ジュリアが糸をつむいだ日 (児童書)

  • 徳間書店 (2018年12月11日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784198647483

作品紹介・あらすじ

7年生のジュリアは韓国系アメリカ人。子どものころカイコを飼ったことがあるという母さんの提案で、親友のパトリックといっしょに、カイコを育てて生糸をとる自由研究をすることになります。「韓国っぽいから」と研究に乗り気でなかったジュリアも、飼ううちにだんだんカイコがかわいくなってきますが…? カイコの飼育をきっかけに、アイデンティティの悩みに向き合うことになる少女の思いを丁寧に描きます。前向きで明るくさわやかな読み物。

みんなの感想まとめ

カイコの飼育を通じて、命の大切さや環境問題、人種差別など多様なテーマに触れる物語です。韓国系アメリカ人の少女ジュリアは、親友パトリックと共に「楽農クラブ」で自由研究としてカイコを育てることに挑戦します...

感想・レビュー・書評

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  • 2年前にシカゴからイリノイ州のプレーンフィールドに引っ越してきた韓国系アメリカ人のジュリアは7年生。仲良しのパトリックと楽農クラブに入り、自由研究に取り組む。パトリックは弟が3人、姉が1人いて、家はそれほど裕福ではない。しかし年がら年中図書館で本を借りていて、物知りだ。ジュリアはどちらかといえば行動派。楽農クラブの自由研究のテーマは母のアイディアでカイコになる。実はジュリアはこのテーマが気に入らなかった。韓国っぽい感じがする、という事で。もっとアメリカっぽい事をやりたかったが、パトリックがとても熱心だった為言い出せない。仕方がないからこっそり邪魔をするが上手くいかない。どころかパトリックには誤解される。
    いろいろな事を乗り越えて2人は次第にこの研究に手応えを感じ始める。カイコの世話にはジュリアの弟のケニーも手伝いという形で参加している。ケニーはジュリアとすぐ喧嘩になるが、パトリックはケニーの相手が苦にならない。とても上手く相手をする。パトリックも自分の弟相手では上手く合わせられないと告白するが、兄弟がいる人は自分のことのように感じるのでは。
    移民の国であるアメリカでも差別はある事が、ジュリアの学校でのいじめやカイコの餌となる桑の葉を提供してくれる黒人のディクソンさんに対する母の態度などから読み取れる。
    カイコの世話の様子が描かれているので、私にとっては懐かしい景色が思い出される。
    人は実際に会って話さなければわからない事がたくさんあるということも伝えていると思う。
    この厚さでいろいろな事が無理なく盛り込まれていて、読後感も良い。リンダ・スー・パークさん最高(^^)

  • 『モギ ちいさな焼きもの師』の作者ならこの本もきっと良書だろうと思い読み始めました。 

    7年生のジュリアは親友のパトリックと「楽農クラブ」の自由研究でカイコを育てることになり…。
    「韓国っぽい」研究が気に入らなかったジュリアですが、自分で育てるうちにカイコが好きになり、まゆからとった糸で刺繍をしたいと思うようになります。

    生きものに触れたり育てることは子どもにとって沢山の学びがあります。
    楽農クラブのマクスウェル先生は、農場見学を通し「循環型農業」と「商業的農業」の違いを子ども達に教えました。
    作者は、先生と一緒にしゃがんでおいしそうな草を眺める子たちの眼差しを「牛の目で草を見ているような気分」と表現しています。「考える力」は体感することで備わっていくのだなと思いました。

    卵の孵化から始まったカイコの飼育にワクワクさせられました。新鮮な桑の葉しか食べないカイコのために、二人は黒人のディクソンさんの家に行き、裏庭の桑の葉をつんできます。バリバリ葉を食べ脱皮を繰り返すカイコを手のひらに乗せたジュリアはまるでお母さんのよう!
    ケニー(ジュリアの弟)に、飼育メンバーの一人として役割を持たせたパトリックもさすがお兄ちゃんだなぁと感心しました。

    まゆの糸で刺繍するためには、カイコガになる前にしなければならないことがあります。ジュリアがそれを知った衝撃が伝わってくるようでしたし、五つのさなぎのおかげで刺繍ができあがったことに感謝する彼女の成長にも胸が熱くなりました。

    この物語は、カイコの飼育を通して生きものの生と死を学ぶこと以外にも、自分と他者を知ること、環境問題や人種差別までテーマがたくさんあります。
    黒人のディクソンさんにみせたお母さんの対応が主人公を悩ませる場面は、読み終わってからも心の何処かにひっかかりを残してしまいました。
                     ☆4.5

  • 韓国系アメリカ人の12歳の少女ジュリア。お母さんの提案で親友のパトリックと養蚕の自由研究に取り組むことになりました。カイコを育て、絹糸をつむぎ、刺繍をするのです。
    生命の循環や命の大切さ、大量生産大量消費の問題点が解りやすく描かれています。
    子どもたちに勧めたい良書です。

  • 楽農クラブでの自由研究で、「カイコを育てて絹糸をとり刺繍の作品を作る」ということに取り組んだ、韓国系アメリカ人のジュリア。同じ7年生の親友パトリックと協力してやっていく。
    この取り組みを通して、いろんなことを知ったり(カイコのこと、生糸をとるためにはカイコを殺さなくてはならないこと、循環農法のこと)、いろんな感情を知ったり(そもそもカイコの飼育が韓国っぽく感じてやりたくない、そのためにパトリックにちょっと意地悪な行動をとる、お母さんは人種差別主義者なのかと疑う等)する。そこで、ジュリアは自分なりに納得できるまで深く考えて前に進んで行くのがとってもいいと思った。
    また、2人の周りにいる大人たちが温かく見守ってくれているのもとても良いなと思う。
    中学生の年齢で自由研究かできれば、こんなに得るものが大きいのかと感じる。

  • 分類的には児童文学だけど、主人公は中学1年生の設定なのでYA世代にも。韓国系アメリカ人であるという自分のアイデンティティに友人と蚕を育てながら向き合い成長していく。

  • ブックトークで、「糸」をテーマにするため、検索していて出会った。
    「カイコを飼育して、糸をとって、それで刺繍作品を作る」というメインの筋だけでも、次々と問題が起こり、どうなるのか、という読者をひっぱっていく力があって、楽しく読めた。
    その中で、子どたちが向き合う色んなテーマが織り込まれ、詰め込みすぎな気もするが、
    大人の私としては、上手いなぁ、と感心。
    登場する人たちの会話もいいし、最近読んだ児童書の中ではピカイチ。

  • ないとうふみこ先生の通信講座で少し取り扱われて、気になって読もうと思っていた。韓国系アメリカ人のジュリアが、自分の韓国系というアイデンティティに悩んだり、母の人種差別意識に気づいたりしながら、親友とかいこを育てることで自分の気持ちに向き合っていく。感情的になることはほとんどなく、しっかりと頭で考えられる子だけど、弟に対してだけは感情的だ。それも親友の影響で弟の扱い方も学んでいく。私はかいこの一生についても一通りの知識しかなかったので、興味深く読めたし、子供たちに研究とはこんなふうにやるんだということも学べると思う。ジュリアの心理がすごくわかりやすく、寄り添って読める。

  • 7年生(中学生)のジュリアは、韓国系アメリカ人。親友で近所に住むパトリックとカイコを飼育して、絹糸で刺繍作品を作る自由研究に取り組む。親友との関わりや協力してくれる人の中でそれぞれの個性や、ルーツ、知らないことからくる認識の違いや違和感に1つ1つ真摯に向き合う主人公は、聡明な中に幼さもあり設定の年齢らしく応援したくなる。
    著者あとがきに、文中に出てくる本を紹介し、実際に調べる事ができるのも良かった。
    著者は『モギ〜ちいさな焼きもの師』で2002年ニューベリー賞を受賞した、韓国系アメリカ人のリンダ・スー・パーク氏。
    小学生でも読めるが、理科でカイコを育てる3年生では、少し難しいかも?と感じた。けれども、最近ではだいぶ背伸びをして本を選ぶ子も多いので、全てを理解、想像ができないとしても他の本にあたるよりも良いかもしれない。

  • 子どもの頃、学研で申し込むと送られてくるキットでカイコを育てていた事があるので、すごくワクワクして読んだ。多民族国家に生きる子どものアイデンティティや、社会の中の多様性、環境問題といった事がテーマになっていると思うけれど、ストーリーに無理がなく入り込めた。
    子どもの心で、これはアイデンティティの話だ、とか意識することなく読んでみたかったな。
    育てたカイコを殺せない、と悩むところで、子どもの頃読んだジャンボコッコの伝記という本を思い出したけれど、微妙にテーマが違うな、と感じる。命を食べる、という道徳的なテーマと、食に限らない現代の子を取り巻く環境を考える、という違いだろうか?

  • 「木槿の咲く庭 スンヒィとテヨルの物語」復刊されないかな?

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    7年生のジュリアは韓国系アメリカ人。子どものころカイコを飼ったことがあるという母さんの提案で、親友のパトリックといっしょに、カイコを育てて生糸をとる自由研究をすることに。「韓国っぽいから」とはじめは乗り気でなかったジュリアだが、やがて…?
    カイコの飼育をきっかけに、アイデンティティの悩みに向き合うことになる少女の思いを、ニューベリー賞受賞作家が丁寧に描く、明るくさわやかな読み物。
    http://www.tokuma.jp/kodomonohon/jbookinfo?isbn=9784198647483

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著者プロフィール

米国生まれの韓国系アメリカ人2世。児童書を中心に多くの作品を発表している。『モギ ちいさな焼きもの師』(あすなろ書房)で2002年度ニューベリー賞を受賞。邦訳作品に『魔法の泉への道』(あすなろ書房)、『ジュリアが糸をつむいだ日』(徳間書店)などがある。

「2024年 『ひとつだけ守りたいもの』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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