする。
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リストラされてたのを機に、親類の経営する会社へ転職し、一家四人で東京から福岡へ移住した加納鉄平。失意の日々を送っていたが、ある日弁護士から妻あてににかかってきた電話をたまたま受け、驚愕の内容を告げられる。そこから鉄平の人生が大きく変わり始めるのだった・・・。
先の読めない展開と、無駄に細かい(笑)風景や食の描写の緩急にワクワクしっぱなしで、ページをめくる手が止まらなかった。500ページを超える長編だが、あっという間に読み終わってしまった。
あと、内容以外にユニークなのが本書の装丁。通常であれば帯にかかれるような、あらすじ、編集者や著者のコメント等が表紙に直接書かれているところ。なので、本書の表紙はタイトルも含め文字だらけでイラストは一切なし。
とにかく小説を読むのに抵抗が無い人はぜひ、読んでいただきたいエンターテインメントな一冊。
そう言えば、本作は昨年(2020年)NHKでドラマ化されていたが、本書を読んだ後今となっては、それを見逃したことをものすごく残念に思う。再放送を気長に待つことにしよっと。 -
途中のストーリーはそこそこ面白いのだが、結末は意味無い。今までの苦悩はなんだったのか。その後が書かれていないので断言できないが、1億程度には負けなかった鉄平といえども、結局40億に抗うことは出来なかった、という人間の悲しさを書いたものなのだろうか?
色々闇の心を持った幼馴染の代議士や美しい女将(この人も唐突に本性が明らかに・・・)、そして何より鉄平が、その闇を発露すること無く完結してしまったのも残念。
鉄平の美貌の妻も良くわからない。長い話の中に出てくる、金沢の町や料理やベンツやらのくどい説明も必要性がわからない。様々に広がった末節の話も?
だれることなく一気に読みきったのだから、つまらなくは無いのだが、この読みきった感の無さは何なのだろうか。
やはり著者は、所詮人間なんぞ数十億円の前には、ひれ伏すだけの存在なのだと言いたかったのだろうか。 -
結婚して20年の夫婦、鉄平と夏代。鉄平は夏代が叔母より巨額の遺産を結婚前より相続していたことを知る。さらに、息子と娘の交際についても夏代のみが知るのみ。会社内では抗争あり。鉄平は家族、会社誰も信じられなくなり、妻より渡された1億円で新たな人生を進むことに決めた。家族のことだけではなく、悪人が出てきたり、会社内抗争の話が出てきたり、新規事業の立ち上げ、盛りだくさんの内容。妻をはじめ裏切られたっていうのはわかりますけど、みんな好き勝手なことやってるなあって(結局夏代の手の内でしたって感じだし)。誰にも共感を得なかった。一億円を手にした男がどうするって気になったんだけれど、なんか現実離れしているというか、そんなうまくいくもんですかねえ〜、と。金沢の街については魅力的でした。
著者プロフィール
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